AI搭載のPCならではの低消費電力最先端デバイス「Copilot+ PC」の価値

AIの処理をすべてクラウドに委ねると、プライバシーや遅延などの問題は避けられない。そこで、一部のAI機能をローカル側で行うPCが求められていた。そんなときに登場したのが、Microsoftが提唱するCopilot+ PCである。レノボはビジネス向けのCopilot+ PCとして、ThinkPad T14s Gen 6を発表。最大の特長は低消費電力だ。そのほかの機能を含めて、最先端デバイスの価値について考えてみたい。

ローカルのPCにAI機能を持たせプライバシー、遅延の課題に対応

 ビジネスの現場にAIが浸透しつつある。レノボ・ジャパンの元嶋氏は「AIを活用する中で、すべてのワークロードにとってクラウドが最適な選択肢であるとは限りません。例えば、プライバシーに関わるデータをクラウドに送ることに懸念を抱くことは多いでしょう。遅延の最小化が求められる場合もあります」と言う。

 クラウドとローカルの役割分担を考える上で、AIワークロードにかかわらず、データプライバシーと遅延は重要なポイントである。例えば、顔認証や指紋認証、オンライン会議のノイズキャンセリングなどはインテリジェントな処理が求められる機能だが、そのためにデータをクラウドとやり取りするのは非効率・不適切である場合がある。これが、ローカル完結のAIが求められつつある理由だ。

元嶋 亮太 氏

レノボ・ジャパン
企画本部 製品企画部 マネージャー
元嶋 亮太 氏

 2024年5月、Microsoftは次世代のPCとしてCopilot+ PCを発表した。レノボをはじめ、PCメーカー各社からはすでにCopilot+ PCモデルの新製品が登場し始めている。Copilot+ PCの要件であり、特長ともいえるのが40TOPS以上のNPUをSoCに内蔵していること。NPUは比較的軽い推論処理を並列で実行するのが得意だ。元嶋氏はNPUを推論プロセッサと呼ぶ。

 「Copilot+ PCはAI体験をオンデバイスで実現するWindows PCで、NPUが推論を行うことで、以前は時間を要したタスクが高速化します。例えば、オンライン会議ツールの背景ぼかし機能は、一種の推論によって行われます。通常のPCではCPUやGPUがこの背景ぼかしを担い、そのために相当のパワーを消費しています。これをNPUにオフロードすれば、負担の軽くなったCPUは他のタスクをスムーズに処理でき、消費電力の低減も期待できます」と元嶋氏は言う。

 オンライン会議ツールはCPU負荷の大きいアプリケーションの代表格だ。外出先でオンライン会議を行った場合、バッテリーが心配になるケースは多いだろう。NPUでできることの幅を増やしたCopilot+ PCは、こうした課題に対する回答ともいえる。

 レノボはビジネス向けのCopilot+ PCとして、2024年8月に「ThinkPad T14s Gen 6」を発表した。実は、低消費電力に寄与するのはNPUだけではない。ThinkPad T14s Gen 6は、クアルコムのSnapdragon X Eliteプロセッサを搭載。このプロセッサにはCPU、GPU、NPUが組み込まれている。このチップセット全体が低消費電力なのである。

 「使い方によって変わってきますが、例えば1日数回のオンライン会議があっても、通常の使い方であればバッテリーを心配する必要はないでしょう」と元嶋氏は言う。Snapdragon X Eliteを搭載したThinkPad T14s Gen 6はARM版Windowsをプリインストールしている。広く普及しているx86とは異なるアーキテクチャだが、x86ネイティブのアプリケーションをエミュレーションによって動かすことができる。もっとも、最近は有力アプリケーションの多くがARMに対応する動きを見せており、今後もARM版Windowsネイティブのアプリケーションは増えることが期待される。

 充電環境のない場所で仕事をしても安心して利用可能なThinkPad T14s Gen 6は、活動的なハイブリッドワーカーにとって最適なPCといえるだろう。

クアルコムの新型Snapdragon X Eliteプロセッサを採用
クアルコムの新型Snapdragon X Eliteプロセッサのステッカー画面
45TOPSと圧倒的なパフォーマンスを発揮するNPUの処理能力により、オフラインでも優れたAI機能を活用できる
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自然言語で検索できるPCが人間に近づいている

 低消費電力以外にもCopilot+ PCはユニークな機能を備えており、それらはThinkPad T14s Gen 6にも共通する。

 まずは、今後提供予定のリコール機能である。PCの検索機能はこれまでも進化してきた。しかし、ぴったりの検索ワードが思いつかず、仕事が停滞した経験を多くのユーザーが持っているだろう。

 Copilot+ PCのリコール機能は、自然言語による検索を可能にする。例えば、「1週間くらい前に、Aさんがオンライン会議で説明したスライド」のようなコンテキストを入力すれば、PCが定期的に自動取得するスクリーンショットから抽出した文字情報をもとに該当する情報を見つけてくれる。「PCがより人間に近づいてきたといえるかもしれません」と元嶋氏は話す。

 なぜ、曖昧さを含む自然言語で検索できるのかというと、PCが裏側でせっせとデータを集めているからだ。定期的に自動でスクリーンショットをとり、情報のスナップショットをSSDに転送して蓄積する。ユーザーから要求があれば、Copilot+ PCはスクリーンショットからOCRで抽出された情報から候補を見つけ、該当するデータを提示する。

※ リコール機能は今後、Windows Updateを通じて提供される予定。詳細はaka.ms/copilotpluspcsにて確認可能

「次の時代の当たり前」が「当たり前」になったときのために

 画像を生成するコクリエーター機能も、Copilot+ PCの特長の1つだ。例えば、プレゼン資料などに、イラストや写真を付けたいことがある。コクリエーター機能を使えば、要求に応じて多くの画像を生成してくれる。例えば「テレワーカー」と入力すれば、在宅テレワーカーの画像やリゾートでPCを開くテレワーカーの画像などが出力される。基本的にこうした処理はPCの中で行われる。

 ただ、クラウドとの通信はゼロではない。入力ワードに倫理的な問題がないことを確認するために、PCはクラウドとやり取りをする。そのほか、生成する画像の基になるデータはPC内に置かれており、画像処理もPCの中で行われる。

 重要なのは、これらの機能のベースはWindows Copilot Runtimeとしてアプリケーション開発者にも開放されるという点だ。

 「Snapdragon X Eliteが搭載するCPU、GPU、NPUをどのように使うか、役割分担をどうするかは、アプリケーションが決めることです。サードパーティーのアプリケーションの最適化には、ある程度の期間を要することが見込まれます」と元嶋氏は見る。

 「多くのユーザーは1台のノートPCを4~5年使っています。とすれば、この先を見越して、数年の間に登場するアプリケーションを使いこなせるノートPCを選択するのは合理的だと思います。頻繁にアップデートするソフトウエアとは異なり、SoC自体を入れ替えることはできません」(元嶋氏)

 Copilot+ PCの先進性を存分に活用するには、それを動かすPC本体の基本機能が重要なのは言うまでもない。特にハイブリッドワーカーにとってPCの堅牢性やセキュリティ、常時接続性などの機能は必須要件といえる。それらはThinkPad T14s Gen 6の強みでもある。ThinkPad T14s Gen 6は有線/無線LANはもちろん、次世代規格のWi-Fi 7にも対応。近々、5G対応モデルも登場する予定だ。

 「私たちはCopilot+ PCを『次の時代の当たり前』の先取りと捉えています。遠からず『当たり前』の時代が来ます。アンテナを高くしてデジタルの未来を考えているIT部門の方、ユーザー部門の方に、まずは手に取っていただきたいと思っています」と元嶋氏は語る。先端デバイスを利用する中で得られた気付きは、自社のDXを推進する上で役立つはずだ。

レノボ初のビジネス向けCopilot+ PC「ThinkPad T14s Gen 6」
サステナビリティへの取り組み
最大64GBの高速LPDDR5xメモリを搭載し、スリムな筐体に4辺狭額縁の14型ディスプレイを採用。長時間のバッテリー駆動でパワフルなAI体験をオンデバイスで実現する
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