テクノロジーと多様性の掛け合わせが責任あるAIを作るために、アクセンチュアではどのような取り組みをしているのでしょうか。
保科AIの開発時、まずAIに与えるデータに偏りがないか、データが不足して精度が落ちないかなどを定量的に検査します。そして、それに加えて大事なのが定性的な評価です。ブランドやESGなどの観点から、企業活動の中で倫理面を意識したAIの使い方をチェックしていくことが必要です。
このときに重要になるのが、AIの開発者がどれだけ幅広い視点を入れられるかです。開発者が個人の狭い視点だけで作ってしまうと、偏りが生じるリスクは高まります。単に技術に詳しい人だけでなく、倫理や法律に詳しい専門家も含めて開発する必要があります。そして、性別、人種など多様な観点を持ち寄ってサービスを作ることが何より重要です。アクセンチュアは、責任あるサービスを作るためにI&Dを最重視しています。
アクセンチュアでは、I&Dについてどのような活動をしているのでしょうか。
秦4つの柱で取り組みを進めています。最も歴史があるのはジェンダー(性別)で、2006年から女性の採用強化や継続意欲の維持・向上、女性リーダーの継続的な輩出を目指した取り組みを推進しています。アクセンチュアのグローバル全体で2025年までに社員の男女比率を50:50にする目標を掲げています(図2)。
図2:ジェンダーへのこれまでの取り組みと目指すゴール
ジェンダーに続いて、クロスカルチャー(異文化)、障がいのある方、LGBTQなどダイバーシティの観点を広げて活動を行っています。それぞれの領域で、成果が出てきています。アクセンチュア社内でこれらの活動は、一部の人だけが行うのではなく、若手からリーダーまで、多数の意欲のある社員が積極的に参加しています。
私がリードを務めるDDC(データドリブンコンサルティング)チームには、現在約100名の社員がいますが、本当に多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まっています。これは、ビジネス面で非常に重要です。様々な業界でAIを使うようになり、それを開発する私たち自身が多様な視点を持たなければ対応できなくなったからです。サービスを開発する際に、それを利用するマジョリティの視点だけになっていないか、マイノリティを含んだ多角的な視点は入っているかをチェックすることが、不可欠になっています。
同じバックグラウンドを持つ人同士で働くほうが、一見楽に思えますし、違う背景の人と仕事を進めることは摩擦も生じます。ですが、それを乗り越えたときに得られる成果は、同じ背景の人だけで作ったものよりもはるかに幅広く膨らむということを実感しています。
保科テクノロジーで、I&Dの環境づくりをサポートする取り組みも進めています。アクセンチュアではバーチャルコンシェルジュの「ランディさん」が社員の業務をサポートしています。例えば、社員が性的マイノリティについての社内制度を問い合わせたときに、社内の人事や総務に直接問い合わせると、それはカミングアウトしたことになってしまいます。ですが、AIボットであるランディさんに聞けば、その心配は不要です。また視覚や聴覚の支援技術も導入し、テクノロジーをうまく使いながら、能力のある社員が力を発揮できる環境を作っています。