Empowerment Report

エンパワーメントレポート

「リスク回避」の源泉はコミュニケーション力

KPMGコンサルティング株式会社
ガバナンスリスク&コンプライアンスサービス(Governance Risk & Compliance Services)アソシエイトパートナー

藤田 直子さん

2023.11.01 掲載

「リスク回避とガバナンス強化のポイントは結局、コミュニケーション力なのかもしれませんね」――。専門家としてこう指摘するのは、KPMGコンサルティングでガバナンスリスク&コンプライアンスサービス(Governance Risk & Compliance Services)部門でアソシエイトパートナーを務める藤田直子さんだ。

 企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む今、情報漏洩のリスク対応やコンプライアンス(法令順守)対策は企業にとって「待ったなしの課題」といえる。新型コロナウイルス感染症拡大にともなう緊急事態宣言などが思いがけずもたらしたリモートワークの定着は、働き方を大きく変えた。それに伴い高まったリスクに対応すべく、新しい働き方に合わせてルールを見直す組織もあれば、オフィス勤務へ回帰している組織もあるだろう。

 でも、藤田さんは「多様な背景を持つ人が、多様な働き方ができるようになった今の状態は、コロナ禍が収束したとしても、守り続けるべきだと思うんです」と力を込める。ライフステージに応じて、育児や介護をしながらでも柔軟な働き方ができ、時間を有効に活用できるような社会が出現した。だからこそ、「今あるものを、どう良くしていくか、うまく進まない課題があるなら、どう解決していくかを考えるべきだと思います。制度が活用できていないとか、人間関係がうまくいかないなどで、せっかく手にした新しい働き方を手放さないとならなくなるのは、もったいないですよね」。

意思疎通や人間関係の「ロス」削減こそ本道

 リモートワークの相手となかなか連絡が取れない、オンラインでの意思疎通・意思決定に時間がかかる――。そのような社内コミュニケーションのロスやリスクを減らせば、余計な部分に自らのリソースを奪われずに「お客様に対して価値を生むという本来の仕事にもっとパワーを使えるようになります」と強調する。単にITネットワークやインフラのリスク管理だけではない。会社全体のコミュニケーション不全を解決することが、リスク回避やガバナンス強化につながる。そのためのルールと仕組みづくりが必要であると、藤田さんは考えている。

情報の利活用とセキュリティは「表裏一体」

 大学では情報社会学を専攻しており文系出身だという藤田さん。「情報によるコミュニケーションが社会にどのような影響を与えるのか、どうしたら情報共有が上手くいくのか、如何にして情報操作が生まれるのか、等々に、とても興味を持っていました」。卒業後に就職した会社で「セキュリティ部門」に配属されたことで、セキュリティ管理・リスク管理に携わることとなった。

 「セキュリティ管理・リスク管理は、個別の事象だけを見て対応するだけではダメなんです。個々のソリューションがなぜ必要で、どう組み合わせるべきかは、クライアント企業の経営体制も含めた全体像を見なければ、答えを出すことが難しい」。そんな思いから、お客様と直に向き合いながら企業全体のセキュリティ管理・リスク管理を検討して提供できるKPMGビジネスアシュアランス(現KPMGコンサルティング)に入社したという。

 「経営資源である機密情報・顧客情報を社内でどう共有し活用するか、同時に故意・過失の不正アクセスからどう守るか。情報の利活用とセキュリティは表裏一体なので、それを学びながらお客様に提案・浸透させていくことはやりがいのある仕事でした。視野が広がりましたし、グループ内の専門家と話しながらソリューションとして形にしていくのは、ワクワクしますね」

「風通しの良さ」生かす諸制度、社員の研鑽後押し

リスクマネジメントのチームメンバーと

 KPMGコンサルティングの良さを、藤田さんは「風通しのよいコミュニケーションで多様な人との働き方を、システムや制度としてうまく経営に落とし込んでいるところ」だと説明する。

 例えば、パフォーマンスマネジャー(PM)制度。KPMGコンサルティングでは、プロジェクトごとに専門の知識を持つ担当者が集まってチームを組成する。プロジェクトごとに「上司」が変わることになるため、マネジメントサイドは個人が自分自身のキャリアをどのように築いていきたいか、またどのような人生を設計しているかを考慮していく必要がある。

 そこで、「自分のパフォーマンスを年間通して、あるいは中長期的な視点から把握してくれるPMと相談できるようになっています」(藤田さん)。何年でステップアップしたいと考えているのか、どんなキャリアを重ねていきたいか、今どのライフステージにいるのか。そんな相談に乗りながら、時にはプロジェクトマネジャーやアサイン事務局と相談しながら、チームメンバーをサポートするのがPMだ。

 「必ずしも希望が通るわけではないんですけれども、自身のチャンスを広げるために、希望を伝えることはとても大切です」と、藤田さん。

 PM制度の他にも、組織やプロジェクトの垣根を超えて、上位職の社員へ自身のキャリアからプライベートの話まで気軽に相談できるメンター制度もあり、社員同士でナレッジを共有している。さらに、社外コーチング制度も導入され、自分らしいキャリアや働き方を実現できるように幅広い支援が行われている。

 また、社内研修の充実化も進んでいるという。リモートワークの定着に合わせてeラーニング用コンテンツを増加させ、外部研修も積極的に取り入れている。研修は、各人が「受講者」となって知識を得ることはもちろんだが、「講師」として成長する場にもなっている。

 藤田さんもチームメンバーの育成を意識して社内研修の場を利用することがあるという。社内研修の講師になりたい人は「手を挙げてもらって、構成や時間配分を含めて研修資料作りをお願いしています。自身の理解を再整理・再確認する場にもなりますよね。アウトプットについて意見を出し合いながらより良い資料に育ててもらう。そして講義がうまくいけば担当した人の“血肉”にもなります」。

 その内容はeラーニングとして配信することでKPMGの知財や情報資産にもなり、様々なソリューションを生み出していく人材を作ることにもなる。

 現在は、仕事時間の約8割をリモートワークで対応している。家のことは家族で協力しており、2人の娘にもおおいに助けられているという。

 藤田さんは「配偶者も私も互いにふたり夫婦で働くことに違和感を持たないという家庭で育ったので、経験は未熟ながらも大きな問題もなく、ここまで来られました」と、にこやかに笑う。家族ともコミュニケーションと協力を大切にしながら、デジタル時代に不可欠な仕事に取り組んでいる。

PROFILE

藤田 直子(ふじた・なおこ)
KPMGコンサルティング株式会社において、金融業、製造業、メディア業等多数の企業に対し、情報セキュリティ管理態勢や個人情報保護態勢の構築/運用支援、ISMS認証やプライバシーマーク認証取得支援、事業継続管理態勢の構築/運用支援や事業継続計画の策定支援、システムリスク管理態勢の構築/運用支援等、情報リスクおよびITリスクのアドバイザリー業務を中心に提供。またDX推進支援、デジタルガバナンス評価・構築支援にも従事。

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