ServiceNow World Forum Tokyo 2025 Special Review for CRM 優れたワークフローとAIで「おもてなし」を実現 ServiceNow CRMがもたらす新たな顧客体験

子育て支援拠点のサービス基盤として
ServiceNowを活用

「横浜市は人口370万人を超える日本最大の基礎自治体であり、20の局と18の区役所を持つ、巨大グループ企業のような存在です。規模が大きいために、限られた職員数でいかに安定した行政サービスを提供できるかが大きな課題となっています」

セッションの冒頭、横浜市の実情についてそう語ったのは、横浜市 最高情報統括責任者(CIO)補佐監の福田次郎氏である。

同市は、2040年までに後期高齢者が約20%増加する一方、働き手が約2割減少すると予想している。つまり、行政サービスの担い手は、今後ますます減っていくのだ。

「生産年齢の人口減少によって、人材確保はさらに困難になります。一方で、主な歳入である市民税や固定資産税などの税収も減っていくでしょう。今後も行政サービスを維持していくためには、なるべく人に頼らず、システム化や定型業務の自動化を推し進めることが避けられない状況となっているのです」と福田氏は説明した。

システム化や自動化を推進するため、横浜市が選んだのがServiceNowだ。福田氏は、数あるソリューションの中からServiceNowを選定した理由について、「制度変更などがあっても容易に対応できる柔軟性、時間をかけずにシステムが構築できるアジャイル開発に対応していること、スマートフォンに対応していることなどを評価しましたが、何より職員自身が考えたサービスに合わせてワークフローを自由に構築でき、かつ横浜市のような大規模ユーザー数に対応できるローコード開発環境が、導入の大きな決め手になりました」と明かした。

横浜市は、ServiceNowを、市民向けに開発した子育て支援アプリ「パマトコ」のバックエンドの1つである地域子育て支援拠点システムとして利用している。

子育て支援アプリ「パマトコ」は、横浜市独自の行政サービスである「地域子育て支援拠点」と「横浜子育てサポート」のシステムに連携している。前者は市内に18カ所ある地域子育て拠点の予約システム、後者は子育てを頼みたい親と支援したい市民をマッチングするためのシステムだが、これらを連携させ、「パマトコ」を通じて申し込みの受付から手配までを、ServiceNowでワンストップで行えるようにしたのだ。

福田氏は、「今後はAIエージェントを活用し、職員が行っている提携業務を全て自動化するのが理想だ」と語った。ServiceNowを活用した横浜市の行政DXはさらに進みそうだ。

福田氏
横浜市
最高情報統括責任者(CIO)補佐監
福田 次郎

ServiceNowのAIが導く
CXとEXの向上

続いて紹介するのは、JTBのグループ会社、JTBビジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)のセッションである。同社 営業企画部長の若槻武彦氏と、IT企画部 IT企画課長の尾山陽子氏が登壇し、「生成AIを搭載した『ビズバンスJTB出張予約・経費精算』カスタマーサポートサイトの構築 ~AIの力で“問い合わせの質とスピードを両立できる”未来の手応え」と題する講演を行った。

JTB-CWTは、法人顧客の出張手配や出張経費管理など、ビジネストラベルをトータルサポートする企業である。これまで、複数のブランドで提供していたサービスを、2025年3月に「ビズバンス(JTB出張予約・JTB経費精算・JTB経費データ連携)」という名称へのリブランディングを実施。このリブランドを機に、問い合わせ窓口を1つのポータルに集約、カスタマーサポートサービスの提供を開始している。

各サービスの利用方法やツールの操作方法などを説明するカスタマーサポートサイトを一本化、運用するための基盤として、AIエージェント機能の一部である生成AI(Now Assist)が搭載されたServiceNow CRMのCustomer Service Management(CSM)を導入した。

ServiceNowを選定した理由について、若槻氏は「お客様からの問い合わせに対し、AIが対応できる部分はAIに任せることで、お客様の課題解決までの時間を短縮し利便性を向上させるとともに、担当者がより高度な案件に集中できる環境を実現したいと考えました。担当者の負担を極力減らし、総合的な顧客満足度を高めるには、AIの能力が相応に高くなければなりません。その点、Now Assistは十分過ぎるほどの能力を備えていました」と明かす。

JTB-CWTは、カスタマーサポートサイトを運用しながら、CSMに搭載されているNow Assistに継続的な学習を行わせた。

「お客様がサポートサイトで質問を入力すると、Now Assistが複数のナレッジを横断的に検索し、最適な回答を提示できます。回答が見つからない場合は、スムーズに担当者に取り次ぐ仕組みも構築し、AIが対応する部分と有人対応する部分を明確に切り分けました」と説明したのは、尾山氏である。

その結果、顧客が課題を解決するまでの時間は大幅に短縮され、サービスに対する満足度が向上。定量的な試算では、ナレッジ共有、自動要約、生成AIによる一次回答によって、従来の問い合わせ件数の半数に対応していると想定され、年間で約5492時間を削減できるとされている。さらに、担当者の業務負担も著しく軽減されて、CX(顧客体験)とEX(従業員体験)が同時に上がる効果が得られたという。

若槻氏は、「導入決定から実装まで、わずか1カ月半という短期間でこぎ着けたのもServiceNowならではの効果だったと評価しています。今後はカスタマーサポートサイト以外のサービスについても、ServiceNowで効率化、自動化を図っていきたい」と語った。

若槻氏
株式会社JTBビジネス
トラベルソリューションズ
営業企画部長
若槻 武彦
尾山氏
株式会社JTBビジネス
トラベルソリューションズ
IT企画部 IT企画課長
尾山 陽子