佐藤 香西さんが担当されている仕事の内容について教えてください。
香西氏 2019年に中途入社後、2021年からは商業産業用プリンターの営業部に所属しており、役職としては係長クラスのシニアスタッフという肩書です。
当社は家庭用インクジェットプリンターのイメージがあると思いますが、布にもプリントできる「デジタル捺染機」という産業用のプリンターも展開しています。このデジタル捺染機を扱うのが私の所属する部署です。その中でも私は、実際に洋服のプリント企画をするアパレルブランド向けに、どのように当社のプリント技術を活用いただけるかを考えながら、ニーズをお聞きして企画を提案し、新しい市場の開拓や認知度の向上につなげる業務を担当しています。
佐藤 御社は、属性にかかわらず社員一人ひとりが能力を発揮できるような制度を整えられているとうかがっています。香西さんは子育てをしながら働いていらっしゃるとのことですが、仕事と子育てを両立するためにどのような制度を利用されていますか。
香西氏 主には短時間勤務と在宅勤務です。勤務時間は、8時45分から16時までの6.25時間となっています。在宅勤務は週に4日。私が所属する商業産業用プリンターの営業部では、出社するメンバーも多いですが、私の場合は子どもがまだ小さい点や通勤時間が1時間半ほどかかる点を配慮いただいている形です。
佐藤 社員各自の事情も考慮しながら働くことも可能なのですね。実際に短時間勤務と在宅勤務の制度を活用されてどのように感じていらっしゃいますか。
香西氏 まずは時間的な余裕ができたことで、子どもの送迎や家事の時間を確保できたのが大きなメリットです。加えて、物理的な時間が減ったぶん、限られた時間で自分やチームのアウトプットを高めるために、これまで以上に時間の使い方や優先順位などを工夫するようになりました。短時間勤務になるからといって担当する業務の重要度が下がることもありませんでしたし、挑戦したいことには挑戦できているという実感があり、結果的に私自身の仕事のパフォーマンスも上がっていると感じています。
佐藤 お子様が幼いと手がかかることもありますし、発熱などで急にお迎えに行かなくてはならないこともあると思います。そういったときはどのように対応していますか。
香西氏 急に子どもが体調を崩したときなどは、フレックスタイム制度を活用しています。当日でも上司やチームに相談ができる環境ですし、当社のフレックスタイム制度にはコアタイムがないので、別日の朝早めに仕事をスタートすることで業務時間が調整できます。私たちの会社では、チームの成果を最大限に引き出すために、障害となるものがあれば取り除くという文化が根付いています。そのため、柔軟な働き方ができることをとてもありがたく思っています。
佐藤 産休に入られたのが現在の部署に所属してまもなくだったとのお話がありました。現在の役職は係長級のシニアスタッフとのことですが、昇進はどのタイミングでされたのでしょう。
香西氏 当社の昇格試験は論文と面接の2段階なのですが、論文の提出を終えて産休に入り、復帰後に面接という形になりました。当社はジェンダー平等推進の一環として、今あるジェンダーギャップの解消を目的に一定年齢以上の女性社員を対象とした昇格試験の支援施策を行っています。
産休明けで不安がある中、面接対策のための模擬面接や話し方講座の開催など手厚くサポートがあったおかげで、スムーズに昇格試験に挑戦することができました。
佐藤 会社がそのようにキャリア形成を応援してくれるのは素晴らしいですね。そうした環境で働く中で、香西さんご自身が意識されていることはありますか。
香西氏 情報の見える化と共有です。子育てをしていると、どうしても急な休みや早退があって、自分だけが情報を持った状態ですとお客様にご迷惑をおかけしてしまいかねません。チーム内で最新の情報を共有することで、仕事の進捗に影響が出ないようにしています。
佐藤 同じチームの方に仕事を代わってもらうようなこともあると思うのですが、普段からの関係づくりで心掛けていることがあったら教えてください。
香西氏 やはりコミュニケーションですね。私は在宅勤務が多いので、チーム内でのやり取りはどうしてもオンライン中心になるのですが、リモート会議中は必ずカメラをオンにしたり、議論やアイデア出しが必要なときはミーティングを出社日に設定してもらったりしています。出社日にはチームのみんなと一緒にランチを取る時間も大切にしています。また、自分がお願いするだけではなく、チームの他メンバーもそれぞれ事情があると思うので、何かあったら協力するので相談してくれるように声をかけています。
佐藤 単に会社の制度が整っているだけでなく、現場でもお互いにサポートし合える環境があると、チーム内の皆さんが安心して働けますね。
佐藤 2019年に中途入社されたとのことでしたが、長野県で働くのはこれが初めてですか。
香西氏 そうです。新卒で東京都の会社に就職し、カナダへの社会人留学を経て転職前は岐阜県の飛騨高山で働いていました。長野県の塩尻に移住してきたのが当社への転職のタイミングでした。夫も在宅ワークですが、定期的に東京の会社に行かなくてはいけないので、現在は少し東京寄りの山梨県北杜市に住まいを移しています。
佐藤 八ヶ岳エリアがお好きとのことですが、入社を決めるに当たって長野県の企業であることは重視されましたか。
香西氏 はい。ライフイベントを経ても長く安心して仕事を続けられるという点で、会社の制度ももちろん重視しましたが、自分がリフレッシュできるという点で長野県は魅力的でした。森や湖が近いことや季節の移ろいを身近に感じられることなど、長野県にはカナダとの共通点が多く、こういう場所ならリフレッシュしやすいと感じました。私は温泉が大好きなので、近くに温泉があることも重視しました。塩尻に住んでいた際も、浅間温泉や諏訪・茅野方面の温泉によく通っていました。こうした環境の中、在宅制度を活用しながら自分の仕事や生活を組み立てていけることをありがたいと感じています。
佐藤 長野県では5つの価値の源泉それぞれにコアバリューを策定しています。御社はもともと諏訪が発祥ですし、この中では「産業」という点で価値を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
香西氏 現在も高い技術力を持った職人が塩尻の事業所で精巧な時計づくりをしていますし、私が担当しているデジタル捺染機も独自のインクジェット技術を世界に向けて発信しているという点を誇りに感じています。
このデジタル捺染機を使った印刷プロセスは、水資源など環境に配慮した工程であることを自然が豊かな長野県から発信するのは、説得力もありますし共感していただけるという自負もあります。
佐藤 子育て中の母親としての視点からは、「学び」についてはどう感じていらっしゃいますか。
香西氏 自然に恵まれた環境の中で子どもがのびのびできますし、それを応援する長野県の気質は感じます。私自身もそうですが、他の親御さんと話していても、保育園や小学校では野菜づくりや虫探し、緑がたくさんある公園への散歩、冬は雪遊びなど、周りの自然と触れ合いながら学びの機会がたくさんあると感じているといった声をよく聞きます。そういった子どもの好奇心を伸ばすことができる環境も、仕事を続けながら子育てを行いたい家族にとって、長野県を移住先として選ぶ理由につながっているのかなと思います。
佐藤 長野県は県外からの移住者が多い印象ですね。そういう人たちの居場所としての「コミュニティ」についてはいかがですか。エピソードなどあればお聞かせください。
香西氏 職場の内外に県外からの移住者が多く、いろんな情報を共有していただきました。山登りや味噌づくりといったイベントの他、塩尻にあるイノベーションコミュニティにも参加しました。どのコミュニティもオープンな雰囲気で、参加して楽しむだけではなく、悩みを共有したり仕事とは違った生きがいを探したりできます。
佐藤 デジタル捺染機は海外にも発信されているとのことで、仕事の幅もこれからますます広がっていくことと思います。今後のキャリアを考えたときに、長野県をベースにして働き続けたいとのご希望はお持ちですか。
香西氏 新しい挑戦の機会があればトライしてみたいという気持ちはありますが、そう思えるのも自分のペースやバランスでやらせていただいている現在の環境があるからだと考えています。私がシニアスタッフへの昇格試験を受けたのも、責任ある立場で多くのパートナー様とつながることで成長したいという思いがあったからです。やりがいのある仕事と、私の「好き」が詰まっている長野県での暮らしが共存できていること。これが現在の私にとっては大きな価値があると思うので、これからも長野県で働くことがベースになっていくと考えています。