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Vol.25寄附講座(スターバックス コーヒー ジャパン)レポート 唯一無二の存在を目指して スターバックスが追求するDXとは

電通デジタルによるデジタルトランスフォーメーション(DX)をテーマとした寄附講座が、大阪大学経済学部にて行われた。今回は、スターバックス コーヒー ジャパンの戦略本部 戦略部 部長である福島巨之氏を招き、同社におけるDXの考え方や、その取り組みについて語ってもらった。ファシリテーターとして登壇したのは、電通デジタルの前田良樹氏。そのレポートをお届けする。

リテールDXの潮流から見る
次世代のテクノロジー

今回の講義のテーマは「リテールDX」。「リテール」とは、スーパーやコンビニエンスストア、アパレル、飲食店など小売業全般を意味する言葉だ。近年、こうした小売業の顧客や従業員の体験を、ITやAIなどのテクノロジーを用いて高めていこうという取り組みが増えてきている。

ユニクロのセルフレジなどは、その一例だ。テクノロジーの進化により、RFID(電子タグ)を服一着一着に付けることで、カゴに商品をまとめて入れても、瞬時に商品点数と合計金額を読み取ることが可能になった。

「顧客側の利点としては、レジに並ばずに短時間で会計を済ませられることや、コロナ禍で店員との接触が避けられることなどが挙げられます。企業側からすれば、レジ係を減らすことでのコスト削減、販売データを自動で取り込むことによる在庫管理の効率化というメリットがあります」と電通デジタルの前田良樹氏は話す。

そしてもう一つ、前田氏が事例として挙げたのが、ファミリーレストランの配膳ロボットだ。愛らしい猫型のロボットを見たことがある人も多いだろう。3D障害物回避センサーやレーザーで距離を測定するテクノロジーを活用することで、ロボットが目的のテーブルまで食事を運ぶことが可能になった。企業側は、ホールの人件費削減だけでなく、顧客へ猫型ロボットと触れ合えるエンタメ性なども提供できる。

スターバックス コーヒー ジャパン(以下、スターバックス)の福島巨之氏は、この事例について「ある記事では、お客様自身が配膳に協力してくれるので、非常に助かるという従業員の声を紹介していました。彼らにとってみれば、ロボット以上の存在だと感じているのではないでしょうか。リテールDXは、従業員の体験向上にも重要な役割を果たすと思います」と語る。

また、前田氏は、今後注目するリテールDXのテクノロジーを2つ紹介。1つは「味覚のデジタル化」だ。「味やにおいの成分を、データ化して電気信号に変換することで、再現できるようになってきました。例えばスターバックスに行く前に、新作を味見するなどといったことが、将来的には可能になってくると思います」

そしてもう1つが、「生体データを活用したパーソナライゼーション」だ。「ユーザーが自身のDNAデータをリストバンドに登録すると、自分の体質に合わないアレルギー成分が食品に含まれているかどうかを教えてくれるサービスが英国で登場しています。また、米国の無人コンビニエンスストア『Amazon GO』では、手のひら認証でも入店できるようになっています」(前田氏)。

店舗の近くに来た人に、クーポンメールを1on1で送るなどといった「行動データ」によるパーソナライゼーションは、すでに実現できている。今後は、血液や遺伝子などといった「生体データ」を活用したマーケティングが、さらに進化していくことになるだろう。

パーソナライゼーション実現におけるデータ変遷

パーソナライゼーションを実現するためのデータの変遷を示す。これまでは「属性データ」「意識データ」がメインだったが、現在は「行動データ」によってより高度化してきている。将来的には「生体データ」によって、パーソナライゼーションもより進化していくだろう