
ジェネシスクラウドサービス/伊藤忠テクノソリューションズ
2023/9/12
「ビジネス環境が目まぐるしく変化する現在、適切にCXを改善するためには、スピード感が求められるのはいうまでもありません。そして、コンタクトセンター領域でも、それが実現しやすいクラウドツールの活用が進んでいるのは間違いありません。つまり、現在はデータ活用がしやすい環境が整っているといえるでしょう」
CX改善におけるデータ活用環境について、ジェネシスクラウドサービス(以下、Genesys) 代表取締役社長 ポール・伊藤・リッチー 氏はこのように説明する。

長年に渡り、コンタクトセンター・ソリューションを提供してきた同社では、7年ほど前から業界に先駆けて、クラウドによるソリューション提供を展開してきた歴史がある。コンタクトセンター事業はミッションクリティカルな領域ということもあり、他に比べるとクラウド活用が遅れてきた印象があるが、そんな同社の取り組みの甲斐もあって、クラウド活用は着実に進んでいるようだ。
そして、そのような状況下で、同社が提供する価値も以前とは変化しつつある。
「当社は、コンタクトセンター・ソリューションを提供してきた企業として知られています。ですが以前より、コンタクトセンターにとどまらず、CX全体を改善するためのプラットフォームを提供していく必要があると考えてきました。なぜなら、顧客との接点が多様化している現在では、コンタクトセンターのみでCXを最適化することは難しいからです。そこで当社では『エクスペリエンス・オーケストレーション』を標榜し、生成AIなど最新のテクノロジーを活用してパーソナライズされたCXを実現するGenesys Cloud CXというソリューションを提供しているのです」(ポール氏)
パーソナライズされたCXを実現するには、多種多様な顧客接点から収集したデータの活用が必要不可欠だが、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC) 執行役員 エンタープライズ事業グループ エンタープライズ第1本部長 澤登 寿 氏は、データ活用の重要性を次のように説明する。
「クラウドの普及でどのような企業でも簡単にITが利用できるようになり、IT活用による差は縮小しています。そうなると、競合との差別化は収集したデータをいかに活用するかにかかってきます。CXの領域では、それがパーソナライズ化になるわけです」

しかし、企業がデータを活用する際には、いくつかの壁が存在すると澤登氏は指摘する。
「まずいえるのが、社内組織のサイロ化の問題。CXをパーソナライズ化するには、複数の顧客接点からのデータを俯瞰でとらえ、全体最適を行う必要があります。しかしサイロ化された組織やシステムではそれが難しい。コンタクトセンター・Webサイト・スマートフォンアプリなど顧客接点ごとの部分最適に終始しがちなのです。これでは、いくらクラウドプラットフォームにデータをまとめることができたとしても、うまく活用ができません。そして、もう1つの壁が、テクノロジーの問題です。コンタクトセンター、Web、チャットなど、複数のタッチポイントにまたがる顧客の行動データを有効活用できるように情報を紐づけることは技術的に簡単なことではないのです」(澤登氏)
組織のサイロ化については、経営層がリーダーシップを発揮することで解消可能だ。さらに言えば、全体最適が必要ということは、特定の部門だけでは投資判断ができないということになる。つまり、この取り組みには経営層が旗振り役になることが必要不可欠だといえる。
そして、社内組織のサイロ化によるデータの分断を乗り越えるために力を発揮すると期待される製品がGenesysから提供されている「Pointillist(以下、ポイントリスト)」だ。本製品は澤登氏が2つ目に挙げたテクノロジーの壁を乗り越えるものだ。そして本製品の機能は将来的にGenesys Cloud CXに実装される予定だ。
現在、カスタマージャーニーの分析ツールは、数多く存在するが、ポイントリストは、様々なツールから顧客の行動データを収集できるのが最大の特徴。
さらにすべてのチャネルで発生した各イベントを顧客ごとにつなぎ合わせ、時系列でジャーニーとして整理することが可能なほか、AIによって課題の特定もスピーディに行うことができ、タイムリー且つ効率的な改善が可能になるというのだ。
日本での普及はこれからだが、米国ではすでに様々な企業がポイントリストを活用して、CXの改善に成功している。ポール氏は、そのような企業の内、家庭向けメディアサービスなどを展開する米国の通信事業会社の事例を紹介。
「こちらの会社では、電話による問い合わせを減らすために、チャットボットを導入したところ、却って顧客満足度が下がってしまいました。そこでポイントリストにより、カスタマージャーニー全体を俯瞰し、問い合わせで一番ボリュームがある部分をジャーニーマップ上で即時に把握、課金関係のボット対応の約半分が電話による取り合わせに流れていることが明らかになりました。ボトルネックをいち早く発見し、解決に着手できたことで、電話への転送を7割削減し、その他にも、同社では電話を介して頻繁に行われる手続きを特定して、その手続きをWeb上で完結できるようにした結果、大幅な通話数の削減を実現。それに伴い1.4億円ものコストを削減することに成功しています」
「ポイントリストによりエクスペリエンス・オーケストレーションが実現すれば、CXは劇的に変化します。コンタクトセンター外の企業全体のデータを活用することで、企業は、自分たちのお客様を正しく理解し、どのような体験を提供すべきかをきちんと考えられるようになります。さらに、よりパーソナライズされたサービスを、よりプロアクティブにお客様に働きかけることができます。そして、ここで強調しておきたいのが、そのような環境を実現するために、当社の力だけで不可能ならば、CTC様をはじめとするパートナー企業の力を借りることも可能だということ。それができるのも、Genesys Cloud CXがクラウドベースのプラットフォームだからこそです」(ポール氏)
では、CTC側はどのような支援を行うのか? この疑問に対して、澤登氏は次のように答える。
「CXの改善には終わりがありません。なぜなら改善のサイクルを回し続けることが求められるからです。当社は、システム構築のフェーズはもちろん、課題特定や運用のフェーズにおいても、お客様のシステムがビジネスに貢献するための支援をしていきます。CX改善に向けては、顧客接点における業務分析から課題発見、そして最適なシステムと運用提案を行う『コミュニケーションデザイン』を中心に、既存システムへの影響を最小限に新たな価値や機能を組み込む『インテグレーション』も合わせてお客様を支援します。また、様々なツールと連携するとなれば、セキュリティリスクは当然高まります。ですが、そのようなリスクを抑えるノウハウも有していますので、安心してご利用いただけるシステムを構築できるのも私たちの強みの1つだと考えています。このように当社では、これまでお客様の声にしっかり耳を傾けた上で様々なシステムや案件に携わってきました。これらを通して得た知見が役に立つのは言うまでもありません。そのため、CX改善のサイクルにおいても、お客様に寄り添った対応を行うことが可能と確信しています」
企業のCX改善に大きなインパクトを与えるポイントリストだが、今後、両社はどのようなビジョンを持って、取り組みを展開していく予定なのだろうか?最後にその答えを紹介して本稿を締めることにしよう。
「正しいCXを実現したい企業の目的を叶えるポイントリストには、非常に大きなマーケットが存在するのは間違いありません。そのような状況下でポイントリスト、ひいてはGenesys Cloud CXの提供に携わることは、私たちにとって大きな武器を手に入れることになるでしょう。この武器を活用しながら、ジェネシスクラウドサービス様と一緒に日本企業のCXの改善を後押ししていきたいと思います」(澤登氏)
「『おもてなし』の心がベースにある日本の顧客対応は、世界が真似できない高いレベルにあることは間違いありません。そう考えるとうまくテクノロジーを活用すれば、グローバルのお手本になるようなCXを作ることができる可能性がある。CXというと、日本企業はグローバルに比べて遅れている印象ですが、そのような関係性を逆転させていきたいですね。いずれにせよ、これからは企業価値を向上させるためには、自社の顧客を知ることがより重要になっていきます。読者の皆様も、改めて自社に合ったCXがどのようなものなのか考えていただければと思います。そして、それを実現する上で何か疑問や課題が生じたら、お気軽にご連絡ください」(ポール氏)
