続いて、ソニーマーケティングのソリューションプランナーである大野良明氏が講演した。大野氏が所属しているロケーションバリュー企画室は、モノだけでなく映像や音響などを組み合わせた体験を企画し、感動を届けることを提供価値としている。「ソニーのテクノロジー、クリエイティブ、コンテンツを掛け合わせたクリエイティブソリューションを提供し、お客様のチャレンジや課題解決をサポートしています」(大野氏)。
ソニーマーケティングはメーカーの側面だけでなく、自社製品と他社製品を組み合わせてソリューションを提供するシステムインテグレーターとしての顔や、そこに空間演出やコンテンツを交えたクリエイティブを価値として提供している。同社はオフィスにとどまらず再開発の複合施設、スタジアム・アリーナなどさまざまなロケーションに企画提案を行い、実績を積み重ねてきた。
大野氏のチームが行うアプローチの特徴は、ワンストップの企画提案だという。顧客へのインタビューに始まり、課題の確認、リサーチ、コンセプト提案、体験・空間の設計、施工、サポートや継続提案までプロジェクトに並走する。
「とくに、お客様が『何のために、どのような思いで』プロジェクトを進めたいと思っているのかを時間をかけて丁寧にコミュニケーションし、理解することを重視しています。その思いに対してコンセプトを定め、納得し共感していただける体験を実現する企画提案を意識しています」
次に大野氏は、オフィス空間の企画を進めるアプローチとして、横軸に「コミュニケーション」、縦軸に「ロケーション」「エリア」を配置したチャートでオフィスを4分類し、それぞれの象限ごとに最適なソリューションを検討する方法を示した。
この区分けでは、執務エリア外のエントランスを「社外とのコミュニケーションを取る場所」、執務エリア外の共創スペースを「社内とのコミュニケーションを取る場所」として定義した。
「執務エリア外では、訪れた人の第一印象を重視し、Welcome感やメッセージ性のあるコンテンツ、その演出にふさわしい空間設計と、体験を支える映像・音響製品を配置します。そうすることで、よい印象的な体験を提供することが可能になります」(大野氏)
また、社内の人に向けたコミュニケーションの生産価値を上げるためには、人の動きをセンシングして、知的生産性を高めることを含む「DX」「空間設計」「知的生産の共有」などがキーワードとなる。それぞれに対して、オフィスのデータ分析、オフィス什器、映像・音響設計という組み合わせがソリューションになる。
大野氏は、「誰とどこでコミュニケーションをとるかにより、改善の対象先となるロケーションが決まります。お客様の課題を分析しコンセプトを設定したうえで、最適なシステム、ハードウェアを選定します。その結果から、抱えている課題を解決するソリューションとして付加価値を提供していきます」と話す。
具体的には、大型LEDビジョンはエントランスや受付だけでなく、プレゼンテーションを行うようなコミュニケーションエリアなどにも適しており、中小型のLEDやディスプレイは会議室などのミーティングエリアのほか、リフレッシュエリアなどでも活用の機会が多いという。
最後に、大野氏は「もし、オフィスにおける社内・社外の接点や空間づくりなどでお悩みを持つお客様がいらっしゃいましたら、ぜひソニーマーケティングにご相談ください」と語った。
講演の後には視聴者からの質問が寄せられ、日経BP総合研究所の菊池隆裕氏の進行で両講演者がそれに答えた。
「漠然とした課題しか持っていなくても両社に相談してもよいか」という質問に対しては、イトーキ、ソニーマーケティングのどちらも歓迎だと話した。まずは課題をヒアリングして、それぞれの得意分野を生かした提案ができると答えた。
「組織間のコミュニケーションをどうやって促進するか」という質問に対しては、永峯氏は「世代間のコミュニケーションが取りづらい問題はあると思いますので、例えば、あえて目的を定めない緩やかなエリアを設け、デスクの配置や照明などで心理的なハードルを下げる工夫も有効です」と答えた。
また、「オフィス空間のリニューアルに当たり、どこから課題を抽出すればいいか」の問いに、大野氏は「どこから手を付ければいいか悩まれているお客様は非常に多いので、まずはフラットに相談していただければ、話しているうちに課題が見えてきます」と答えた。永峯氏も「当社の営業と話していただければ、空間の問題なのか、それとも風土の問題かなど、課題が浮かび上がってきてアドバイスができると思います」と説明した。
最後の質問で、「オフィス内の人流を活性化させて偶発的な出会いを促進する方法は?」、という問いには、永峯氏はイトーキのオフィスフロアではABWによる働き方を推進するため、フロアの中心から遠ざかるほど集中できるエリアにしていたり、オープンな会議ができるエリアなどを設けて、活動によって場所を選べる働き方にすることがポイントだと説明した。人の動きを可視化するためにセンサーやカメラの利用も有効だという。
菊池氏は講演のまとめとして、「2人の話を聞いて、オフィス空間は什器やディスプレイなどハードウェアだけの問題ではないと実感できました。多様なつながりが持てる空間づくりを考えている企業は、両社に相談していただくのがいいと感じました」と語った。