生成AIで業務効率と顧客満足度を高める

113年の知見を武器に
JTBグループが仕掛ける
デジタル変革

サービスポータルのリブランディングに合わせて
ServiceNow CRMを導入

JTB-CWTは、出張手配や経費精算など、ビジネストラベルマネジメントに関する多彩なサービスを提供している。25年3月には、従来複数のブランドで提供していたこれらのサービスを一元化し、「ビズバンスJTB出張予約」をはじめとする新たなサービスにリブランディングした。

「従来は、出張手配サービスは『B+PLUS』、経費精算サービスは『J’sNAVI NEO』、経費データ連携プラットフォーム『J’sNAVI Jr.』といったように、それぞれ異なるブランドで提供していたのですが、ブランドや入り口(ポータル)を一本化したほうが分かりやすいはずだと考え、リブランディングを実施しました。おかげさまで、『さらに使いやすくなった』とお客様から評価を頂いています」と若槻氏は語る。

このリブランディングに伴って、JTB-CWTは、各サービスの利用方法やツールの操作方法等を説明するカスタマーサポートサイトも一本化することにした。「ビズバンスJTB出張予約」のリリースに合わせ、このサポートサイトの基盤として採用したのが、Now Assistが搭載されているServiceNowのCRM(Customer Relationship Management)である。

ServiceNow CRMは、顧客からのあらゆる問い合わせを1つのポータルで受け付け、内容に応じた振り分けを自動的に行って、対応する担当者をアサインするシステムだ。進捗状況がダッシュボード上で把握できるため対応スピードが向上し、結果的に顧客満足度の向上にもつながる。

またCRMには、顧客が問い合わせ内容をポータルに入力すると、ナレッジ(よくある回答)が提示される機能も用意されている。ナレッジの段階で問題が解決すれば、担当者が顧客と直接対応する必要がなくなるので、社員の業務効率も大幅に改善される。

JTB-CWTは、以前は顧客からの問い合わせは電話やメール、チャットボットなどで受け付けていた。新たなサポートサイトは、これらのチャネルを一本化し、顧客が投稿した質問に対するナレッジを生成AIが分かりやすく要約して提示し、自己解決を促す仕組みを提供する。解決できない場合のみ有人サポートへつながり、デジタルとヒューマンが融合したデジタルサポートを目指した。

加えて、同社は顧客の利便性を高めるとともに、担当者の煩雑な対応業務を改善することを考えた。

「ServiceNow CRMを選んだのは、より幅広い領域への拡張が可能で、また生成AIによってナレッジのレベルを高め、CX(顧客体験)とEX(従業員体験)を継続的に向上できる点が決め手となりました」と若槻氏は明かす。

生成AIなら、チャットボットよりも
適切な回答を速く返せる

ServiceNow CRMは、Now Assist for CSMという、カスタマーサービス管理に最適化された独自の生成AIを搭載している。

自然言語による曖昧な問い合わせでも、生成AIがその意図を読み取り、より適切な回答を顧客に返せるようにすることが、導入の大きな理由であった。

「ServiceNow CRMの導入前は、シナリオ型のチャットボットをお客様にご利用いただいておりましたが、新たなサポートサイトで実現したかったのは、定型文の回答ではなく、お客様のご質問に対して自然で柔軟な回答ができることでした。これを実現するためには、生成AIの活用が不可欠だろうと判断したのです」と、若槻氏は導入の経緯について語る。

こうしてJTB-CWTは、新しいカスタマーサポートサイトを設置することを決定。ところが、その決定に至ったのは「ビズバンスJTB出張予約」がリリースされるわずか1カ月半前であった。

通常であれば、到底間に合わないタイトなスケジュールである。それでも、社内プロジェクトチームの結束した取り組み、開発サポートベンダーの献身的な支援、そしてServiceNowの迅速構築を可能とする製品特性により、当初の予定通り1カ月半でサイト稼働を実現することができた。

従来のシナリオ型チャットボットで蓄積されていたFAQデータを、生成AI対応の形式に移行。そうすることで、フリーワードで質問を投稿しても、生成AIが適切なFAQを検索・提示する

25年3月のリリース以来、現場からの実感として、ナレッジへのアクセス数に比べて有人対応の問い合わせ件数が少なくなったとの声も上がっている。「カスタマーサポートサイトを通じて、お客様が必要な情報にたどりつけていると実感しています」と若槻氏は語る。

現在は、フェーズ2に向けて生成AIの活用範囲をさらに拡大し、より高度なサポート機能の実現を目指しているという。

若槻氏は、生成AIの効果について、「ServiceNowのNow Assistは問い合わせ内容からナレッジベースの作成を自動的に行ってくれるため、最適解の提供に必要なナレッジが手間なく追加でき、かなりの省力化が実現しています。今後は、カスタマーサポート以外の業務にもServiceNowの応用範囲を広げていきたいですね」と語る。

もちろん、JTBグループ全体においても、ServiceNowや生成AI、AIエージェントのさらなる活用は、デジタル変革に向けた重要な取り組みの一つである。

JTBの黒田氏は、「JTBとしての活用の出発点はワークフローですが、ServiceNowには様々なソリューションや機能があり、どの業務にどんなソリューションや機能が使えるのか、部門ごとのニーズも踏まえながら検証を進めています。とにかく拡張性の高い製品なので、そのポテンシャルを余すところなく引き出しながら、デジタル変革を推し進めていきたい」と抱負を語った。

わずか1カ月半で新しいサポートサイトを構築したJTB-CWT。社内プロジェクトチームが一丸となったことで、短期間での稼働を実現した