生成AIで業務効率と顧客満足度を高める

113年の知見を武器に
JTBグループが仕掛ける
デジタル変革

拡張性を評価してServiceNowを導入
稟議申請ワークフローから活用を開始

ServiceNowには多くのソリューションがあるが、その中からJTBが最初に導入したのは、ITSM(IT Service Management)であった。

ITSMは本来、社内のITサービスに関する問い合わせやリクエストへの対応を円滑化するワークフローを備えたシステムだが、同社はそのワークフローを、稟議申請および関連する業務を効率化するために利用することにしたのだ。そこには、業務フローの標準化を推進し、経営の高度化を図る狙いがあった。

「分社化後、稟議申請のルールやプロセスは会社によってバラバラになっており、18年の再統合後に導入したワークフローシステムでも継承されたままの状態に近いものでした。サポート期限切れを機に単純にワークフローシステムだけを入れ替える方法もありましたが、経営の高度化に向けた業務の効率化と精度向上は経営課題であり、ServiceNowの多彩な機能により他システムとの連携など稟議申請の効率化にとどまらない様々な使い方ができるという拡張性の高さが課題解決につながると評価して選定しました」と語るのは、JTBのグループ本社 IT企画チーム IT企画担当マネージャーの三浦亮氏である。

三浦氏
株式会社JTB
グループ本社
IT企画チーム
IT企画担当マネージャー
三浦 亮
2008年株式会社ジェイティービーでの新規事業を契機に入社、IT戦略企画策定・推進等担当。以降、海外旅行・インバウンド関連システムの開発支援、Web販売事業でのBizDevOps構築等に従事。23年より現職、基幹システムDXやITガバナンス構築、ServiceNow導入等を担当。

つまり、稟議申請のためのワークフローの刷新はあくまでも“入り口”であり、将来的にServiceNowをより幅広い範囲で活用するための“土台づくり”として導入したのだ。

刷新されたワークフローは24年10月に本稼働。以前のシステムでは実現できなかった標準化の礎を築くことに成功した。その結果、旧システムでは平均3.5日かかっていた稟議申請から決裁までの期間が、半分以下の平均1.7日まで短縮されたという。

「以前のシステムはPCでしか申請や承認ができませんでしたが、ServiceNowではスマートフォンからでもできるので、時間や場所を問いません。そうした利便性の高さも決裁までの時間の短縮につながっていると思います」と三浦氏は評価する。

この稟議申請ワークフローで築き上げた“土台”を基に、今後は国内グループ会社や海外への展開も視野に入れているという。

三浦氏は、「ServiceNowには、ワークフローだけでなく、デジタルの力で業務を標準化、自動化する様々な機能が用意されています。それらをフル活用することで、今まで5人がかりで行っていた仕事を1人でこなせるようにするなど、全く人手を介さなくても業務が回るようにする世界を実現していきたい。それが『交流創造事業』の担い手であるJTBの価値を高めることにつながると確信しています」と語る。

JTBは、ITSMの導入と同時に、ServiceNow SPM(Strategic Portfolio Management)も導入している。

これは、社内におけるシステム開発などの戦略的なプロジェクト群を、案件の卵の集約から開発・導入の承認、進捗状況、規定しているITガバナンス管理、プロジェクト予算執行状況の把握に至るまで総合的に管理できるシステムだ。

三浦氏はSPM導入について、「社内で進行しているシステム開発プロジェクト群の全容を把握し、事業戦略やROIに照らし合わせながらポートフォリオを最適化できる基盤として活用していきたいと考えています」と説明した。

また、AIの活用についても積極的な検討が進められている。三浦氏は、「ServiceNowのAI機能を活用した業務処理の自動化や、問い合わせ対応のセルフサービス化など、次世代の業務基盤構築に向けた取り組みを検討している」と説明した。

Now Assist搭載の製品を採用した
JTBビジネストラベルソリューションズ

「交流創造事業」の担い手としての価値を最大化するため、デジタルを活用した業務の標準化や自動化を目指すJTB。具体的な取り組みとして注力しているのが、AIの活用だ。

CIOの黒田氏は、「生成AIが盛り上がり始めた23年に、経営会議でAIの本格活用を宣言し、環境整備や社内普及活動を繰り広げてきました。生成AIやAIエージェントには大きな可能性を感じているので、これからも活用の幅をどんどん広げていきたい」と語る。

ServiceNowも、そのプラットフォームや各種ソリューションに最適化した独自の生成AIであるNow Assistを提供している。すでにJTBのグループ会社では、Now Assistが搭載されたServiceNowのソリューションの活用が始まっている。

JTBビジネストラベルソリューションズ(以下、JTB-CWT)は、JTBの「ビジネスソリューション」事業の一翼を担うグループ会社であり、2000年の設立以来、日本における法人出張管理サービスの先駆けとして、業界をリードしてきた。

「法人のお客様の出張手配から経費管理まで、いわゆるビジネストラベルマネジメント全般を支援するサービスを提供しています」と説明するのは、JTB-CWT 営業企画部長の若槻武彦氏だ。

若槻 氏
株式会社
JTBビジネストラベルソリューションズ
営業企画部長
若槻 武彦
1998年入社、大手日系・外資系企業の新規セールスを担当。その後、人事総務部にて諸制度の改定や採用活動に取り組み、JTBグループにおけるBTM事業の再編を担当。2024年より現職にて、事業拡大に向けた営業戦略の策定と並行して、マーケティング活動を展開中。

法人の出張手配は、多くの場合、出張者による申請、総務による手配、経理による精算処理など、複数部署の担当者が関与するため業務が煩雑になりがちだ。こうした課題に対し、「当社では出張手配を一元管理するサービスを提供しています。専用ポータルで航空券や鉄道チケット、ホテルなどを予約していただくだけで、経費データが生成され各部署の担当者や出張者の業務負担を大幅に軽減できます」と、若槻氏はサービスのメリットについて語る。