つながるデジタル基盤で行政DXを推進

大阪市の未来を創る
統合プラットフォーム

先行プロジェクトとして
「予算編成システム」を開発

大阪市の「バックオフィスDX」プロジェクトが始動したのは23年。初年度はグランドデザインやロードマップ、KPI・KGIなどを策定し、2年目の24年にグランドデザインに沿った基盤整備やシステム刷新のフェーズがスタートした。

最終的に目指すのは、システム間の連携によって庁内の情報と業務を横断的に束ね、成果と信頼性を高めつつ、組織全体のパフォーマンスと業務品質を向上させることだ。その実現に向けSaaSなどの最新ソリューションを採り入れ、その中核としてServiceNowを活用する。その先行プロジェクトとして、大阪市は23年にServiceNowのSPM(戦略的ポートフォリオ管理)をベースとする「予算編成システム」の開発をスタートさせた。

予算編成システムとは、文字通り、次の会計年度における市全体の予算を編成するためのシステムだ。各部局が算定する予算要求のデータを集め、集計や調整を行った上で、予算案にまとめ上げる仕組みである。

「従来は、各部局がExcelなどで予算要求資料を作成し、紙やメールで提出された資料を集めて予算案作りを行っていました。しかし、予算議論によって頻繁に差し替わる要求内容や、各部局の算定額の管理を行うにあたり、これでは作業があまりにも煩雑ですし、各部局からの要求額を市全体で再度Excel集計するという作業も相当な時間がかかっていました。何とかもっと効率よくできないか?と考えていたところ、DX戦略の策定といった契機も重なり、システム化に踏み切ったのです」

そう語るのは、大阪市財政局 財務課長代理で、デジタル統括室 バックオフィスDX担当課長代理も兼務する梅屋 剛氏である。

梅屋氏
大阪市
財政局 財務部 財務課長代理兼
デジタル統括室バックオフィスDX
担当課長代理
梅屋 剛
2000年に大阪市へ入庁。市立市民病院にて経理・人事などの管理業務に従事し、医療現場の運営を支える。10年からは財政局に所属し、予算編成業務を担当。23年より予算編成システムの開発に携わるなど、デジタル技術を通じた行政の効率化・高度化に取り組んでいる。

「予算編成システム」の開発は、市全体の予算を取りまとめる部局である財政局が主導。梅屋氏がプロジェクト全体を統括した。

「スクラッチで開発するシステムとは異なり、ローコードプラットフォームであるServiceNowなら『何ができるのか?』ということが視覚的・直感的に理解しやすく、開発の途中段階で何度でも修正が加えられるので、ITとは縁遠い私たちでも管理できるだろうと判断したのです。リリース初年度でも大きなアクシデントなく予算編成が完遂できた点において、予算編成システムとして求められる一定の水準はクリアできたのではないかと思います。とはいえ、改善の余地はまだまだあります。今後もユーザーである各部局の声を拾い上げながら、もっと使いやすいシステムにしていければ」(梅屋氏)

「予算編成システム」は、24年7月に稼働。開発に要した期間はわずか14カ月だった。

「ServiceNowはローコード開発に対応しているので、検証と改善を何度も繰り返しながらでもスピーディに開発を進められたことが、早期の稼働につながったのだと思います」と梅屋氏は評価する。

ServiceNowのApp Engineで
「統合プラットフォーム」の開発を進める

「予算編成システム」の稼働によって、職員の業務プロセスは、紙やメールなどでやり取りしていた従来に比べて大きく変わった。

各部局が入力した予算要求データはシステム上で一元管理されるので、これまでExcelで行っていた集計作業が大幅に軽減され、予算算定上の「課題に対する議論」といった、本来もっと時間をかけるべきコア業務により一層注力できている。

これらの効果は、大阪市が「バックオフィスDX」で目指している業務の理想像を先取りしたものだ。DX推進担当係長の西村氏は、「庁内のあらゆる業務プロセスとデータが統合され、すべての職員が“ワンプラットフォーム”で様々な業務を効率的にこなせるようになることが、大阪市が『バックオフィスDX』で目指している理想像です。『予算編成システム』の導入による業務効率化とデータ利活用の高度化は、この理想にたどり着くための着実な一歩となりました」と評価する。

先行プロジェクトと位置づけた「予算編成システム」が無事稼働したことを受け、大阪市は25年、「バックオフィスDX」プロジェクトのグランドデザインに沿って、プロジェクトの本丸である全庁のデータと業務プロセスを一元化する“ワンプラットフォーム”の開発をスタートさせた。

大阪市は、このプラットフォームを「統合プラットフォーム」と命名。その開発基盤として、事業者提案によりServiceNowのApp Engineを採用した。

App Engineは、ユーザーによる市民開発を可能とするローコード・ノーコードの開発基盤だ。これを使えば、ITに関する専門知識を持たないユーザーでも、業務効率化や生産性向上のために必要なツールを自分たちの手で構築したり、システムの機能を追加したりすることができる。

またApp Engineには、組織内で利用されている様々なシステムを、簡単な設定でプラットフォームにつなげられる機能もある。この機能によって全庁のデータや業務プロセスをServiceNowのワークフローに直結すれば、1つの画面であらゆるデータの入手やタスク処理ができるといったように、職員の業務効率は格段に向上するのだ。

西村氏は、「『統合プラットフォーム』の基盤となるソリューションの選定にあたっては公開入札を実施し、ServiceNowのApp Engineを選定しました。これは、我々が思い描いている理想をかなえるソリューションであると確信しています」と説明する。

統合プラットフォームの概要

統合プラットフォームの概要
お知らせ・申請・相談・タスク・ナレッジが「統合プラットフォーム」に集約。これにより、職員の日々の業務における「探す・待つ・聞く」を削減する