120年以上の歴史を誇るNECの
「AIネイティブカンパニー」への進化
アップグレードの影響分析工数を92%、
テスト工数を43%削減
NECはこの他にも、独自の技術とServiceNowを組み合わせたソリューションをいくつも開発している。その例の一つとして廣瀬氏が挙げたのが、レガシーシステムの画面スナップショットを基に、ServiceNowのテーブル設計から作成までを自動化し、さらにNow Assistへのインプットとなるプロンプトまで生成するソリューションだ。これによって、モダナイゼーションにかかる工数は65%削減、プロジェクト期間も50%短縮されるなど、ServiceNowのアプリケーション開発の効率とスピードは格段にアップした。
「当社が独自に開発した『マルチモーダルAI』という高精度な画像判別技術を使ったものです。NEC は20年以上も前からAI研究を行っており、数多くの画期的なAI技術を持っています。その強みを掛け合わせれば、ServiceNowをより速く、効果的に活用できるようになるわけです」と関氏は語る。
NECの技術を駆使すれば、ServiceNowのアプリケーション開発は格段に効率化する。その最たるソリューションとして同社が開発したのが、半年に1度のServiceNowの「アップグレード」にスムーズに対応できる仕組みだ。
アップグレード作業について、企業によっては大きな負担を強いられることもあるが、AIプラットフォーム統括部で、廣瀬氏と同じくAIワークフローグループ プロフェッショナルを務める青木紀夫氏は次のように語る。
コーポレートIT・AIイノベーション部門
AIプラットフォーム統括部
AIワークフローグループ
プロフェッショナル
青木 紀夫 氏
「ServiceNowは、半年に1回の頻度でアップグレードが行われますが、その都度、カスタマイズしたアプリケーションの動作確認やテストに膨大な工数を要するのが一般的です。その作業量を大幅に減らすため、当社のAIでServiceNowのアップグレード対応を効率化する仕組みを開発しました」
この仕組みでは、NECのAIが2つの作業に用いられている。1つは、カスタマイズしたアプリケーションが、アップグレードによってどのような影響を受けるのかを分析する「影響分析AI」。もう1つは、テスト段階において、どのようなシナリオに基づくテストを行うべきかを提案してくれる「テストシナリオAI」だ。
「影響分析に関しては、従来はアプリケーションの構成情報と、ServiceNowから提供されるリリースノートの内容を人間の目で照らし合わせ、どこを直すべきかを一つひとつ確認していました。これでは工数も期間もかかりますし、人によって作業の効率やバラつきが出てしまいますが、影響分析AIを活用することで、分析の精度は格段に上がり、工数も92%削減することができました。また、テスト工数も43%削減しました」と青木氏は効果を語る。
影響分析の工数削減とテストシナリオの自動生成——この2つの仕組みがそろったことで、NECはServiceNowの半年に1回のアップグレードに追随することができ、最新機能を常に使い続けられる環境を手に入れ、社内のAI活用をさらに加速させている。
テクノロジー活用に悩む企業に
最適な解決策を提案する
ここまで見てきたように、NECによるAIアプリケーションの開発は、IT領域だけでなく、人事をはじめとする非IT領域までカバーしている。開発の大きな狙いの一つが、販管費の削減にあるからだ。
「おかげさまでNECは2024年度まで7期連続で期初計画を達成しましたが、売り上げの伸びに比べて利益率が十分ではないという課題がありました。利益率を大幅に向上させるための手段としてもAIエージェントに期待を寄せているのです」と関氏は語る。
このように、NECが「クライアントゼロ」として培った社内におけるAIやServiceNowの経験は、同社の顧客企業に紹介され、より効果的な導入や活用の知見が広がっていく。
さらにNECは、ServiceNowをはじめとするテクノロジーやソリューションと、NECが誇る先進テクノロジーを組み合わせ、顧客のDXをエンドツーエンドで支援する「BluStellar(ブルーステラ)」という価値創造モデルも展開している。
これは、NECの約1万人に上るDX人材が、顧客企業ごとの目的や事業特性などに合わせて、ServiceNowなどのソリューションを最適な状態で企業に導入、運用できるように支援するサービス提供モデルだ。
「せっかく最新ソリューションを導入するのなら、狙い通りの成果を上げていただきたい。そんな思いから、まずは自分たちで徹底的に使い倒して効果を検証し、NEC独自のテクノロジーも融合させることで、最適な解決策を提案しています」と関氏は説明する。
また、NECとServiceNowは、定期的に両社のCEOが会談するなど関係性が極めて深い。技術者同士も頻繁にコミュニケーションを交わしており、この緊密な関係性も、顧客企業に両社の持ち味を掛け合わせたソリューションやサービスを提供する上での強みになっているという。
最後に関氏は、「経験と言っても、お客様が本当に知りたいのは成功事例だけでなく、むしろ、どんな点に苦労したのかということだと思います。良いも、悪いも含めてお役に立つ情報を提供し、お客様のAXやServiceNowの活用を強力に支援できるのは、国内ではNECしかいないと自負しています。
ServiceNowをITマネジメントツールとして捉えている限り、本当のROIは生まれないと考えています。ServiceNowをデジタルワークフローのプラットフォームであると理解し、IT以外の業務にデジタルワークフローを広げ、AXすることで初めて、人は定型業務から解放されて真の価値創造のみに集中できるようになります。逆に言えば、AXを推進しない企業は淘汰される時代とも言えます。その大きな変革の可能性を、ぜひNECと一緒に探っていただきたいと思います」と語った。