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エンパワーメントレポート

多様な働き方通じて仕事と育児を両立 本格復帰し、後進育成への意欲も

STELAQ ソフトウェアエンジニアリング事業部
ソフトウェア開発サービス部 リーダー

北川 奈穂さん

2025.12.25 掲載

STELAQ(東京・渋谷)はSOLIZE(現SOLIZE Holdings)が新規事業として2022年に立ち上げた事業を24年に分社化して発足した。大規模システム開発向けにソフトウェアエンジニアリング技術を提供しており、分社化を機に自動車向けから金融、官公庁向けへと事業領域も広げている。北川奈穂さんは派遣や個人事業主として育児と仕事の両立を図りながら、ソフトウェア開発の仕事を続けてきたが、育児が一段落したことで本格的な復帰を決め、25年に同社に入社した。顧客企業に常駐しながら、大型プロジェクトの一角を担う北川さんと人財戦略本部本部長代理の渡辺郷さんに話を聞いた。

 北川さんがソフトウェア開発エンジニアとしての道を歩み始めたのは大学でプログラミングの授業を受けたことがきっかけだった。「プログラミングがすごく楽しくて、自分の中で興味が生まれ、ソフトウェア開発の仕事がしたいと考えるようになりました」。その当時は「できれば外資系の企業で働きたい」との思いも抱いており、大学院を卒業後、03年に日本IBMに入社。統合開発環境のツール開発などに従事した。

学生時代の学び生かす道探る

 07年に結婚を機に日本IBMを退職。その後に2児を出産したこともあり、専業主婦として育児に専念していたが、子供が4歳と2歳になったタイミングで、復帰しようと決断。育児と両立できる在宅でもできる仕事を探し始めた。背中を押したのは「学生の時に一生懸命勉強したことを生かせていない自分が許せなかった」という思い。ちょうどPHPというプログラミング言語を使ったウェブシステム開発の求人が多かったこともあり、PHPとウェブを三カ月間勉強した上で、在宅可の求人に応募してパートタイマーとして働き始めた。

 一口にソフトウェア開発と言っても、その工程は多岐にわたる。企画提案、調査分析、要件定義というプロセスを経てようやく基本設計となる。ここから詳細設計を経て実装となるが、ここからも各種試験を通じてバグなどを解消。実際に運用が始まっても保守・点検などが必要となる。大型プロジェクトの場合はプロジェクトメンバーが各工程を分担して作業が進行するが、案件によってはほぼすべての工程を一人でカバーするケースもあるという。

様々な働き方が強みに

 北川さんは13年にパートタイマーとしてソフトウェア開発エンジニアとして現役復帰した後、フリーランスとして個人事業主や派遣社員など様々な立場で現場に立ち続けた。多様な働き方を通じて様々な工程での経験を積み上げてきたことが今、強みとして生きており、プロジェクトによってはチームマネジメントの役割を果たすこともあった。育児と仕事の両立を続けたことで、優先順位を決め、それを遂行する力も身に付いたという。

 子どもが中学生となり、子育ての負担が減ると、今度は正社員としてフルタイムで働きたいとの希望が徐々に膨らんできた。「一人でやっていると不安もありますし、すべてを自分で決めなければならないストレスを感じることもありました」と当時を振り返るが、それ以上に「自分で考えたり、調べたりしても自分を超えられない」との危機感も生まれていた。そんなタイミングで、派遣会社の担当者がSTELAQに転職。その担当者から紹介を受けたことをきっかけに入社を決断した。「できたばかりの会社で企業文化や規則面などがつくり上げられていく過程を体感できるのが面白そうだと考えました」。トップが女性で、多様な価値観に理解があると感じられたのも入社の決め手になった。

現場目線での人財育成に意欲

 現在は顧客企業に常駐し、顧客企業や協力会社のメンバーとともに勤怠管理システムの開発に従事している。派遣社員時代と働く環境は変わっていないが、一人でメンバーに加わっているのとは異なり、開発の進捗状況に応じてSTELAQから複数人が参画することもあり「働くうえでの安心感が生まれました」。時には新入社員が来ることもあり、仕事のやり方を教えることにも楽しさを見出すことができたという。「子供に勉強教えるのも好きだったので、新入社員の面倒を見るのも楽しかったし、わからないと言われたことを説明して、理解してもらえた時にはうれしさも感じました」

 最前線で働く経験を通して、北川さんの中に新たなキャリアプランも生まれている。新たに入ってきた若手のエンジニアたちのスキルを引き上げる人財育成に携わることだ。スキルが低いまま派遣や業務委託の現場に配属されると、それが現場で働くほかの人の負荷を高める要因になる。「現場に出す前に必要なレベルまで一括して教育したほうが効率的だと感じています」。現場に必要なスキルのレベル感を熟知しているからこそ、この分野で貢献できるとの考えが芽生えてきた。

 自らの経歴を踏まえて、ソフトウェア開発エンジニアは性別に関係なく活躍できる職種と考える北川さんは「多様な働き方ができ、時間も調節しやすいため、女性にとっては非常に活躍できる職種だと感じています」と話す。一方、人財戦略を担う渡辺さんも「画一的な働き方をする社員の集団ではなく、色々な考え方を持つ人が集まり、新しいことを発信したり、提案したりする多様性が組織を強くする」と強調する。そのためにも「様々な考え方を受け入れる組織であることを積極的に発信したいと思っています」

多様性確保へ3つの取り組み推進

 具体策として3つの取り組みも始めている。1つ目が「1on1(ワンオンワン)」を通じて個々の社員が抱えている悩みを自由に話せる環境づくり。2つ目はそれぞれが目指すキャリアを選択することをサポートするための制度の導入だ。これまでは管理監督職が主なキャリアパスだったが、現場で働きながらエンジニアとして専門性を高めていける“第二の選択肢”を設けた。所定時間内勤務とし、超過分には手当が支給される時間の枠組みにすることで、ライフプランを描きやすくしている。

 最後が従業員同士のコミュニケーションの充実。常駐先で働く人も多く、お互いが顔を合わせる機会も少ないため、時間外に集まれるイベントを定期的に開くようにした。「様々なテーマを設定しながらコミュニケーションの機会を増やしたいと考えています」。性別や年齢に関係なく、挑戦したい人にとってその機会を得られる会社へ。STELAQの挑戦は始まったばかりだ。

PROFILE

北川 奈穂(きたがわ・なほ)
2003年東京工業大学(現・東京科学大学)大学院修了、日本IBM入社。07年に退職し、結婚、出産を経て、13年にソフトウェア開発エンジニアとして現場復帰。パートタイマーや派遣社員、フリーランスなど様々な立場で仕事を継続し、25年から現職。

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