——「BtoC&B」を基にした具体的な施策の対象となった第1弾プロジェクトの製品が、「Microsoft Defender for Business」とのことですが、具体的にどのような内容だったのでしょうか。
鈴木「Microsoft Defender for Business」は、当社が新たにローンチした法人向けセキュリティソフトです。近年、中堅・中小企業を対象にしたランサムウエアによる攻撃が増加傾向にあり、セキュリティ対策のニーズの高まりが開発背景にありました。
マイクロソフト自身が長年サイバー攻撃を防御してきたノウハウがあり、その蓄積を生かした優れた製品であるとの自負はありました。ただ、セキュリティソフトとしては後発であるため、販売パートナー様と中堅・中小企業の双方に対して認知度を高める必要がありました。
相原双方に同時に届く「BtoC&B」施策として当社からご提案したのが、地方特化型のコミュニケーションです。中堅・中小企業の多くが地方に立地している点に着目し、決定権者との親和性が高い地方テレビ番組や新聞広告、つまりノンデジタルチャネルを活用しながら、セキュリティの重要性や製品の優位性をプロモーションすることをご提案しました。
——成果はいかがでしたか。
鈴木25局にも及ぶ地方テレビ番組を活用したプロモーションで、販売パートナー様と中堅・中小企業の決定権者の双方に対し、効率的に情報を届けることができました。その結果、一気に認知度が高まり、中堅・中小企業から販売パートナー様に当社製品を “逆指名”いただくケースも増えました。電通デジタルさんの思惑通り、両者を同時にアクティベートできた成果だと思います。
——施策の第2弾プロジェクトとして「Microsoft 365」も「BtoC&B」に基づくマーケティングを実施されていますが、こちらはどのような内容だったのでしょう。
日本マイクロソフト・松村仁樹氏(以下、松村)「Microsoft 365」は、Officeアプリケーションを核とした法人向けサブスク型グループウエアです。当社製品は、従来のパッケージ販売中心のビジネスからクラウド型ビジネスへの移行を進めていますが、日本は欧米に比べると遅れているという課題がありました。
Office自体は十分に浸透していますが、「単体買い切り版で十分」「サブスクに切り替えるメリットが分からない」といった中堅・中小企業の声が多く、いわばニーズ自体を再発掘しなければいけないという困難さがあり、第1弾で成功した「BtoC&B」のマーケティングを活用できないか相談をさせていただきました。

松村 仁樹氏
日本マイクロソフト株式会社
マーケティング&オペレーションズ部門
セントラルマーケティング本部
統合マーケティング部
2015年に日本マイクロソフト入社。法人顧客担当営業を経験後、中堅・中小企業の営業チームにてアウトバウンドテレセールス部隊の統括、法人へのクラウド製品訴求を経て、21年より現職。セキュリティ、Surface、中堅・中小企業向け「Microsoft 365」を担当。
井村当社から提案したのは、「Microsoft 365」をサブスク型サービスとしてではなく、中堅・中小企業が手軽に始められるDXソリューションとしてプロモーションするという考え方でした。
第1弾同様、販売パートナー様と中堅・中小企業の双方に刺さるマーケティング施策を検討し、その中の目玉としてご提案したのが、観音開き仕様の120段パノラマ新聞広告です。「使い慣れたOfficeソフトを、DXの即戦力に。」というキャッチコピーと共に、中堅・中小企業の困りごとを解決するツールとしてアピールしました。
製品理解促進動画やランディングページなど、従来型のデジタル施策に加え、中堅・中小企業の決定権者と親和性の高いノンデジタルを積極的に活用。「Microsoft 365」プロジェクトでは、販売パートナーのセールストークで活用できる観音開きのパノラマ新聞広告を作成した
松村DXなのにあえて紙の広告というのは、電通デジタルさんでなければできない発想だったと思います。観音開きでインパクトもありましたし、「Microsoft 365」の多岐にわたるサービスをDXという観点で、しかも中堅・中小企業の決定権者が自分ゴトとして理解できるようにまとめていただいたので、当社の販売パートナー様が持ち歩いて営業ツールとしても活用できるというメリットがありました。
鈴木競合他社はあれを見て「やられた!」と思ったのではないでしょうか。
結果的に、第1弾の「Microsoft Defender for Business」は当社グローバル売り上げランキングで2位、第2弾の「Microsoft 365」は当社グローバル売り上げで対前年比成長率1位という成果につながりました。
——電通デジタルから見て、2つのプロジェクトの成功のポイントになったのはどういった点だと思いますか。
相原当社と日本マイクロソフト様の間で、同じ目標を共有し、密に連携が取れていた点です。ディスカッションする中で出てきた失敗のリスクをつぶしながら進めることができたので、成功の確度が高まったのだと思います。
——日本マイクロソフトの今後のビジネス展開で、電通デジタルと「BtoC&B」に期待することを教えてください。
鈴木当社では、中堅・中小企業の業務効率化や生産性向上、DX導入支援などをサポートするため、社内部署横断の「Project Ocean」という取り組みを進めています。
今後も当社は、中堅・中小企業にフォーカスする方針ですし、「BtoC&B」で2つの事例が成功したことがこの取り組みを進める追い風になっています。「Project Ocean」をはじめとする中堅・中小企業支援において、今後もこのマーケティングモデルを活用したいと考えているので、「BtoC&B」のますますの進化に期待したいと思います。
——電通デジタルとして、今後のデジタルマーケティング支援への意気込みをお話しください。
井村当社は「クライアント企業の事業成長パートナー」をミッションに掲げています。鈴木様、松村様からフルパッケージでの提案が採用の決め手だったとご評価いただいたように、豊富なスキルを持ったメンバーとチームを組んで伴走できるのが当社の強みです。今後もクライアント企業の多様なマーケティング課題に対して、共に打ち手を考え成長していけるパートナーとして支援し続けたいと思います。

井村 友美氏
株式会社電通デジタル
エクスペリエンスプロデュース部門
ビジネスリード第1事業部
第2グループ グループマネージャー
アカウントディレクター/プロジェクトマネージャー
2016年に電通アイソバー入社。業界問わず、アカウントディレクター、プロジェクトマネージャーとして、案件獲得から企画立案、実施、検証まで一気通貫で統合マーケティングプロモーション施策をリード。オフライン案件の経験もある、統合マーケティングが得意なチームを束ねる。

相原 孝文氏
株式会社電通デジタル
ブランドエクスペリエンスクリエイティブ部門
エクスペリエンスデザイン第1事業部
第2グループ クリエイティブディレクター
新規事業の伸び悩みやコモディティ化に苦しむブランドといった課題に対し、クリエイティブ発想でソリューション構築を手掛ける。ビジネス・サービスデザインから、それを具現化するブランディング、プロモーションまで一気通貫したマーケティングデザインを担当。
相原日本マイクロソフト様同様、少数精鋭でマーケティング課題に立ち向かっている企業は少なくありません。マーケティングとクリエイティブをセットで提供できる当社は、本質的な課題解決のために、ビジネスモデル構築から具体的なアウトプットまで、一気通貫で、かつスピード感を持って支援することができます。今後もこの優位性を生かしながら、クライアント企業の成長に貢献できればと思います。