IT/AIの知見を経営に生かす AI戦略コンサルタントという選択

構想から実現まで一緒に「AI×経営改革」へ挑む SIer出身者が次のキャリアにNRIを選んだ理由

野村総合研究所 新井 貴史氏

コンサルタントへの転身を考えるSIer出身者が、まず候補として考えるのは外資系の総合コンサルティングファームかもしれない。しかし、AI・ITの知見を生かし、経営や事業の意思決定から実現方法まで自ら考え抜いて携わりたい人にとってベストな選択はほかにある。野村総合研究所(NRI) AI戦略コンサルティング部 シニアコンサルタントの新井貴史氏も、大手SIerでアカウント営業とITコンサルタントを計10年ほど経験した後、より上流の意思決定に踏み込みたいと、NRIに転職した。事業会社や他コンサルティングファームも選択肢にありながら、なぜNRIを選んだのか、その理由と転職後の成長について聞いた。

経営・事業の意思決定に、もっと深く関わりたかった

野村総合研究所 新井 貴史氏

新井 貴史氏

野村総合研究所
コンサルティング事業本部
AI戦略コンサルティング部
シニアコンサルタント

 新卒で大手SIerに入社した新井氏は、最初の5年は顧客担当として、業務課題を踏まえたシステム提案に携わった。続く5年はITコンサルタントとして、クラウドアーキテクチャの設計・構築やSnowflakeなどのデータ基盤の技術検証を手がけた。さらに機械学習モデルや最適化モデルの開発から、それらを組み込んだ業務改革の構想まで、担当する範囲は一段と広がっていった。

 新井氏が転職を意識したきっかけは、IT部門の外にある意思決定に自分が関与できないもどかしさだった。ITに関する企画の内容が経営や事業の判断によって方向性が変わることは珍しくない。その判断の場に自分は立ち会えず、IT部門の窓口として結果を受け取る立場にとどまっていたと語る。「技術的にどうつくるかだけではなく、そもそも何のためにやるのかを決める場所に立ちたい。企業経営に潜む課題の発見から解決まで携わりたいという思いが強くなりました」と新井氏は振り返る。

幅広いテーマと技術の専門性が
NRIを選ぶ決め手に

 事業や経営に関わりたいと考えた新井氏は、転職活動で事業会社や複数のコンサルティングファームを幅広く検討した。そのなかで、多様なテーマに関わりながら専門性を高められるNRIのコンサルティング事業本部が、自分には合っていると考えるようになった。

 選考の過程で社員と言葉を交わし、公開されている論文やレポートに目を通すなかで、イメージは具体的になっていった。一つの部門に所属しながらAI・ITだけではなく事業戦略、マーケティング、業務改革など多様なテーマに関われること。NRI全体としてはコンサルティングとシステム開発・運用の両方をビジネスとしており、第一線の技術者が社内にいるため自身の強みを継続して高めることができること。そして、決まった型に当てはめるのではなく、顧客ごとに課題と解き方を一から考え抜くことが求められること。いずれも、新井氏が求めていたものだった。

 意外だったのは、コンサルティングファームでありながら、個人で競い合うイメージではないと感じたことだった。腰を据えて働けるという安心感が最後の決め手になった。「意欲のある人に対して、周囲が協力を惜しまない。対話を重ねるなかで、そう感じました」(新井氏)

技術者の経験は、経営を語る場でこそ効く

 入社後、新井氏が実感したのは、SIerで培った技術知見が、経営や事業の課題を考える上で大きな強みになることだった。技術から離れるのではなく、技術の可能性と限界を踏まえたうえで、事業や経営の判断材料として提供する。それが新たに求められた役割だった。

 「AIで何がどこまでできるのか、どれだけの時間とコストがかかるのか。私にとっては当たり前の感覚でも、経営や事業の視点から見ると、そこが判断の分かれ目になることがあります」と新井氏は語る。技術の実感を持って語れることが、議論の精度を上げる。エンジニアとしての経験は、想像していた以上に活きているという。

 一方で、経営コンサルタントとして新たに直面した難しさと面白さもあった。対話する相手が広がったことだ。「これまでも経営や事業の観点に触れる機会はありましたが、中心はIT部門の方々でした。業務部門や経営層の方と話すと、同じテーマでも関心の置きどころが違う。一つひとつの言葉は理解できても、その方が何を判断しようとしているのかをつかむまでに時間がかかりましたが、とても視野が広がりました」と振り返る。

 新井氏は過去のプロジェクト資料を読み込み、顧客が何を気にし、どんな言葉で語るのかを学んでいった。相手の視点に立つ準備として、議論の前にAIと論点を整理することも、いまでは習慣になっている。「ITの議論には、システムという明確な対象があります。一方、経営の議論は打ち手の選択肢が広く、どこから手をつけるかから考える必要がある。その難しさと面白さを、日々の実務のなかで感じています」と新井氏は語る。

答えのない課題を考え抜き、
プロジェクトをリードする

 同氏が成長を実感したのは、AIの普及によって顧客の事業が直面する課題を構造化し、進むべき方向を示したプロジェクトだ。このプロジェクトでは初めてプロジェクトのリードと顧客対応を任された。技術の可能性を踏まえながら、何が事業にとって本質的な論点かを突き詰め、自分が抱えるべき仕事とメンバーに委ねる仕事を切り分けて議論を重ねた。まとめ上げた示唆が、顧客の経営判断の材料として受け止められたことは、大きな自信につながったと新井氏は語る。

 NRIでは上司が複数の案件をサポートし、若手がプロジェクトリーダーを担うパターンが多い。その挑戦を支えるのが、周囲のサポートだ。「NRIには、顧客にとってより良いアウトプットを生み出すためなら、忙しくても資料の提供や相談で協力してくれる人が多くいます。挑戦の機会をもらい、必要なときには周囲が手を差し伸べてくれました」と新井氏は振り返る。AIという新しい技術を扱う部門だからこそ、年齢に関係なく新しいことへ挑戦しやすい自由闊達な雰囲気があるという。

 実務で得た知見を発信する機会もあり、新井氏は刊行誌『NRI Management Review』でシナリオプランニングをテーマとした論文を発表した。共同執筆者との議論や上司のフィードバックを通じ、自身の思考を深める経験になったと語る。

 こうした経験を踏まえ、新井氏が共に働きたいと考えるのは、顧客にとって価値あるアウトプットを届けるために、粘り強く考え続けられる人だ。NRIの仕事では、初めから正解や進め方が用意されているとは限らない。答えのない課題に対して何度も思考を重ね、メンバーと意見を交わしながら、一つずつ形にしていくことが求められる。

 「お客様に価値あるアウトプットを出すために粘り、周囲と議論しながら思考を深めていく。そのプロセス自体を楽しめる方がNRIに向いていると思いますし、私もそういう方と一緒に働きたいです」(同氏)

Editor's Column

外資系の総合コンサルティングファームだけが
「答え」ではない

 コンサルティングというと、まず外資系を思い浮かべる方も多いかもしれません。取材で強く感じたのは、大切なのは社名や規模よりも「どんな進め方で、誰と一緒に考える会社か」だということです。新井氏は、決まった型に当てはめるのではなく顧客ごとに課題と解き方を一から考え抜くこと、そして描いた構想が技術的に成り立つのかをプロジェクト関係者や上司だけでなく社内の多様な専門家とともに確かめられることにこそ、NRIのコンサルティングのやりがいがあると話してくれました。

 答えのない課題に粘り強く向き合い、周囲との議論を通じて価値あるアウトプットを形にしたい。そんなSIer出身者にとって、NRIは次のキャリアを考える有力な選択肢になるはずです。

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