既に多様な製造現場で採用 実用的かつ容易に導入可能なDXツールが人手不足対策に貢献

セイコーエプソンやSUBARU、西部ガス長崎など
製造業の多様な現場で採用加速

MOVERIOを活用すれば、遠隔地にある作業現場が共有可能になり、多くの関係者が連携・協業する業務の標準化や生産性向上が実現する。専門的知見や技能の有効活用が求められる工場や社会インフラなどで、既にMOVERIOの導入効果を得た企業が多く出てきている。

事例①

セイコーエプソン株式会社

MOVERIOを用い、異なる事業所間で分析すべき位置を確認する様子。PCのポインターで位置を指示(写真右)。作業者は指差しで確認(写真左)。
BT-45Cは頭部全体で支える構造のためフードの上から装着でき、両手での作業もしやすい(写真左)。作業者目線の映像を複数人同時に遠隔で確認できる(写真右)。

セイコーエプソンでは、事業所間や取引先との効率的なコミュニケーションや、動画を利用した実践的作業マニュアルの作成においてMOVERIOを活用している。

事業所間での遠隔コミュニケーション

同じ企業内であっても、離れた事業所間で連携しながら業務を進めるケースは多い。

例えばインクジェットプリンターのヘッドを複数拠点で生産しており、各拠点で同一の装置を用いているが、製品の品質を均一に保つためには、装置の保全作業のレベル合わせが欠かせない。従来は、専門的な知見・技能を持つ保全担当者が各拠点に出向いて直接確認していたが、この業務にMOVERIOを導入。各拠点の作業員がMOVERIOを装着し、別拠点の保全担当者は複数人で一緒に作業者目線の映像を見て確認することで、拠点間での業務標準化につなげている。

また、社内の多様な分析業務を一手に請け負う分析部門でもMOVERIOを導入している。開発中の製品の分析や、故障した製品の原因分析を各拠点から受ける際、従来はメールや写真などで分析箇所の確認を行っていた。しかし、正確な確認が困難だったため、長期間を要したり、最終的には依頼主が分析部門にわざわざ出向いたりする必要があった。そこでMOVERIOを分析担当者が装着し、依頼者とリモート会議で確認することで大幅な効率化を実現した。

装置のメーカーとの遠隔コミュニケーション

製造業では、開発や製造の現場で多くの専門性の高い特殊な装置を活用している。分析部門は、特殊な装置を多く扱う典型である。日々、新しい分析対象に対応していかなければならない一方で、分析装置の操作で不明点や問題点があれば、装置メーカーに都度確認する必要があった。

ただし、装置が特殊であるからこそ、専門知識や共通言語などの兼ね合いで、電話やメールでは意思疎通が困難な場面が少なくなかった。出張対応を依頼することもあったが、その分、費用や時間を浪費してしまう。そこでMOVERIOを導入し、作業者目線の映像をリアルタイムで装置メーカーと共有。その場で短時間かつ的確なアドバイスが受けられるようになった。

作業者目線での動画マニュアル作成

設備技術部門などでは、装置の取り扱いや保全に関する作業マニュアルを、よりわかりやすく実践的なものに変えていくためにMOVERIOを活用している。

従来は、文書や写真などを用いて作業標準書を作成していた。ただし、それだけではわかりにくい部分も多く、経験に乏しい新人へのマニュアルとしては適用しにくかった。アクションカメラなどを用いた動画撮影による記録も検討したものの、両手がふさがった作業者の隣から別構図で撮影する必要があり、狭い作業場ではとくに手元の作業を写すことが困難だった。MOVERIOの導入で、作業者目線での動画が簡単に記録できるようになり、業務標準化や人材育成の速度向上に大きく貢献している。

事例②

株式会社SUBARU

スマートグラス上に映し出された、PC画面の3Dモデルと計測データ(写真左)。ワイヤレスマウスを使ったPCの遠隔操作(写真中央)。スマートグラス上にガイドを映しながら測定する様子(写真右)。
自動車ボディ3次元測定作業の効率化

SUBARUでは、「レガシィ」や「フォレスター」などを生産する矢島工場において、ライン上で発生した不具合の原因究明を効率化するためにMOVERIOを導入した。

同社では、生産中のボディなどに何らかの不具合が発生した際には、不具合を抱えた仕掛品を抜き取り、多関節3次元測定機で穴位置の精度や表面の凹凸などを確認して、原因究明の糸口を探っている。ただし、この測定作業は多大な手間と時間を要するものだった。

1人での作業となると、測定機と制御用PCの間を何度も行き来して、測定対象となる部分や項目など1ステップごとに位置や手順を設定・確認する必要がある。ボディが組み上がった最終工程などでは、測定機とPC間は最大10m離れており、作業現場が入り組んだ環境であることも相まって、大きな負担と安全上のリスクを抱える作業だったのだ。

そこで同社はMOVERIOを導入。測定機を操作しながら、離れた場所にあるPCのモニター画面をスマートグラス上に映写して確認できるように改善した。さらにワイヤレスマウスを利用して、測定機がある場所からPCを操作することで、作業効率を大幅に改善。作業時間は25%短縮したという。同業務に2人以上の人員を割く必要もなくなったことに加えて、測定機の操作に両手が使えるため、作業の円滑化も実現した。

事例③

西部ガス長崎株式会社

設備点検などの遠隔支援実現

都市ガスを製造・販売する西部ガス長崎では、ガス貯蔵設備での保全業務を、より確実で効率的なものに改善するためにMOVERIOを導入した。

気体状態の都市ガスを貯蔵するガスホルダーは、15年に1度、非破壊検査を含む大掛かりな保全を実施している。保全業務では専門性の高い知識と技能が必要になり、個々のガスホルダー固有の状態に合わせた保全も要求される。ただし、15年前の前回保全業務や保全作業などを経験した担当者が、継続して実施するわけではない。文書で残っている過去の保全記録を参考にしながら、継承した担当者が業務を実施することになる。加えて、今後のさらなる人手不足を見据えれば、属人的な知見や知識に頼らない、安定した保全業務を遂行できる新たな仕組みの整備が不可欠だった。

そこで同社は、MOVERIOを導入。現場経験の乏しいエンジニアでも、管理室にいる熟練エンジニアのアドバイスを受けながら、適切に保全業務を実施できるようになった。属人的な知見・技能では、技能者が五感で感じる情報に頼る部分が大きいが、MOVERIOならば、映像の解像度と色再現度が高いため、現場の状態を管理室へ精緻に伝えることが可能であり、正確な判断と円滑な支援を実現する。

さらに作業を作業者目線の動画で記録することで、15年後の次回保全作業を実施する際に役立つ情報を残せるようにもなった。西部ガス長崎では、巡視、点検などの日常的な業務を含め、より広範な作業・訓練などにMOVERIO活用を拡大していく予定だ。