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N e w F u t u r e

Vol.15 「ライフ起点」のビジネス変革を
支援するアクセンチュア ソング
生活者と価値ある関係を
構築するために、
企業がすべき2つのこと

アクセンチュア ソング(Accenture Song)は、多面的な生活者と企業が関係を深めるために「顧客起点」から「ライフ起点」に戦略を進化させることを提言している。人々と企業の力関係の変化に着目した最新レポート「Accenture Life Trends 2023」の作成と分析にも携わった3人のキーパーソンが、ライフ起点ビジネスの要諦を語り合う。

95%の経営層が
「生活者の変化に追いつけない」

 「Accenture Life Trends 2023」では、人々の変化の兆候とビジネスへの影響がまとめられています。同時に、アクセンチュア ソングは企業に対して生活者の多面性に対応することの重要性も指摘しています。なぜでしょうか。

小林企業の顧客である生活者が多面的であることは昔から認識されていました。しかし不確実性が増す昨今それが浮き彫りになり、生活者自身も様々なことに柔軟に対応するために自らの「矛盾」を受け入れはじめています。加えて、生活者に関して得られるデータも増えました。データは深さと幅が重要です。自社の顧客に関するデータはもちろん、自社だけでは得られないデータのため他社との連携も必要になってくるでしょう。多面的に理解することは避けて通れなくなったと言えます。

小林正寿 氏

小林正寿 アクセンチュア
Accenture Song
マネジング・ディレクター
慶應義塾大学理工学部卒業後、2000年アクセンチュア入社。通信・メディア・ハイテク業界、コンシューマ向けビジネスを中心に、企業成長戦略、新規事業創出、デジタル戦略立案・推進、マーケティング・営業戦略などの戦略コンサルティングに多数従事。2022年より現職。

ブッシュ私はデザイナー兼リサーチャーとして、今回のレポート作成に携わりました。そこで感じたのは、企業と個人との力関係(パワーダイナミクス)が変化し、対等になってきている点です。小林が指摘したように顧客データは重要です。データを開示する決定権が顧客に移りつつある今、貴重な個人データをいかに納得して提供してもらうか、言い換えると「引き換えにどんな価値を提供できるか」を考えることが今まで以上に必要になってきます。また、「ひと」に関するデータは定量的に分析するだけでなく、その意味を定性的に理解することも重要です。

番所顧客理解においては、過去と未来をバランスよく見ることも大切です。

 例えば、「長年にわたって顧客のアンケート調査を実施してきたので、顧客を十分に理解している」と考えている企業も多いかもしれません。しかし、アンケート調査では、顧客の過去の行動結果とその理由を把握することはできますが、未来の行動をどうすれば変えられるかを把握することはできません。多面性に応える顧客体験を先回りして再設計するためには、定性インタビューやエスノグラフィー等の手法による顧客の深い理解はもちろん、社会変化の潮流を捉えた未来の予測も加えていく必要があります。「Accenture Life Trends 2023」はまさに、その点で各企業のヒントになればと思って作成しています。

番所浩平 氏

番所浩平 アクセンチュア
Accenture Song
マネジング・ディレクター
デザインリーダーシップ エグゼクティブ
早稲田大学卒業後、エンターテインメント企業向けのコンサルティングに従事した後、モバイルビジネスのサービス戦略における専門家として2012年にアクセンチュアに入社。2014年よりUX/UIデザインを専門とする組織を統括。2019年に世界最大級のデザインスタジオFjordの東京拠点を立ち上げ率いた後、Fjordのアクセンチュア ソングへの統合に伴い現職に就く。

小林当社の調査では、95%の経営層が「顧客ニーズの変化に追いつけていない」と回答しています。一方で、生活者の64%は企業に対して「変化するニーズにもっと早く対応してほしい」と考えており、企業と生活者の間には大きなギャップがあります。

 このギャップを埋めるためには、2つのアプローチが必要です。まず、企業はこれまでよりも顧客の理解を深めること。同時に2つ目として、企業全体で変化に追随できる事業運営基盤に変革する必要があります。

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「顧客起点」から
変化に寄り添う「ライフ起点」に
ビジネスを転換する

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 生活者の変化に追いつけない企業が変わるために、どんな考え方が必要でしょうか。

ブッシュ小林が提起した2つのアプローチのうち、1つ目の顧客理解の深化については、私たちは未来の予測に役立つ視点として生活者の「マインドセット」という考え方を提案しています。これまではペルソナやセグメンテーションが主流だったかもしれませんが、それらはあくまで属性をベースに過去のデータに基づいて作られたものでしかありません。未来の行動の兆しをヒントとして得るためには、1人の人間として、「なぜ」その行動を取るのかに着目する必要があります。

 例えば、会社の仲間でランチに行くとき、ある人は、このところ健康志向になっていてヘルシーなものを食べたいと考えるかもしれませんし、別の人は、午前中頑張ったからご褒美で豪華にいきたいという気持ちだったりします。次の日には、また違うマインドセットを持つこともあり得ます。大事なのは、ヘルシーな食事や豪華な食事という最終結果としての行動ではなく、なぜその選択をしたのか、行動の裏にある動機を把握することです。

 顧客接点から得たデータを分析し、個人個人のマインドセットを知ることができれば、次にどういう行動をするのかが予測しやすくなります。

レベッカ・ブッシュ 氏

レベッカ・ブッシュ アクセンチュア
Accenture Song
デザインリサーチ
アソシエイト・ディレクター
UXやサービスデザイン、顧客調査を専門とし、ビジネスとクリエイティブ領域のチームマネジメント経験を持つデザイナー兼リサーチャー。デザインを戦略に生かすプロジェクトに4大陸で携わってきた。日本在住歴は4年で、仕事外でも陶芸や織物、食を通して豊かなモノづくりの文化を学ぶ。多様な人々と協働し非凡な成果を達成することに情熱を持つ。

小林マインドセットを理解するために欠かせないのが、“購入者”としての一面のみを見る「顧客起点」ではなく、多面的な生活者として見る「ライフ起点」の視点です。例えば同じ1人の人間でも、「母親」として取る行動と、「会社の役員」という社会的役割を持って取る行動や考え方は異なることが多いです。企業は、そうした1人の人間が持つ多面性に向き合い、価値観や状況の変化を捉えて、最適な選択肢を柔軟に提供し続けることが必要です(図1)。

 「ライフ起点」で生活者に対応するには、フロント部分だけでなく、バックオフィスの仕組みやオペレーションの対応が必要です。AIなどのテクノロジーを用いた自動化も導入していかなければ、変化に素早く応えることはできません。さらに、複数の部門が機動的かつ柔軟に連携できるよう、新たな組織構造やKPIも必要になるでしょう。どこか1カ所を直せばいいということではなく、企業活動全体を再創造する変革が必要です。

図1 図1

図1:顧客起点とライフ起点の違い

番所「ライフ起点」でビジネスを再構築する際、自社の事業領域を拡大する動きも進んでいます。例えば、メーカー企業が従来のモノづくりからサービスを提供する企業へ変革する、アパレル企業がファッションエンターテインメント企業へ変革するなど、各企業が様々な変革に取り組まれていますが、それは既存ビジネスのコア領域から人々の「ライフ起点」で周辺領域に事業を拡大することを意味します。未知の領域に対して、どのように顧客理解を深めるかも、今後企業が解決すべき課題になっています。

小林非常に重要なポイントですね。いくら「ライフ起点」で顧客を多面的に理解しようといっても、1社がライフのすべてに対応することは不可能です。自社のコア領域を見定めつつ、自社の価値領域をどこまで広げるべきかをあらためて考えることが不可欠です。

 やはり自社の従来の事業領域から広げていくことが無難なのでしょうか。

小林重要なのは、「生活者の本質的なニーズを理解する」ことだと思います。例えば化粧品を使用する生活者の最終的に満たしたい本質的な欲求が「健やかに美しく」ということであれば、化粧品だけでなく、肌をきれいにするために健康でストレスのない生活を支援するサービスの提供も含まれてくるでしょう。顧客の理解を深めることで、生活の中でまだ満たされていない本質的なニーズや課題に対して応えられるのではないかと思います。

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戦略と体験を
一気通貫でつなぐ支援を提供

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 「ライフ起点」のビジネスを構築する際のパートナーとして、アクセンチュア ソングは企業をどう支援できるのでしょうか。

番所これまでお話ししてきたように、人々は多面的であり、企業との接点も多様です。そのため、新しい顧客体験を提供するサービスをデザインする際には多くの部署が関わって複雑になり、全体を俯瞰した設計が必要になります。ビジネスやテクノロジーはもちろん、マーケティングやデータの視点も必要で、デザイナーだけでは対応が困難になっています。

 そこで、小林をはじめとした戦略コンサルタントやデータサイエンティスト、マーケターやエンジニアが加わることで、ビジネスモデルやデータ活用までを含めた包括的なご支援が可能なことが、アクセンチュア ソングの大きな強みです。

 こうした包括性に加えて、具現性も大事にしています。それは、アプリなりサービスなりマーケティングキャンペーンのクリエイティブなり、具体的に形あるものを見ながら戦略を確認することです。会議でプレゼンテーションのスライドを見てもピンとこないものを、例えばアプリのプロトタイプをその場で見ながらデモすれば、最終的に目指すものへの距離を一気に縮めることができます。企業のその先の生活者に常に視点を置き、そこに届ける価値を具体的に描きながら仕事を進める。こうした進め方によって、事業・サービス・プロダクトなどの最終アウトプットを創出するのみならず、社内の働き方やカルチャー変革もお手伝いできると考えています。

小林同感です。概念や言葉ではどうしても伝えるのが難しい場合があります。そういうときにリアルなものでお見せすると、直感的に理解、納得いただくことができます。企業の変革という大きなテーマだからこそ、「皆が共感・共鳴して進めること」が非常に重要です。アクセンチュア ソングが目指す「Growth through Relevance(共感・共鳴を通じた成長)」をよく表す例だと思います。

ブッシュカルチャー変革という話がありましたが、忘れてはならないのが、自社の従業員という「生活者」です。私たちは、顧客だけでなく従業員のマインドセットにも着目し、企業の「ソフトスキル」を養うことも提供価値として考えています。リーダーシップのあり方、従業員の管理の仕方、より多くの人々を積極的に巻き込む進め方など、プロジェクトを通して新しいやり方とその価値に気づいていただくことが多いです。とくに日本企業は、失敗は長い時間を割いて会議で反省するものの、成功をたたえ合う機会が少ないと感じることがあります。こうした小さな瞬間の積み重ねで、社内文化は醸成されます。私たちはプロジェクトを通して、スキルや経験だけでなく、このような無形の価値である文化の作り方もお伝えしています。なぜなら、優れた顧客体験を実現するためには、より良い従業員体験がカギになるからです。

 企業は、アクセンチュアのような外部の支援をどう生かせばいいのでしょうか。

番所アクセンチュアには、戦略から顧客体験のデザイン、最先端のテクノロジーを活用したシステム構築、運用まで、すべてを支援する体制が整っています。ですが、すべてをアクセンチュアに任せてしまっていいのか、という疑問が生まれるかもしれません。

 私たちはお客さまの強みはどこで、不足しているケイパビリティやリソースは何かを理解し、柔軟に対応できます。足りないピースに関しては支援を行う傍ら、先ほどベッキー(ブッシュ)が話したようにスキルをお渡しすることで、最終的にお客さま自身で内製化いただけるよう支援をしていきます。社内で持続的に運用できるかという観点は、どんなプロジェクトでも非常に大事にしています。

小林いきなり大きな変革は難しくても、我々がご提案する「ライフ起点」の考え方や「Accenture Life Trends 2023」などのレポートは、日々の取り組みやメンバー、経営層への提案の中できっと役立てていただけるはずです。課題を明確化し、同じグループのメンバーと共有しながらそれを部門レベル、やがて会社レベルへと範囲と仲間を拡大し、全社の関心事とする中で、外部の支援もうまく活用する。長い道のりだとしても、我々はしっかり伴走します。

ブッシュ私自身、アクセンチュア ソングは非常に楽しい職場だと感じながら働いています。私とは全く異なる様々な分野の専門家が、日々グローバル規模で垣根なく知見を共有し、常に学びと刺激にあふれているからです。きっとお客さまにも、コラボレーションを通じてそうした価値を感じていただけると思います。

小林氏、番所氏、ブッシュ氏
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