120年以上の歴史を誇るNECの
「AIネイティブカンパニー」への進化
「クライアントゼロ」として
最新テクノロジーを活用する
100年以上の歴史を誇る企業が、世界的に見ても多い日本。1899(明治32)年に創業し、約120年の歴史を持つNECも、そんな「トラディショナルな日本企業」の一つだ。
常に最新テクノロジーを先取りしながら、日本の社会や産業の発展を支える最先端の製品やソリューションを提供し続けてきたNECには、「伝統」よりも「革新」という言葉がよく似合う。
その革新性は、「伝統は守りつつ、時代の変化に合わせて、いかに自分たちを変えるべきか?」という問いの連続によって培ってきたものである。変化し続けてきたからこそ、120年以上という長い歴史を歩み続けることができているのだ。
「我々のようにトラディショナルな企業が時代を先取りし続けることは、お客様にとっても大きな励みとなるはずです。まずは、自分たちが新しいことにチャレンジし、その成功モデルをお客様に提案することで、日本全体の発展に貢献していきたいと考えています」と、関氏はNECの基本的な姿勢について説明する。
その姿勢を端的に表現するのが、「クライアントゼロ」というNECの方針だ。
新しいテクノロジーやソリューションが登場すれば、まず自らがゼロ番目のユーザー(クライアントゼロ)となって実践し、良いところ、悪いところも含めて生きた知見としていく。その上で、より効果的な使い方や、ROI(投資利益率)の高い導入方法などを提案するのである。
「クライアントゼロ」の取り組みとして、NECは前の中期経営計画(2021年度~2025年度)期間中に積極的な社内DXを推進。各部門や業務で個別最適化されていた約2000のレガシーシステムを、ServiceNowをはじめとする最新ソリューションに置き換えた。
これによって業務プロセスの標準化、社内データの一元化などが一気に進み、その刷新プロジェクトの過程で培った開発や運用などの知見を顧客に還元してきた。
「AIは新たな産業革命だと考えています。創業120年以上のトラディショナルな企業でも、AI時代に合わせた組織や業務の変革が実現できる。その可能性を示し、お客様の参考にしていただくため、まず自らが『AIネイティブカンパニー』となることを目指し、様々な取り組みを進めています」と関氏は説明する。
関氏は「AIネイティブカンパニー」への道のりを3段階で捉えている。第1段階は「AIを使い始めた段階」、第2段階は「AIが業務プロセスそのものを変える段階」、そして第3段階が「AIが業務を担う『AIネイティブカンパニー』」だ。「多くの企業は今、第1段階にいます。NECも現在、第2段階への移行期にあります。この変革を体現することで、同じ課題を抱えるお客様の道標になれると考えています」と関氏は語る。
全社のAI活用を支える部署を設置
60件の開発プロジェクトを推進する
「AIネイティブカンパニー」を目指すNECが具体的な取り組みとして進めたのが、2025年4月にスタートした「AI業務変革プロジェクト」である。関氏がプロジェクトマネージャーを務め、AIと親和性の高い7つの業務領域の中で、人に代わって様々な業務を行うAIエージェントの企画の中から、60件の開発プロジェクトを選定し、約1年間にわたって推進してきた。
2026年4月には、この「AI業務変革プロジェクト」を発展させ、NEC全体におけるAI基盤の整備や、AIアプリケーションの開発、利活用促進などを担う「AIプラットフォーム統括部」を設置した。
「当社におけるAI活用の『一丁目一番地』と言える組織です。NECを『AIネイティブカンパニー』にするために、積極的な役割を果たしていきたい」と同部のシニアディレクターに任命された関氏は抱負を語る。
AIプラットフォーム統括部は、「AI業務変革プロジェクト」で動き出した60のAIエージェント開発プロジェクトを引き続き統括している。
そのプロジェクトの一つが、人事に関する従業員問い合わせの効率化である。ServiceNowの従業員ポータルを基盤として、人事に関する従業員からの問い合わせ内容と回答のデータを蓄積し、そのデータをもとにNECが独自に開発したAIが「ナレッジ(FAQ)」(以下、ナレッジ)を自動生成する仕組みの構築だ。
「ServiceNowの従業員ポータルでは、従業員からの問い合わせに対して、AIチャットボットがナレッジを基に自動回答するサービスを提供しています。また、AIチャットボットで解決せず、ヘルプデスクに問い合わせが起票された場合は、AIエージェントがナレッジや過去の問い合わせデータなどから回答案を提案する仕組みです。そこから蓄積された問い合わせデータと社内規定などを組み合わせ、AIがナレッジの自動生成を行い、ナレッジの精度を高めることで自動回答の品質を向上させるエコシステムを構築しました」
そう説明するのは、AIプラットフォーム統括部に所属し、ServiceNow関連のAIアプリケーション開発などをリードする AIワークフローグループ プロフェッショナルの廣瀬貴也氏である。
コーポレートIT・AIイノベーション部門
AIプラットフォーム統括部
AIワークフローグループ
プロフェッショナル
廣瀬 貴也 氏
この仕組みの特徴の一つは、ServiceNowに組み込まれているAIと、NECが独自開発したAIを“適材適所”で使い分けている点にある。
「ServiceNowのAI(Now Assist)は都度の回答生成に優れる一方、ナレッジ生成には社内規定の参照や膨大な過去の問い合わせデータの集約が不可欠です。そのためNEC独自の仕組みを構築して補完しました。ServiceNowは拡張性が高く、両者のスムーズな連携が実現しています」と廣瀬氏は語る。
この仕組みをAIで構築したことにより、ナレッジ生成の工数を92%削減。さらに、ナレッジの精度も上がったことでユーザーの「自己解決率」も50%向上したという。
生成AIによるナレッジ自動生成