NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズは、5G時代におけるソリューションの協創を目的としたアイデアコンテストを開催。最終選考会では、1次選考を通過した8チームが、それぞれのアイデアや思いをピッチでアピールした。白熱した最終選考会の様子をレポートする。

後れを取る顔認証ビジネス、その課題解決につながる糸口を見つける場に

 2020年2月20日、「NTTドコモ 5Gソリューション アイデアコンテスト supported by TOPGUN」の最終選考会が開催された。第1回となる今回の応募テーマは、RealNetworks社が提供する顔認識エンジン「SAFR」を活用したソリューションの創出。57件の応募の中から最終選考に残った精鋭8チームが、ピッチイベントでしのぎを削った。

 最終選考では、「応募企業のアセットの活用」「5G(もしくはドコモ5Gオープンクラウド)、SAFRの活用」「アイデア・新規性」「実現性・実行能力(アイデアを具体化する開発能力)」「収益性・スケーラビリティー」の5項目を基準として審査を実施。RealNetworks社 アジア太平洋地区 副社長の高村徳明氏、日本仮想化技術 執行役員 エンタープライズクラウド事業部長の玉置伸行氏、Relic 代表取締役CEOの北嶋貴朗氏、NTTドコモ 執行役員 イノベーション統括部長の大野友義氏、NTTドコモ ソリューションサービス部長の坪谷寿一氏、NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長の稲川尚之氏の6名が審査員を務めた。

 冒頭、RealNetworks社の高村氏は「日本では、顔認証はまだビジネスとして立ち上がってはいない。さらにいえば、アジア太平洋地域の他国と比べても後れを取っている」という課題を指摘。顔認証は今後、IDやパスワードに代わるキーテクノロジーとなることから、「どうやってソリューションにし、マネタイズしていくのか。その糸口を見つけられるような場にしたい」と期待を寄せた。

RealNetworks社 アジア太平洋地区 副社長 高村徳明氏

賃貸、なりすまし抑止、受付、ハウス電子マネーなど、多彩なアイデアが登場

 ピッチには、セントラルライフ、NTTドコモ、Forex Robotics、ネオス、LAMP LIGHT、ハタプロ、Wright Flyer Live Entertainment、NTTデータSBCの順番で登場。それぞれのピッチの詳細を以下でお伝えする。

●セントラルライフ

 神奈川県横須賀市で不動産業を営むセントラルライフ。横須賀基地配属の米軍人を対象とした賃貸物件なども取り扱っていることから、「外国人向け賃貸管理業務と顔認証の融合」を可能にする米軍賃貸向けソリューションを提案した。

 同社によれば、近年は米軍向けの不動産投資が盛んになっているという。しかし、「入居者が2~3年で入れ替わる」「(乗船などの理由で)入居者が不定期に長期間不在になる」などの米軍向けならではの事情から、管理会社や大家は「多くの非定形オペレーションに追われている」状況にあるそうだ。そこでセントラルライフは、今回のソリューションを賃貸管理会社や大家に提供することでこの状況を改善し、「管理会社の負担軽減」を目指すとともに「入居者の満足度向上」にもつなげていく。

 具体的には、管理会社や大家が利用する基本システムでは「入居者や物件情報」を管理するほか、「不在時の訪問者を把握するような情報」なども取り込んでいく。また、入居者向けに「コンシェルジュ機能」や海外コンテンツへのアクセスを踏まえた「ネットワークの一元管理」などを導入することで、入居者の満足度を上げていく予定だ。

 運用イメージとしては、入居者には入居時に専用アプリをダウンロードしてもらう。そして、入館時にスマホのカメラで顔を映してもらうことでSAFRの顔認証を行い、エントランスを開錠する仕組みを想定する。また、専用アプリでの入居者とのやり取りや、物件に設置したカメラによる訪問者の記録などには、5Gを活用していく考えだ。

会場に来られなかったセントラルライフはWeb経由での参加となった

●NTTドコモ

 NTTドコモは、来訪者の偽物・なりすましの抑止を目的とした「事業者向け顔認証プラットフォーム」を紹介した。宅配サービスなどの市場は継続的に成長している一方で、なりすましによる傷害や詐欺事件などが頻発している。そのため、事業者は正規のサービス事業者として個人から信用されず、結果として「ユニフォームや社員証が必要となる」ほか、居留守によって「再配達の可能性も高まる」という。

 そこで同プラットフォームでは、事業者があらかじめ従業員の顔を登録しておき、訪問先の個人が住居のインターフォンやスマホのカメラアプリなどで事業者の顔を映して顔認証を行うことで、訪れた事業者が本物であるかどうかを確認する。このような顔認証サービスによってなりすましなどによる社会課題が解決し、「訪問先に安心感を与え、ビジネスも迅速化する」というメリットが生まれる。

 ビジネスモデルとしては、NTTドコモは事業者からプラットフォーム利用料を支払ってもらい、訪問先の個人にはスマホアプリを無償で提供する。さらに、インターフォンや防犯カメラにもアプリを無償提供し、顔認証機能を組み込んだ製品の普及を目指す。

 プラットフォームを利用する候補としては、宅配事業、電気やガスなどのインフラ事業、放送やメディアなどのサービス集金・勧誘を担う事業者とともに、警察や自治体などの公的サービスを想定する。また将来的には、オフィスビルの入館ゲートへの導入など、ビジネスシーンへの拡張も視野に入れている。

NTTドコモ

●Forex Robotics

 Forex Roboticsは、「5G、SAFRとロボティクスによる顔認識勤怠および受付システム」について説明した。身体性のあるロボットを組み合わせて、社会のコミュニケーション問題を軽減することを目的とした次世代勤怠・受付システムとなる。

 仕組みとしては、受付に顔認証機能を備えたサービスロボットを配置。登録済みの社員であればクラウド勤怠システムへ打刻し、未登録の人であれば来客としてリモート受付業務で対応する。

 一般的な勤怠システムとの違いとして、身体性のあるロボットがポジティブな声掛けをするとともに、その人の「顔の表情や体温などの情報」を取得する。これにより、体調などに問題がありそうな場合は管理者に連絡することで、部下とのコミュニケーションに役立てることができる。また、社員の場合は出社と退社の際に情報を取得できることから、その履歴によって「ストレスなどの課題解決に活用できる」と見ている。

 技術的な側面では、SAFRによって顔認識の精度とスピードを向上。さらに、「マスクを着用している状態でも顔認識が可能」という点もメリットとなる。5Gの利用については、認識スピードの向上ととともに、リモート受付のリアルタイム性もアップすると考える。

 ビジネスモデルは、ハードウエアとして台湾製のロボットを月額1万円程度で貸与し、勤怠サービスの料金として社員1名につき月額500円のサービス利用料を予定する。当初のターゲットは中小企業を想定しており、全体の1%にあたる4万社、40万人の利用を目指す。

Forex Robotics

●ネオス

 ネオスは、同社とバリューデザイン社が提供するハウス電子マネー及び店舗独自ポイント利用管理ソリューション「Value wallet」に顔認証機能を追加し、“顔パス”機能を導入する「顔パスValue wallet」を提案した。

 SAFRを利用した「顔パスValue wallet」のシステムでは、加盟店舗にPOS連動カメラ付きデバイスを設置し、既存のValue walletシステムにSAFR連携機能を拡張して運用することを想定。加盟店舗でユーザーの顔を撮影し、5G回線を通じてSAFRの顔認証を行うことでユーザーを特定する。特定後はValue walletシステムに連携し、ハウス電子マネーの利用やハウスポイントの発行などを行う。また、ユーザー側のモバイルアプリに「顔認証を対応させたり、dポイントと連携させたりする仕組みも検討している」という。

 同システムによって、ユーザーは店舗でカードやアプリを提示することなく、顔撮影のみでハウス電子マネーなどを利用できるようになる。店舗側も、ユーザーによる事前のカード発行やアプリダウンロードが不要となるため「より手軽に顧客の囲い込みが可能になる」と見ている。そのほか、顔映像から推定した顧客属性に合わせた「マーケティングなどにも活用できる」と考える。

 なお、近い将来にRFID(Radio Frequency Identification:無線通信による自動認識技術)タグが「ほぼすべての商品に付与される」と予想されている。このような環境では、同システムで顔パス機能を利用する際に、ユーザーと商品をひも付けた情報の蓄積・管理も可能になる。これが実現した暁には、ユーザーに購入商品データを提供する「電子レシート情報のAPI事業」や、性別・年代別の「マーケティングビッグデータの販売事業」も展開していく考えだ。

ネオス

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