パソコンの“メカメカしさ”がスマホにはない違和感になる
品田 「スマホは友達のような存在でパソコンは機械」という番組内での発言が印象的でしたが、実際に出演者からはどんなアイデアが出されたのですか?
青木 街頭インタビューをはじめ、こんなことができたらうれしい、そんな無茶なというものなど、リスト化したら80を超えるアイデアが出てきて、これを実現できたらかなり面白いものになるのではという気づきもありました。
森部 そのアイデアが技術的に可能かどうかは我々がフォローする立場なので、番組収録と並行しながら開発チームにも相談して、挑戦できそうなことを出演者たちにフィードバックしました。
青木 森部さんたちに新しいものを作るんだという強い意欲があり、若者たちのアイデアをこうしたら実現できるかもと親身になって考えてくれたからこそ、壁を乗り越えられたんだと思います。
品田 壁という言葉が出ましたが、Z世代の出演者からの要望の一つである薄さについては約14.3mmを実現しました。
日経BP 総合研究所
客員研究員
品田 英雄
森部 当社の法人向けパソコンにはインターフェースがそれなりに必要で、本来はHDMIをなくすだけでも社内的には大問題でした。そこを個人向けと割り切って、USB Type-Cを3つとオーディオジャックだけ搭載しました。キーからかな表記をなくすのも社内を通すのは難しいことでしたが、あくまでもZ世代に向けた製品ということで説得しました。
品田 番組ではパソコンの“メカメカしさ”も話題になっていました。“メカメカしさ”とはどういうことですか?
青木 従来のパソコンのようにコーナーが角張っていて、ねじ穴やヒンジ、通風孔などがあることに違和感を感じるんでしょうね。スマホはそうなっていませんから。彼らは先にスマホに出会っていて、その後にパソコンを見るわけですから、そもそも出発点が違うんです。
森部 Z世代はスマホからノートパソコンに入っているので、デスクトップパソコンからノートパソコンに入っている我々とは反応が逆。面白いですね。
スマホネイティブならではの新しい発想によるアイデア
品田 でも通風孔をなくしてしまったら、吸排気は大丈夫ですか?
森部 吸気はキーボードの隙間から、排気はヒンジの下で行うので、熱はこもりにくいです。ただ吸気量は少なくなるのでファンを2つにしたデュアルファンで冷却効率を上げ、インテル® Core™ i7 プロセッサー(S1375/JAシリーズの場合)の性能がしっかり発揮できるようにしています。また、スマホに慣れている世代なので防指紋コーティングしたタッチパネルを採用し、天面には指紋を拭き取りやすいシルクタッチコートを施しました。
品田 確かにスマホとともに育った世代の視点からは変えるべき点がたくさんあったと思いますが、バッテリーの持ちもかなり長くなっていますね。
青木 番組内でリサーチした結果、大学生はパソコンをけっこうタフに使っているんですが、オフィスと違って教室には電源が必ずあるわけじゃないので、バッテリー切れしたらとても困るわけです。
森部 大学生が1日約7時間パソコンを使うと想定して、充電なしで2日分約14時間バッテリーを持たせるために、研究途中だったAIのロジックを使って、省電力モードに自動制御できる仕組みを実装しています。
品田 YouTubeやカメラ、チャットボットサポートへのショートカットキーは、スマホネイティブならではの発想という気がしますが、とても便利ですね。
青木 オンライン会議前に身だしなみチェックをするとき、僕はカメラのショートカットキーをよく使っています。
森部 後は本体を保護する役割もある着せ替えケースも、Z世代としてはスマホにケースがあるのにパソコンにはなぜないの? という発想からですね。
青木 Z世代の大学生は授業、サークル、カフェ、就活と、パソコンの利用シーンがガラッと変わるので、着せ替えケースならTPOに簡単に合わせられるわけです。こうした若者たちのアイデアを形にできたのは、一にも二にも番組から新しい製品を作るんだというNECさんの強い意欲があったからこそだと思います。
品田 お二人の話を聞いて、出演者のアイデアや思いを製品にするために難しいハードルを一つひとつ乗り越えて、この画期的で新しいノートパソコンが生まれたということが分かりました。ただ、これをZ世代だけのものにしておくのはもったいないので、ビジネスパーソンにもどんどん使ってほしいなと思いました。

