技術革新で人手不足の課題に貢献
製造業と社会のグリーン化を
制御盤の製作・設置・維持の
容易化を通じて同時に後押し
フエニックス・コンタクト
代表取締役社長
吉野 博通氏
技術革新で人手不足の課題に貢献
フエニックス・コンタクト
代表取締役社長
吉野 博通氏
端子台をはじめ、制御盤用部材等における世界屈指のメーカーであるフエニックス・コンタクト。再生可能エネルギーの積極活用に向けて様々な設備が電化へ向かい設置される制御盤の数の増加が見込まれる。一方では人手不足や熟練技術の継承が深刻化している中、いかに増加する制御盤の製作・設置・維持管理の工数を削減し、効率的かつ容易(簡易)にしていくかが課題となっている。日本法人の代表取締役社長の吉野博通氏に詳細を聞いた。
—企業概要を教えてください。
吉野 制御盤内の端子台や接続ケーブル、リレー、パワーサプライ、スイッチングハブ、PLC、無線機器など様々な電気・通信接続関連機器を取り扱うドイツの企業です。2023年に創立100周年を迎え、世界55カ国以上に拠点を置き、100以上の国や地域に、約10万種類の使い勝手と拡張性に優れた製品を提供しています。
当社は、2007年から2023年の15年間で、売上高が10億ユーロから34億ユーロへ、従業員数が6800人から2万1000人へと右肩上がりで急成長しています。その背景には、常に時代の要請に応える製品を開発・供給すべく、売上高の約8%を毎年継続的に設備投資やイノベーティブな製品開発、組織・人材開発に振り向けてきたことがあげられます。
2020年からは、企業理念として「Empowering the All Electric Society(AES)」を掲げ、社会でグリーンエネルギーを積極活用していく過程で求められる製品の開発・供給に注力しています。
日本市場には1987年に参入。現在、全国10カ所の営業拠点と即納・安定供給に向けたディストリビューションセンターを介して、多くのユーザー様に製品をご愛顧いただいています。
—グリーンエネルギーの積極活用と制御盤周りの製品の間に、どのような関わりがあるのでしょうか。
吉野 カーボンニュートラルの達成を目指して、再生可能エネルギーを積極利用する機運が高まっています。それに伴い、これまで化石燃料を燃やして得た熱や動力を利用していた設備を電化する動きが同時に進行しています。
工場で電化する設備が増えれば、その分だけ制御システムを導入する現場や、制御の適用先が増えることになります。すると、制御盤の数自体が増えるでしょうし、その大規模化・複雑化も進むことでしょう。
加えて、再エネ由来の電力は発電量が不安定であるため、電力需要や蓄電などを高度に制御し、需給バランスを均衡にする必要があります。つまり、社会の中で活用される多様な設備それぞれを高度に制御する必要が出てきます。同様に工場以外の社会インフラや家庭、オフィスなどにおいても制御盤が必要となります。
フエニックス・コンタクトでは、「電化、ネットワーク化、オートメーションのソリューションで、再生可能エネルギーがすべての人に利用可能となる世界に貢献します」という企業理念に基づいて、こうした時代の要請に応えていきます。
—グリーンエネルギー活用は、すなわち制御盤の利用シーン拡大につながるわけですね。
吉野 はい。ただし、AES実現に必要となるセクターカップリング・スマートグリッドの拡張・最新化には、2030年までに世界で約550万式以上の制御盤を新たに設置する必要があると見ています。制御盤の設置・維持には、専門的知識と熟練した技能が求められる作業が多くあり、これまでとは比較にならないほど数多くの技術者が必要になってきます。
ところが現在、製造業などの就労者数は減少しています。特に少子高齢化が顕在化する日本ではなおさらです。つまり、社会でグリーンエネルギーの活用を拡大するためには、これから予想される制御盤の製作・設置・維持での生産性を向上させ、限られたマンパワーでのアウトプットの最大化を実現させるためのイノベーションが必須になると言えます。
—どのようにイノベーションを実現していくのでしょうか。
吉野 技術革新によって制御盤を構成する電気接続機器の使い勝手を劇的に向上させることで、高度な専門的知識や熟練技能を持たない人でも、制御盤を設計・製作・設置・保守メンテナンスする業務に従事可能にする、というのが私たちのアプローチです。
当社は、制御盤を構成する電気接続機器を、世界中の多様な現場に向けて供給してきました。100年間、現場での利用シーンや環境を洞察し続け、その経験に根差した知見と技術を基に開発した、ユーザー目線で使い勝手に優れた製品群を生み出してきました。そして、その到達点となる端子台接続技術「Push-X Technology」を創出。適用した製品を2023年に市場投入しました。
国内では、現在でも利用されている端子台の約80%がねじ式のままです。配線の確実な接続には厳密なトルク管理が必須で、熟練技能が求められます。作業工数も多く、保守時には緩んだネジの増し締めも必要になります。こうした現状を解消するため、当社では電源・信号線を挿し込むだけで接続が完了する機能を備えた「Push-in」端子台を開発し、2009年に市場投入しました。Push-inは、類似品がすぐに出回るほど画期的製品であり、現在広く利用されています。Push-Xは、Push-inをさらに進化させた技術という位置付けです。
—Push-Xの特長は。
吉野 ケーブルの端子をPush-Xを適用した端子台の接続孔に押し込むと、スプリングによる荷重で端子が挟み込まれます。この機構によって、あらゆるケーブルを迅速かつ確実、かつ工具不要で接続可能にしています。接続時には、ボタンの上がりとクリック音により確実な接続を確認可能であり、開放時もボタンを押すだけで簡単に取り外せます。これによって、熟練者ではなくとも制御盤の設置・維持が可能です。Push-XやPush-inでは作業が容易化されるだけではなく、従来のねじ式よりも小型化し、制御盤内のスペースを約50%縮小できるようになりました。
なお、Push-XとPush-inにはアクセサリ部品に互換性があり、Push-in対応の制御盤に難なく導入できます。また、当社はケーブルに接続用端子を誰でも簡単に取り付け可能にする専用工具も用意しており、誰でも簡単・確実にケーブルの終端加工をできるようにしています。
—脱炭素社会の構築を支える欠かせない技術になりそうです。
吉野 当社は、再エネ由来の電力を有効活用する直流給電システム、多様な省エネ設備などを全面導入した自社製造工場を建設し稼働させています。実際に操業している自社工場で、未来の工場のあるべき姿をユーザー目線で検証して、求められる制御盤の姿を探求し、確かな製品を市場投入しています。これから大量の制御盤を製作・設置・維持していく際に、Push-Xがどのような貢献ができるのか。まず試していただければ、誰もがその効果を実感できると思います。
簡単・安全・確実な接続を実現する端子台接続技術「Push-X」。
お問い合わせ
フエニックス・コンタクト株式会社
〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜1-7-9 友泉新横浜一丁目ビル6階
URL:https://www.phoenixcontact.com/
Push-X特設サイト:https://www.phoenixcontact.com/push-x