Creating Together

 

Vol.30事例:SUBARU 「TEAM ONE SUBARU」が目指す
顧客起点マーケティングとは

データ基盤の構築とデータの可視化で
部署の壁を乗り越える

大松我々国内電通グループ(dentsu Japan)はSUBARUのパートナーとして、マーケティング戦略立案や、それに基づく各種タッチポイントにおける体験設計、クリエイティブの制作等をご一緒させていただいています。

安室電通デジタルには、弊社の「WHO-WHAT戦略」に基づいたクリエイティブ制作など、多くのご支援をいただいています。

大松安室さんが実行する「WHO-WHAT戦略」の立案では、どんなお客様にSUBARUのどのような価値を伝えていけば購買につながるのか、車種ごと、生活者の価値観ごとに細分化した議論をさせていただいています。

安室具体的には、お客様を9つのセグメントに分けた9segs®調査を実施したところ、安全性を訴求することに大きな伸び代があると分かってきました。それに基づいたCMを制作した結果、CM投入後の自社サイト流入数が大幅に向上しました。

大松CMで作った安全性という柱の周辺にある、お客様の多様な価値観とSUBARUの多様な良さとをマッチングさせていくのがデジタルマーケティングの役割です。その他にも、顧客行動の分析を基にしたオウンドメディアのブラッシュアップもご支援させていただいています。オウンドメディアはデータの宝庫なので、webサイト訪問後に購入した方と購入に至らなかった方の行動の差分がどこにあるのかなどを見ることができます。CDPに統合された様々なデータを見ながら仮説を立て、コンテンツの最適化を図っています。

大松 正人氏

大松 正人

株式会社電通デジタル
第1アカウントプランニング部門 部門長
エグゼクティブ・プロデューサー

慶應義塾大学 環境情報学部を2009年に卒業し、株式会社電通に入社。デジタルマーケティングの戦略立案からメディア/オウンド/ソーシャル/データ基盤/CRMなど各領域のプランニング・実行業務を経験。2016年から電通デジタルに参画し、現在はマーケティングコミュニケーション領域の統合フロント組織である第1アカウントプランニング部門を統括。

大松SUBARUでは、こうしたデータをTableauのダッシュボードで可視化するようになったのは2018年頃と、かなり早い時期から進められてきました。

安室他社に先がけてCDPを導入した頃は、これでお客様のことが分かるようになると思った時期がありました。実際、やってみると確かに多くのことが見えましたし、それを元に顧客に寄り添った施策が実現できました。ただ、それだけでは全てを把握できないことにも気づいたのです。

 そこで、全国のディーラーを回ってトップセールスの方に話を聞かせてもらう取り組みを始めました。お客様にどうやってSUBARUは良いクルマだと思っていただくか。これは、1対1の営業も、1対Nのマーケティングも同じだと思っています。実際にお客様に何が響いているか、または響いていないのかをトップセールスから知ることで、よりデータの解釈が深まり新たな発見につながります。

大松トップセールスの方にお話を聞く場には、我々もご一緒させてもらっており、大きな刺激を受けています。これまでお話いただいたように、早い時期から数々の顧客起点マーケティングの実現に向けた取り組みを行われてきましたが、課題はあったのでしょうか。

安室当初の課題として「部署の壁」はありました。これは、多くの企業が直面する課題でもあると思います。ですが、我々の場合は、データを活用したマーケティングを全社でどう進めればいいのか試行錯誤を続ける中、徐々にデータが揃ってきて、顧客理解の解像度が上がっていくと、少しずつチームメンバーの目線がお客様に向くようになってきました。販促キャンペーンやWebサイト、オウンドメディアなどの運営は部署が分かれているわけですが、部署横断でお客様の行動ログデータを見ながら議論すると、部署の壁はほとんどなくなってくるのです。例えば、新車を求めているお客様に、選択肢を広げる手段として中古車の広告を出す場合があってもいいと思っています。

大松確かに、複数の部署がそれぞれ広告を出したいときも、部署間の連携が課題になることはあります。各部署でターゲティングを連携しないままだと、特定のお客様に偏ってアプローチしてしまったり、そのお客様にとって望ましいコミュニケーションになっていなかったりするケースにつながります。この課題にこそ、我々のミッションがあると思っています。個別単発のマーケティングプラン作りに留まらず、なるべく広い視点でマーケティングの実行実現に伴走する。SUBARUの各部署の皆さんと連携しながら、より良き顧客起点マーケティングの実現に向け一緒に取り組んでいきたいです。

次の時代を担う人材育成には、
常に伴走してくれるパートナーが重要

大松今後、この顧客起点マーケティングをどのように進めていくのか、これからのSUBARUの展望をお聞かせください。

安室まだ、やりたいことの半分もできていないと思っています。これを推進する人材がそれぞれの部署に必要で、次の時代を担うメンバーを育成していかなければなりません。つまり「チェンジエージェント」をいかに育成するかが重要になってくるのです。

 DXを推進できる人材は社内にたくさんいるはずです。現在、そうした人材のスキルセットの見える化を進めています。また時代と共に求められるスキルセットも変わっていきます。人が変わっても時代が変わっても、マーケティング戦略を間違えない、正しく成長できる仕組みを作っていきたいです。

 一方で、ジョブローテーションがあることから、専門スキルを持った人材をイチから育成し直さなければならない場合もあります。その際に、電通デジタルのように広く長く伴走してくれるパートナーが常にいるということは非常に重要です。これまで何が良かったのか、何が悪かったのか、一緒に体験してくれているパートナーの存在は大きいと思っています。

 今は、デジタルメディアが細分化されてきている上に、マスメディアもデジタルも一気通貫で見ていかなければならない時代です。多種多様な専門スキルを持っている電通デジタルには、他のパートナー企業も含めてトータルで取りまとめしていただくなど、大いに期待しています。

対談の様子

まだやりたいことの半分もできていないと語る安室氏。次世代の顧客起点マーケティングを担う人材育成には、電通デジタルのような伴走してくれるパートナーが常にいることが重要だと言う。これに対し大松氏は、TEAM ONE SUBARUを実現するパートナーでありたいと語る

大松支援させていただく我々としては、成果に対してどうコミットできるかが全てだと思っています。SUBARUの自動車販売台数が目標に到達できる状態になる。そこに自分たちがしっかり貢献できたという実感を持つことが、我々の目指しているところです。そのためには我々だけではなく、多様な強みを持つ様々な会社が、同じ目標に向かって走っていく必要があります。我々は戦略パートナーとして、各協業会社や時に競合の広告会社様も含めTEAM ONE SUBARUの実現に向け伴走していきます。

 ただ、理想に対してやるべきことは山積みですので、それを一つずつ解決していく必要があります。SUBARUの皆さんは、多忙な中でも非常に高い志を持って仕事をされていて、そこにパートナーとしてどう貢献できるかが我々の大きなモチベーションとなっています。単なる受発注だけの関係で終わらないこの環境をありがたく感じています。

 我々電通デジタルは、広域なデジタルマーケティングにおいて幅広いケイパビリティを持っています。運用代行者に留まらない、マーケティング戦略立案、オウンドメディアの設計開発、データ活用・分析、広告クリエイティブの作成など我々の強みを活かし、一気通貫した顧客体験を実現することで、SUBARUの事業成果に貢献していきたいと考えています。