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パートナー対談:アドビ Afterワクチンの消費者ニーズはデジタルとリアルの融合 顧客体験のアップデートが
これからの企業の成長を生む

世界中で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、消費者の意識は今後どのように変化していくのか? Afterワクチンに生まれる新しいニーズに対して企業はどのように対処すべきなのか? データとコンテンツを活用した顧客体験ソリューションを展開するアドビの安西敬介氏と、ソリューションパートナーである電通デジタルの小林大介氏が語り合った。

顧客データ管理とデジタルアセット管理で
シームレスな顧客体験を

——新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が世界中で本格化し、国によっては日常が戻りつつあります。日本でも現在、ワクチン接種が進んでいますが、Afterワクチンの消費行動にはどのような変化があるとお考えでしょうか。

電通デジタル・小林大介氏(以下、小林)COVID-19の拡大が消費のデジタル化を促進させたことは間違いありませんが、だからといってリアルでの消費行動がなくなるわけではないと思います。なぜなら、「モノ」を買うだけならECサイトで良くても、デートや家族サービスといった、実際にリアルの店舗に行ってこそ体験できる「コト」を消費に求めているからです。これからの消費者は、デジタルの利便性とリアルの体験がシームレスにつながったサービスを求めるのではないでしょうか。

アドビ・安西敬介氏(以下、安西)当社が行った消費行動の調査でも、最初の外出自粛をきっかけにオンラインで購買した商品についてCOVID-19収束後にオンラインでの購入を継続するという人は36%でしたが、オンラインと実店舗を組み合わせて購入するという人は過半数の54%、結果として何かしらオンラインでの利用継続は9割となっています。検索や注文をデジタルで行い、商品は店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)などはその典型ですね。これからは、デジタルとリアルが役割分担しつつも、一貫した体験を消費者に提供できるかどうかが重要なカギになってくると思います。

小林 大介

小林 大介

株式会社電通デジタル
副社長執行役員

1996年、電通国際情報サービス入社。2004年の電通イーマーケティングワン設立に参加、2014年より同社取締役。2016年電通デジタル設立、執行役員に就任。2020年より現職。2021年5月に設立された一般社団法人「UXインテリジェンス協会」の副理事長を務める。

安西 敬介

安西 敬介

アドビ株式会社
DX GTM・ソリューションコンサルティング本部
マネージャー 兼 エバンジェリスト

2001年より国内大手航空会社にてWeb解析やデジタルマーケティングを担当後、2008年にオムニチュア株式会社へ入社。2009年の買収によりアドビシステムズ株式会社へ。エンドユーザーとしての経験を活かし、解析・パーソナライゼーション・デジタルCoEなどのコンサルティングを実施。2017年3月より製品エバンジェリストとして従事。

——消費者のシームレスな体験を、企業はどのように受け止め、どのような対応をすれば良いのでしょうか。

小林消費者にとって、商品やサービスとの接点は、店舗、ECサイト、SNS、アプリなど、多様化していますよね。一貫した体験というのは、まさにこうしたマルチな接点を横断した形で体験を提供することです。では、体験を生み出すのは何かというと、コンテンツです。従来は、接点ごとにコンテンツが管理されていましたが、これでは情報のリンクやメッセージの統一が図れず、一貫した体験の提供が難しい状態です。そこで、コンテンツをアセットとして一元管理し、接点やデバイスに最適化した形で横断的に活用し、シームレスな体験を提供する「ヘッドレス」な仕組みを構築する必要が出てきています。日本企業にとって、これからの数年は、デジタルアセット管理が課題であり、投資のポイントになってくるでしょう。

安西今はデジタルやモバイルが当たり前ですから、例えば来店客に自動的にデジタルクーポンを配信したり、パーソナライズされた情報をサイネージでレコメンドしたりといったこともできます。こうした最適なコンテンツが提供できるのも、デジタルアセット管理ができていることが前提となるわけです。

 それからもう一つ、顧客データについても課題があります。多くの企業は、CRMなどを活用して顧客の属性データは持っていますが、これだけでは不十分で、直近の行動や購買傾向の変化、さらにはそれを補完するAIの活用など、データによる顧客のコンテクストの解像度を上げる必要があります。ちょうどサードパーティーCookieの利用が非常に難しくなるタイミングや改正個人情報保護法の施行の予定などもあることを考え合わせると、顧客情報のブラッシュアップは企業にとって急務ですし、優れた顧客体験を提供するためには、プライバシーに配慮しながら顧客データの解像度向上とデジタルアセット管理を両輪として実現することが必須なのです。