AIネットワーク構築で注目が集まるイーサネット
ここ数年で急速にブームとなっているのが生成AIをはじめとするAIである。AIを効果的に活用できるかどうかがビジネスの競争力を左右する時代となり、企業のデータセンターのネットワークにはAIを快適に利用できることが求められている。具体的には、高速GPUを搭載した複数のサーバー間を超高速インターフェースで直結し、大量データの転送が可能で低遅延・広帯域なネットワークが必要となっている。
ところが、こうした高速ネットワークの代表であるInfiniBandは機器が高価で、初期コストとして少なくとも数千万円単位の投資が必要となってしまう。また、まったく新しい通信方式のため、ネットワークの技術や特徴などを社内の技術者がイチから理解しなければならず、企業としてはそう簡単には導入できないのが現状であろう。そこで、AIネットワークを導入する際の最適な現実解として注目されているのが「イーサネット」の活用である。
現在、標準的なネットワーク技術となっているイーサネットの高性能化は着実に進んでいる。最新の規格で通信速度は800Gbpsまで高速化されており、1.6Tbpsの次世代方式についても標準化が進んでいる。すでに市場に出ている製品を見ても最大800Gbps対応の高速スイッチが登場するなど、AIネットワークの構築に十分活用できるレベルに達していると言える。
企業内のセキュリティ対策として、部署ごとにネットワークをサブネットに区切り、部署間のデータアクセスをコントロールするケースは多い。この場合、イーサネットならばVLAN(仮想LAN)技術を使って、物理的な配線に依存せず論理的にネットワークを分割・統合できる。日本ヒューレット・パッカード(HPE)の安藤 基朗氏は「これにより追加コストが生じることなくセキュリティを確保できます。そのような仕組みがなくサブネットごとにスイッチを用意する必要があるInfiniBandでは、その点もコストアップにつながってしまいます」と懸念する。
コンサルティングシステムエンジニア
Aruba事業統括本部 技術統括本部
テクノロジーコンサルティング部
ITスペシャリスト
安藤 基朗氏
また、慢性的に人材が不足しているネットワーク管理の現場では、運用負荷が増大する事態はなるべく避けたいところだろう。その点でも、使い慣れたイーサネットならば、これまで蓄積してきた知識やノウハウを生かしながらAIネットワークを構築できる。成熟・進化した100GbE/400GbE環境を実現するための機器の価格は数百万円台と比較的気軽に導入できるため、AIネットワークをスモールスタートさせるインフラとしてはイーサネットが最適と言えるだろう。