変化に挑み、成果を顧客と社会に還元する

日本企業の可能性を解き放つ
富士通の全社変革

独自開発のAIとServiceNowで
生産性は従来の3倍に向上

ServiceNowの活用はこれだけにとどまらない。富士通のカスタマー向けインフラサービスの高度化プロジェクト「運用DX」も特筆すべき取り組みである。

運用DXとは、社会システムを支える富士通のクラウドサービスやネットワークサービス、データセンターサービスといったインフラサービスの運用を効率化するための変革だ。

「従来、これらのインフラサービスの運用は、サービスごとに個別に行われていました。それを一元的に運用し、個別最適化されていたサービス品質を全体最適化するため、ServiceNowを導入する判断をしました」と語るのは、運用DX室 プリンシパルエンジニアの根上博樹氏である。

根上 氏
富士通株式会社
プラットフォームビジネスグループ
マネージドインフラサービス事業本部
運用DX室
プリンシパルエンジニア
根上 博樹
2007年富士通入社。長年、顧客システムの運用標準化・効率化に従事。2022年よりインフラサービスの運用DX統合基盤の企画・開発に参画。以降、各インフラサービスの運用変革を推進しており、現在はAI導入も推進している。

運用DX推進のカギとなったのは、現場を巻き込んだ意識改革だ。

「次世代運用のベストプラクティスであるSRE(Site Reliability Engineering)を体系的に学ぶための教育プログラム『SRE大学』を立ち上げ、手順に沿って作業するオペレーターから、自ら課題を発見し運用変革をリードするSRE人材への意識改革を推進しました。現場主導で長期間にわたる多数の施策を支え、運用DXを円滑に推進する原動力となりました」

さらに、SRE人材の育成と並行して、複数のサービス事業部門で個別に行われていたハードウェアとソフトウェアのセキュリティ管理の統合を目指した。そこで、ServiceNowのCMDB(構成管理データベース)への全社ITアセットデータの統合を推進した。

 

しかし、「富士通のインフラサービス全体で使用されているハードウェアは約5万台、ソフトウェアは約2300万件にも上ります。この膨大なITアセットのデータを短期間で正確に統合するには、綿密な計画と高度な技術が必要でした」と根上氏は振り返る。

そこで富士通は、作業スピードを短縮するためにServiceNowのITOM Discoveryという自動的なアセット検出ソリューションを利用。その結果、わずか半年という短期間で膨大なITデータをCMDBに統合し、脆弱性情報にひも付けることで、富士通サービス全体のセキュリティ強化に成功した。

CMDB統合に成功した運用DX室は、続いてインフラサービス間のITSMの統合も実現。現在はさらなる進化を見据え、ヘルプデスク業務のマルチAIエージェント化を推進している。これにより、ナレッジ蓄積の効率向上の面でも生産性を高めている。

「富士通が独自に開発した生成AIとServiceNowを組み合わせて、問い合わせの回答をAIが自動化する仕組みを開発しました。SRE人材の活躍により複数のサービスインフラ運用をServiceNowに統合し、さらにAIエージェントの導入により生産性は従来の3倍に向上しています。今後は障害対応など複雑な運用業務にAIエージェントを展開して、生産性10倍を目指しています」と根上氏は語る。

また、「富士通はこの先進的な運用DXの実践で培われたインフラ運用統合の知見と、運用AIエージェント開発のノウハウをお客様に提供します。ServiceNowにこれらを組み込むことで、運用業務の効率化・自動化、DX推進に課題をお持ちの企業の皆様をサポートしていきます」と根上氏はその展望を語った。

蓄積されたユースケースを基に
ServiceNowの活用を支援

以上のように、富士通の各部門が取り組むServiceNowの活用は、大きな成果を上げている。

そうした社内の実践知に基づき、ユースケースとして顧客企業へ紹介するとともに、企業ごとの事情に合わせた応用方法を提案しているのが富士通のServiceNow事業部だ。

「富士通は、お客様の事業成長と社会課題の解決を支える『Uvance』という事業モデルを展開しています。この事業モデルの中で、『ビジネスの中核を支える業務アプリケーション』としてServiceNowをはじめとするグローバルな製品の導入支援を行っています」と語るのは、ServiceNow事業部 事業部長の山口肇氏である。

山口 氏
富士通株式会社
グローバルデリバリービジネスグループ
EBAS事業本部ServiceNow事業部
事業部長
山口 肇
2004年富士通入社。新聞・放送系アカウントSEを経て米英に駐在、事業開発や標準化を主導。2015年より製品保守やITSM基盤のグローバル展開、2020年にはServiceNow事業を立ち上げた。2022年よりServiceNow事業部長を務める。

先ほども述べたように、富士通は2011年にグローバルでServiceNowを導入しており、日本でも2020年から活用してきた実績がある。

「そのため、社内におけるServiceNowのユースケースは、成功例はもちろん、失敗例も含めて膨大に蓄積されています。その経験に基づいてROI(投資対効果)を最大化できる活用方法を提案できるのが、富士通の強みであると自負しています」と山口氏は語る。

また、富士通は2024年5月にServiceNowと戦略的パートナーシップを発表した。このパートナーシップの下、両社が共同で設立した「Innovation Hub」は、顧客企業ごとの業務課題に対応可能なServiceNowの新ソリューションを、個別に、なおかつスピーディに提供できる体制を整えている。

さらに両社は、顧客企業によるServiceNowの導入・活用を、戦略にひも付けた計画作りから運用、継続的な改善に至るまでトータルに支援する「CASE(Fujitsu Customer Advisory and Support Excellence for ServiceNow)」というアドバイザリーサービスも提供している。

「富士通は2022年に、オーストラリアでServiceNowの導入支援コンサルティングを行っているEnable Professional Servicesを買収しました。日本よりもServiceNowの導入事例が多く、様々な業種で利用されているオーストラリアの知見も得られるようになったことは、CASEのサービス強化につながっています」と山口氏は語る。

富士通は、これからも自社が蓄積した豊富な知見を生かしながら、日本企業によるServiceNowの活用を積極的に支援していく方針だ。

山口氏は、「富士通には、長年にわたって社会や、あらゆる産業の情報化・デジタルトランスフォーメーションを支援してきた歴史があります。お客様業務の深い理解、業種ごとの課題を知り尽くしたバックグラウンドに加え、自分たち自身がServiceNowを長年使い続けてきたことは、ServiceNowの導入を検討するお客様に富士通が提供できる何よりの価値であると考えています」と語る。

富士通とServiceNowのタッグは、日本企業の可能性を解き放つ、頼もしい力となりそうだ。