東京大学 総括プロジェクト機構国際建築教育拠点総括寄付講座(SEKISUI HOUSE - KUMA LAB) 建築・都市DX人材育成プログラム DXフォーラム  レビュー

建築・都市分野のDXに関連する知識習得と課題分析を通じ、DXに寄与する事業などを起業する意欲を持つ人材の育成を目的として実施した東京大学主催によるプログラムの集大成として、2025年3月22日に「DXフォーラム」が開催された。基調講演の後に、受講生によるビジネスアイデアなどのピッチがあり、識者による講評を実施した。

ディスカッション

受講生によるピッチ プレゼンテーション&ディスカッション

ピッチの登壇者が8名に
テーマ内容ともに充実

DXフォーラムの締めくくりは、プログラム受講生によるピッチ(短いプレゼンテーション)と、講評者によるディスカッション。テーマは昨年と同様に「社会の課題を解決する新たなビジネスモデル」で、前回の2人から大きく増えて、8人が登壇して熱のこもったプレゼンテーションを展開した。

ピッチプレゼンテーション登壇者

登壇者

ダイスネクスト
橋口 江利香 氏

登壇者

ASIBA
須藤 望 氏

登壇者

SAKIYA
野田 元 氏

登壇者

清水建設
辻󠄀 裕次 氏

登壇者

構造計画研究所
山本 大輔 氏

登壇者

構造計画研究所
高山 慧 氏

登壇者

Odd AI
小竹 智也 氏

登壇者

日本設計
木野内 剛 氏

ピッチプレゼンテーション講評者

好評者

キープレイヤーズ 代表取締役
高野 秀敏 氏

好評者

N.FIELD 代表取締役CEO
野中 瑛里子 氏

好評者

リンクス 執行役員CXO
脇田 優子 氏

トップバッターはダイスネクストの橋口江利香氏。テーマは「エドテック×eスポーツ」。RXコンソーシアムの講演から着想を得て、建設業界とゲームの親和性について考察を始めたという。特に、農業ゲームの成功事例から、ゲームが単なるエンターテインメントではなく、学習ツールとしても有効であることを指摘した。

ゲームの力で建設業が変わるという橋口氏の視点に対して、講評者であるキープレイヤーズの代表取締役高野秀敏氏は、eスポーツの市場は2025年に125億円になるとしたうえで、日本では大きな成功例がまだなく、大きなビジネスチャンスがあるのではないかと期待を寄せた。

図表

ダイスネクストの橋口江利香氏はeスポーツで建設DXをPRすることを提案した

2人目はASIBAの須藤望氏。デザインスタジオに属しながら、東京大学2年生の学生でもある須藤氏は、生成AIを用いた都市づくりの手法について発表を行った。具体的には京島地域のフィールドワークで写真を収集し、AIによる追加学習で地域らしさを抽出する取り組みを実施している。また、赤羽での駅前再開発に関連して、高齢者を含む市民参加型ワークショップを実施して、インクルーシブなまちづくりを目指したという。

講評者のN.FIELD代表取締役CEO野中瑛里子氏は、人口減少地域で町の再興に向けた活用を提案した。

図表

ASIBAの須藤望氏は、生成AIを用いた都市づくりの手法について発表を行った

3人目はSAKIYAの野田元氏。木材の非破壊検査システムの開発について説明した。木材内部欠陥や強度のばらつきという課題に対して、ミリ波レーダーによる検査システムを開発している。実証実験では、約120本の木材を検査して、内部節の検知率100%を達成したことを報告した。生産ラインの試験導入では、約20%の材料削減効果が得られたという。

4人目は清水建設の辻󠄀裕次氏。建設業界のDXと課題について発表した。辻󠄀氏は59歳で、第2の人生を考える時期にあり、建設業のDXを活用した業務効率化を目指していると説明。建設業界が直面している主な課題として、就業者の高齢化(55歳以上が36%以上)、2024年問題、設備業者の業務逼迫、設備機器の納期遅延などを挙げた。

講評者のリンクス執行役員CXOの脇田優子氏は、建設業界のデータドリブン(企業が蓄積したデータに基づいて意思決定を行う手法)への移行の必要性について共感を示した。

図表

清水建設の辻󠄀裕次氏は、建設業界のデータドリブンへの移行する必要性を説いた

5人目は構造計画研究所の山本大輔氏。同社の建設DXの取り組みについて紹介があった。建設業界の人手不足などの課題に対してシステム開発を通じて解決策を提供しているという。さらにBIM(Building Information Modeling)の計算連携プラットフォームの開発や、様々な業種との連携による技術ソリューションの提供について説明があった。

6人目は5人目に続いて構造計画研究所の高山慧氏。1960年代の構造計算へのコンピュータ導入から、CAD・BIMの普及、そして現在のAI活用まで、構造設計分野のDX化の変遷を説明。さらに具体的な提案として高山氏は、図面チェックAI、構造計算適合性判定支援AI、そして構造計算サポートAIなど3つの活用アイデアを提示した。

図表

構造計画研究所の高山慧氏は、図面チェックAI、構造計算適合性判定支援AI、そして構造計算サポートAIなど3つの活用を提案した

7人目はOdd AIの小竹智也氏。建築不動産とAIについてプレゼンテーションがあった。AIとの効果的な付き合い方として、24時間対応可能なマルチ辞書のように活用することを提案し、ChatGPTを使用した具体的な事例を紹介。また月額3万円のOpenAIのプロ契約について言及し、費用対効果が高いと実際に活用してきた経験を語った。

講評者の脇田氏は、AIに指示や命令を与えるプロンプトの重要性を説き、DX推進における人材育成の可能性について言及した。

最後に登壇したのは、今回で3回目となる日本設計の木野内剛氏。環境価値共創に関する新たな視点を提示した。特に資源循環と生物多様性に焦点を当て、技術サイクルと生物サイクルを両立させることの重要性を説明した。また土を使った開発のポジティブインパクトとして、資源枯渇への対応、環境負荷の低減、建築資材としての価値創造などの可能性を示した。

このプレゼンテーションを受けて、基調講演を最初に行った赤井氏は、建築・都市・不動産のDXを統合する視点を高く評価し、特にIDによる建築物の管理や空間モードの形成に関する提案を評価した。

ピッチ

ピッチでは8人の登壇者と3人の講評者で活発な議論が展開された

― タイムテーブル ―

13:00~13:05

主催者挨拶

東京大学 特任教授 和泉 洋人 氏

13:05~13:35

基調講演

株式会社ナウキャスト取締役会長
経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進委員会特別委員
経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進委員会
EBPMアドバイザリーボードメンバー
赤井 厚雄 氏

13:35~14:05

基調講演

駒澤大学文学部地理学科・准教授
東京大学空間情報科学研究センター・特任准教授
瀬戸 寿一 氏

14:05~14:15

休憩

14:15~15:55

受講生によるピッチプレゼンテーション&ディスカッション

15:55~16:00

クロージング

東京大学 特任教授 和泉 洋人 氏

お問い合わせ

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