ヤマト運輸のEC事業者向け配送サービス「EAZY」が、これまでになかったサービスとして注目を集めている。EC利用者とのリアルタイムなコミュニケーションを可能にしたこのサービスは、システム基盤に Microsoft Azure を採用したからこそ実現できている。そこで、EAZYの開発、運用に携わるヤマト運輸 EC事業本部 ゼネラルマネージャーの齊藤泰裕氏と日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 業務執行役員 運輸・サービス営業統括本部の及川智武氏に、EAZYが提供する価値や、Microsoft Azure の導入メリットなどについて語っていただいた。

受け取る直前まで、
いつでも配達方法の指定が可能に

――まずはヤマト運輸様が展開する「EAZY(イージー)」について、サービスの内容をご説明いただけますか?

ヤマト運輸株式会社
EC事業本部 ゼネラルマネージャー
齊藤 泰裕 氏

齊藤氏 ここ数年、増加しているeコマース商品の配送ニーズは、我々が40数年に渡り展開してきた宅急便とは異なるのではないか?――という点に着目して開発がスタートしたサービスです。宅急便の場合、荷物を送るお客様と受け取るお客様は基本的に異なります。しかし、eコマースでは、注文する人と受け取る人が同じことが多い。そのため、お客様のニーズは、これまで求められていた配送スピードだけでなく、受け取りの利便性が求められるのではないかと考えました。お客様の高度かつ多様化するニーズに対応し、利便性を向上させることが、eコマース市場における新しい価値提供につながると考えてサービスを開始しました。

リアルタイムなコミュニケーションをサービス上に実現していることが、EAZYの本質です。EAZYは置き配サービス(玄関など、受け取る側が指定した場所に荷物を置き、非対面で配達を行う方法)だと言われることが多いのですが、それは実現可能な配達方法の1つでしかありません。

従来の宅急便では、ある一定の時間で区切って配達予定情報などをお客様にご連絡していましたが、EAZYではそのような情報のやり取りをリアルタイムで行うことができます。例えば、赤ちゃんをやっと寝かしつけたのに、呼び鈴で起こしてしまうのは避けたいですよね。そんな時は、赤ちゃんが眠りについた瞬間に置き配の指定を行えばOK。もちろん、赤ちゃんが目を覚ましたら、受け取り方法を再び対面に戻すことも可能です。

つまり、運び手とお客様がリアルタイムにつながることで、より柔軟な対応ができるようになったということなのです。

非対面での受け取りニーズの多様化に対応。リアルタイムで受け取り場所の変更ができる。

――EAZYのリアルタイム性はどのように担保されているのでしょうか?

齊藤氏 当社のシステム基盤として導入している Microsoft Azure によるところが大きいと思います。EAZYは弊社の中で Microsoft Azure と連携して実現させたサービスの第1弾です。

EAZYのリアルタイム性は、すべての情報を Microsoft Azure に集約できた結果だと考えています。

例えば、置き配が完了した際、置いた荷物の画像をドライバーが撮影します。撮影画像は Microsoft Azure にリアルタイムで反映しており、お客様は配達終了メールからその画像を確認できます。これは Microsoft Azure が提供する機能の1つである、大量の非構造化データの格納に最適なストレージソリューション「Azure Blob Storage」に撮影画像を保存する仕組みを構築しているため実現できています。

ヤマト運輸が Microsoft Azure が
最適なクラウド基盤だと考える理由

――クラウドプラットフォームは他にも存在しますが、なぜ Microsoft Azure に白羽の矢を立てたのでしょうか?

日本マイクロソフト株式会社
エンタープライズ事業本部 業務執行役員 運輸・サービス営業統括本部
及川 智武 氏

齊藤氏 選定にあたっては、お客様の個人情報を扱うので、安全性の高さを重視したのは言うまでもありません。この点は、マイクロソフトのサービスだけあってやはり安心できます。

それと企業としての信頼性の高さも評価しました。サービスベンダーの中には、システムの詳細を明かすのを嫌がる企業も少なくありません。しかし、日本マイクロソフトの場合は、リスクや課題も含めて、オープンにしてくれる――そんな真摯な姿勢が信頼につながっているのは間違いありません。

及川氏 私たちは、今お話しいただいたような姿勢やお客様への接し方は極めて重要なことだと常日頃から考えています。やはりセキュリティや信頼は、技術だけで賄えるものではありませんから。

一方で技術面についても万全です。安全性、セキュリティに関しては、マイクロソフトはよく言われるように世界で2番目に攻撃を受けている企業。その結果、数多くのシグナルを集積できる。そして、その情報を元にして、的確なセキュリティ対策を実現しているのです。

また当社は、国内に東日本と西日本――2拠点のデータセンターを擁しています。このことは、システム障害時の事業継続性を担保する上で有用だとヤマト運輸様にもご評価をいただいています。

齊藤氏 システム障害により配達に遅延が生じてしまうと、お客様の生活を止めてしまうことになりかねません。そのため事業継続性の確保については、特に気になるところでした。

他のクラウドサービスでは、バックアップのシステム環境で海外のデータセンターの利用を強いられるケースが大半だと思います。しかし、それでは言語や時差、あるいは文化の問題など、いざという時の対応に不安が残ります。その点、日本でシステム環境を分散できる安心感は大きいですね。

及川氏 また、取り扱う荷物が増加していることを考えると、システム基盤のスケーラビリティという視点も重要です。新しいサービスを開始するのはもちろん、EAZYというサービス自体の拡大も考えられます。その点、必要なときに、必要なものを提供できるクラウドの活用は大きなメリットになるでしょう。

当社では、企業のDXのサポートに関して、デジタルフィードバックループというキーワードを提唱しています。これは様々なところから発信されるデジタルのシグナルを蓄積し、そこから何かしらかの洞察を得て、進化させていくという概念。例えば、荷物を受け取る方やドライバーの方のアクションなど、社内外にかかわらずあらゆるデータを有機的につなげてインサイトを導き出すといったプラットフォームの構築を目指しているのです。

1~3のループを回し続けることで、商品やサービス、業務や働き方などの継続的な改善が可能になる。

ヤマト運輸様のシステムも、そのような考え方が前提になっています。そのような全体像の中で、EAZYのような個別のサービスが成り立っているのです。リアルタイムなサービスの実現はもちろん、今後目指すべき姿を実現する上でも、貢献できるシステム環境になっているということになります。

齊藤氏 今回、構築しているシステムは、SQL Databaseを中心としたアーキテクチャーパターンで実現しています。このパターンはSQL Serverと互換性があるので、クラウドロックインのリスクが低いこともポイントです。

これで既存のシステムや新しいシステムやツールとの連携も問題なく行えます。今後、新たなサービスを展開する上でも安心感があります。

EC事業者、生活者、運び手―
三方よしのECエコシステムの最適解を創出するため

――EAZYについて、EC事業者や社内からはどのような評価が寄せられていますか?

齊藤氏 現在、ZOZO様やメルカリ様などのEC事業者様にサービスを提供していますが、いずれも高い評価をいただいています。品物を購入されたお客様からも便利になったというお声をいただいていますが、お客様の利便性が向上することはEC事業者様のビジネスにとっても確実にメリットがあると思います。

一方、当社のドライバーやスタッフからは「リアルタイムで配達先のお客様のご要望がわかり、それに応えられるようになってありがたい」という声が多く寄せられています。

――eコマース事業において、ヤマトホールディングス様が標榜する「ビジネスモデル変革」についてご説明ください。

齊藤氏 昨年策定した、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」や、今年発表した中期経営計画「Oneヤマト2023」の中で標榜しているのが「ECエコシステムの最適解の創出」です。

これはEC事業者様、生活者、そして運び手の三者がともに発展できる持続可能な仕組みの構築を表しています。例えば、EAZYの機能向上はもちろんのこと、運び手のパートナーとなるEAZY CREWの拡充や、大手から中小規模のEC事業者、今後EC領域の強化を目指すメーカーや小売事業者に対し、調達や庫内業務などを含めたロジスティクスソリューションを充実させています。

そして、そのような仕組みを実現するにはデジタル技術の活用が必須です。eコマースは今後も大きく成長していく業界だと考えられます。その中で、デジタルに配達というリアルなリソースをうまく融合して、すべてのステークホルダーに対して、提供価値を最大化していくことを目指していきます。

及川氏 そのようなビジョンの達成に向けて、当社では技術的な支援はもちろん、どのように実現していくのか? というところから、共に考える――そのようなご支援を進めていきたいですね。

その上で、明確になったビジョンや目的に対して、最も効果的な一手となる技術をタイムリーに提供することを進めていきます。

実際に、ヤマトグループ様とは、現実世界をモデル化して、サービスの未来予測を可能にする「Azure Digital Twins」を活用する取り組みを進めていますが、このような動きをさらに加速させていきたいです。

齊藤氏 日本マイクロソフトには、そこまで考えていただけて、とてもありがたいと思っています。

一社だけですべてを行うことは、もはや現実的ではありません。事業を展開する上で、専門的な知見や技術を持つ企業と連携していく必要がある中、取り組みを成功させるためには、そのような企業といかに意思疎通が図れるかがポイントになるのは言うまでもありません。その点、日本マイクロソフトが、我々と同じ志を持っていることはとても心強いと考えています。

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