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Vol.12事例:パナソニック 既存の強みを生かした新規事業へ パナソニックが挑む
社会課題解決にも貢献する
“三方良し”のビジネスモデル

パナソニック くらしアプライアンス社が2022年1月にリリースした賃貸物件のオーナーおよび不動産管理会社向けのサブスクリプションサービス「noiful」。ステークホルダーすべてにメリットがあるというこのサービスの事業開発にはどのような思いがあり、どのようにして実現したのか。その取り組みを紹介する。

新しいニーズや社会課題に応える
サブスクリプションサービス

電通デジタル・安田裕美子氏(以下、安田)満を持して新規事業「noiful(ノイフル)」がスタートしました。まずはnoifulの概要をご紹介ください。

パナソニック・太田雄策氏(以下、太田)noifulは、賃貸物件のオーナー様や不動産管理会社様に対して当社の先進家電をサブスクリプションの形で提供するサービスです。入居した日から快適で上質なくらしを実現していただくというコンセプトで、アフターサービスも含めた家電パッケージを提供する「noiful ROOM」と、リノベーションにより生活動線や家電収納も含めたくらし空間を提供する「noiful LIFE」の2種類を用意しました。賃貸物件オーナー様や不動産管理会社様にご契約いただく形で、物件の差別化により家賃収入や入居率の向上にお役立ちできればと考えています。

安田家電の製造販売を社業とする御社がこうした新規事業に乗り出した思いや背景について教えてください。

太田まずトレンドに目を向けますと、サブスクリプションやシェアリングといった新しい利用の仕方が浸透しつつあり、所有することにこだわらないお客様が増えてきています。またとくに最近では、コロナ禍のあおりも受け、イエナカのくらしをより充実させたいというニーズも強く、高まりつつあります。一方、社会・環境に目を向けますと、人口減少に伴う空き家の増加や、家電の大量廃棄による環境負荷の増大といった大きな課題がありました。

 これまで「モノ」を「販売」してきた家電メーカーの私たちが、こうしたニーズや課題に対してどのようなお役立ちができるかを検討する中で出てきたのが、日本における賃貸のあり方という視点です。例えば、単身赴任者が引っ越しをする際、一定期間しか使わない家電を購入するのは大きな負担です。また海外では、家具・家電付きのサービスアパートメントが一般的ですが、日本でも一部では家電付き物件はあるものの、まだ一般的とまでは言えません。

 ここに当社の家電を生かした、パナソニックならではの新しい事業機会があると考えました。このアイディアを中核に、事業開発チームで検討や調査、PoCを重ねる中でサービスの具体的な形が整っていきました。

太田 雄策

太田 雄策

パナソニック株式会社
くらし事業本部 くらしアプライアンス社
ハウジングアプライアンス事業推進室
事業開発総括

パナソニック株式会社 本社R&D部門にエンジニアとして入社、技術開発に従事。2015年社内カンパニーのアプライアンス社に異動し、家電のIoTやAIの強化に取り組む。2019年は、マーケティング部門で新規事業開発に携わり、2020年から現職。

安田 裕美子

安田 裕美子

株式会社電通デジタル
執行役員
ビジネストランスフォーメーション部門長

電通入社後、ビジネスプロデュースやデータドリブンマーケティング推進を経て、2016年に電通デジタルの設立に参画。DX領域の企業コンサルティング、事業のサービス化、ビジネスモデル変革支援、顧客接点構築、施策マネジメントなどに従事。2022年から現職。

安田ありがとうございます。私から見て、このサービスが優れていると感じるポイントは3つあります。

 1点目は、生活者が潜在的に持っていたニーズを満たすサービスであること。イエナカの充実というニューノーマルなトレンドを踏まえ、手間をかけずに豊かなくらしを手に入れられますし、部屋になじむ家電といった新しい価値をも提供されている点ですね。2点目は、ビジネスモデルの設計です。ユーザーだけでなく、賃貸物件オーナーや不動産管理会社の課題解決にもつながるサービスになっていて、御社も含め三方良しになっているのがサステナブルだと思います。3点目は、新事業としてのノウハウが詰まっていること。これからの顧客ニーズに応えていくべく試行錯誤された中で、サブスクリプションというアウトプットを生み出されたことに意義があると感じます。