日本企業の可能性を解き放つ
富士通の全社変革
変革のための
プラットフォーム
富士通は、2011年に欧州を中心にIT運用のビジネスでServiceNowを導入し、2020年には国内の社内IT部門でも活用を開始した。
富士通では長年の運用実績を踏まえ、ServiceNowをフジトラ推進のための重要なプラットフォームの一つと位置付けている。
「ServiceNowには、ITサービス管理(ITSM)のほか、IT投資プロジェクト管理、ITオペレーション管理、セキュリティ管理、人事サービス管理(HRSD)、ワークフロー、さらには独自のビジネスアプリ開発など、多彩なソリューションが用意されています。これらを1つのプラットフォームに統合して、全社共通プラットフォームとすることを目指しています」と柳氏は説明する。
グローバル企業である富士通には、国内外に様々なビジネスグループや、その傘下に膨大な数の事業部門がある。従来は、それぞれのグループや部門が異なるプラットフォームを使って業務を回していたが、それをServiceNowに一元化することで、業務プロセスの標準化や、全社におけるデータを共有・蓄積。さらに、そのデータを活用した業務の効率化や自動化などを実現しようとしているのだ。
「ServiceNowの全社活用を支援して、『業務の見える化・標準化・自動化』を推進することが、私たちのミッションです。ワンプラットフォーム上で全社のあらゆるデータが横断的に管理できる環境を整えることで、データに基づいた意思決定が可能となります。同時に社員の業務負荷を軽減して、ユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させることを目指しています」(柳氏)
CDUでは、社内IT部門やビジネスグループ、事業部門におけるServiceNowの導入および活用を支援するため、プラットフォームの提供だけではなく、ServiceNowのユースケースの紹介や説明会の実施を通じて社内全体に普及させる活動などを行っている。
「現時点で380以上の社内システム・サービスに対して、ServiceNow ITSMの活用を支援しております。ServiceNowの機能は絶えず進化を遂げているので、最新機能に関する情報もタイムリーに発信し、より効率的で効果的な使い方ができるようにサポートしています」と柳氏は語る。
一方でCDUは、社内に展開しているServiceNowの活用事例を、同社の顧客企業に紹介する“橋渡し役”も担っている。後述する富士通のServiceNow事業部と連携し、顧客企業によるServiceNowの活用を支援しているのだ。
柳氏は、「富士通が社内で蓄積したServiceNowの活用ノウハウを広めることで、お客様や社会のDXに貢献していきたい」と抱負を語る。
さらに、フジトラにおける重要テーマの一つとして取り組んでいるのがAI活用だ。柳氏は、ServiceNowのAIの導入状況について次のように語った。
「富士通の各事業部門には社員向けのサービスデスクがありますが、それぞれに寄せられる問い合わせの内容をServiceNowの生成AI機能である『Now Assist』で要約し、解決した問い合わせ情報を基にナレッジが自動生成される仕組みを作り上げています。今後は、人に代わってAIエージェントが問い合わせへの対応や、後工程の手配を行ってくれる効率化にも取り組む予定です」(柳氏)
Now Assistの活用により、検索率50%向上や、ナレッジ自動生成数43%増加、1次窓口から2次窓口以降へのアサイン工数22%削減などの効果を見込んでいる。また現在CDUでは、人が介在せずにAIが問い合わせ対応の最初から最後までを完結させる「ゼロタッチサービスデスク」の実現を見据え、実証・検証にも取り組んでいる。
開発プロジェクトの管理ツールを
ServiceNowに一元化
変化をチャンスと捉え新たな挑戦を続ける富士通は、前述した「フジトラ」以外にも、先進的なプロジェクトを数多く進めている。そのプロジェクトのうちの一つが、全社における開発の基盤となるFujitsu Developers Platform(以下、DP)としてのServiceNowの活用だ。
DPとは、開発の基盤として、富士通の各部門の開発者が日常的に利用しているチャットやライブラリ管理ツール、コード管理ツール、セキュリティチェック、プロジェクト管理ツールなどの総称である。
「従来、開発の管理手法はビジネスグループごとや事業部門ごとにバラバラで、ツールもそれぞれの管理手法に合ったものが使用されていました。富士通では、これを一元化することを目指しており、グローバルスタンダードに沿ったDPへの置き換えを進めているのです」と説明するのは、Tech Standardize統括部 マネージャーの高畠陽介氏である。
グローバルデリバリービジネスグループ
Tech Standardize統括部
マネージャー
高畠 陽介 氏
そのDPの一つとして選定したのが、ServiceNowであった。全社の開発プロジェクトを一元管理するため、ServiceNowのSPMを導入。さらに、業務やシステムに問題を及ぼすインシデントに関する報告の受付と調査業務を効率化するため、ServiceNowのCSM(カスタマーサービス管理)を採用した。
このうちSPMは、全社の開発業務においてプロジェクトの計画や実行状況、進捗状況などが管理できるソリューションである。業務の標準化とソリューションを一本化することで、これまでバラバラに行っていたプロジェクト管理を全社で統一することに成功した。
「『期限を越えているプロジェクトは何件あるか?』『進捗率は何パーセントか?』といった状況がすぐに集計できるようになり、管理の精度が向上しました。開発を担当する各グループや部門からも、進捗状況が可視化されるのでプロジェクトが進めやすくなり、新規プロジェクトの立ち上がりも早くなったという声が寄せられています」と高畠氏は語る。
プロジェクト管理のためのツールは他にもあるが、富士通がServiceNowのSPMを選んだのは、柔軟にカスタマイズできる点を評価したからだ。
「管理手法をグローバルスタンダードに合わせることは大原則ですが、部門によっては、どうしても変えられない部分があります。そういったローカルな手法を一般化して、標準機能として組み込む際にもローコード・ノーコードで素早く対応できる点は、選定の大きな決め手の一つになりました」と高畠氏は明かす。