物理屋が選んだ「AI戦略コンサルタント」という道
藤中 崚氏
野村総合研究所
コンサルティング事業本部
AI戦略コンサルティング部
アソシエイト
2023年に新卒で入社し、AI戦略コンサルティング部で活躍している藤中氏。今でこそAI戦略のプロフェッショナルといえる藤中氏だが、大学時代の専門はAIではなく素粒子物理だった。「ダークフォトンの探索をテーマに、特定の周波数帯の光子の相互作用を検知する装置を作り、解析まで自ら行うことで、ハード・ソフト両方の開発を楽しんでいました」と藤中氏は語る。
そんな藤中氏は当初エンジニアとしてSIerへの就職を考えていたが、多くの業界・業種を広く客観的に俯瞰できるのではとコンサルティング業界に興味を持つようになった。「経営層の方々と高い視座でディスカッションをするコンサルタントに魅力を感じました。"エンジニアの気持ち・言葉"を咀嚼し専門性を生かしつつ経営目線でも技術レイヤーの判断をすることにより、経営層との橋渡し役としてのふるまいができるのではないかと考えました」と当時を振り返る。
インターンシップや選考を通じて、人事だけでなく現場の社員が自身のパーソナルな人柄まで深く理解し評価してくれている姿勢に強くひかれ、NRIへの入社を決意した。
入社後の藤中氏のミッションは大きく2つある。1つは、クライアントのAI高度化の必要性・余地を正しくジャッジし、企業方針から現場導入まで落とし込んでいく、クライアントワークとしてのミッション。もう1つは、自社のコンサルティング業務を効率化・高度化するAIシステムの開発を主導し定着を推進する社内向けミッションである。
入社2年目で3兆円企業のCTOへ直接報告――若手でも大役を担える
AI戦略コンサルタントとして、藤中氏に課されるミッションは、全社レベルでAI利活用の構想を検討する上流から、現場で必要とされている機能要件を整備する下流まで、多岐にわたる。漠然としたイメージで話をする顧客に対し、効率化できる領域を切り分けた上で、AIのトレンドを踏まえたロードマップを詳細化し、業務や組織のあり方そのものを変えていく支援をする。
特筆すべきはコンサルタント個人が持つ裁量権の大きさだ。藤中氏は入社2年目に、クライアントのAIビジネスへの参入戦略を検討する上で重要なパーツとなる調査案件でプロジェクトリーダーに抜擢された。この案件では、3兆円規模の大企業のCTOに対して直接報告するという、一般的なコンサルティングファームでは若手が経験し得ない大役も担った。
「リーダーはお客様との会話の中から真のニーズを汲み取る必要があり、苦労しました。ですが、私がもがいていると現場の先輩や上司がしっかりと手を差し伸べてくれる温かい社風がNRIにはあります。自分の力量より少し高いレベルの経験をさせていただいたからこそ、大きな成長につながったと感じています」。
また、「興味があるテーマには即座に手を上げて、多様な仕事にかかわれる文化があります」と藤中氏は語る。ハードデバイスの知見を生かした技術調査、次世代のトレンドとなりつつあるPhysical AI、新規事業の事業性評価、機械学習を活用したデータ分析など、多様なジャンルの仕事がNRIには存在する。「意思を主張すれば、柔軟にこれらの仕事を経験できる文化はNRIの大きな魅力です」。
実務で培った知見を論文として対外向けに発信
藤中氏は、コンサルティング事業本部内で利用する独自の生成AIツールの開発・導入推進を初期段階から担っており、コンサルティング業務をAI時代における新たな業務へ変革していくこともミッションとなっている。リリース当初の3年前は10%程度だったツール利用率を、現在では80%以上に引き上げ、オフィス内を歩けばほぼ全員が本ツールの画面を開いていることが日常の光景となった。社内からは、本部の歴史に名を残したと称賛されるほどの成果を挙げている。
「当時は既存ツールの進化を待つのが一般的という声もありましたが、自分たちで独自の基盤を持つ価値を信じて取り組みました。結果として、NRIはコンサルティング本部が自ら導入を主導した経験を元に顧客へ生々しくリアルな提案をすることができています」と語る。
こうした実務で培ったリアルな知見について、論文として対外向けに発信している。2025年1月に『NRI Management Review』にて生成AIとナレッジマネジメントの親和性について説いた論文を発表。さらに2026年4月には、『知的資産創造』にも寄稿している。同論文ではAI時代における企業が求める人材像をテーマに、若手が成長の第一歩として取り組んできたタスクがAIに代替される中で企業はどう人材育成すべきかについて考察。圧倒的な専門性を持つ尖った人材と、AIの進化に対応しながらAIと人間のバリューの選別を都度的確に続けられる柔軟性を持った人材の両軸が必要であると提言している。
「主観的な主張がはびこりやすいテーマだからこそ、先進的な海外事例などの「正しい」事例を裏付けるプロセスで苦労しました。しかし、普段の議論を地に足の付いた形にまとめ上げる経験は素晴らしい成長機会になりました。NRIには、こうした挑戦の機会を若手に与え、伴走してくれるカルチャーがあります」(同氏)。
テクノロジーの専門知見を持つキャリア人材はコンサルタントに最適
藤中氏は今後、AIの行く末を正しくジャッジし、地に足の付いた提案ができるコンサルタントを目指している。経営層の視座に立ち、企業が勝ち残るためのAI利活用戦略を語れる戦略コンサルタントになりたいと語る。
「NRIは、多様なテーマをスピーディーに経験しながらキャリアを楽しめる環境です。特にAI戦略コンサルティング部では、テクノロジーと真摯に向き合い、独自の専門性を武器に楽しく語れるような個性的な人は向いていると思います。私もハードウエアとソフトウエアの両方に触れてきたエンジニアとしての経験が、お客様と対話する際の大きな強みになりました」。


