三菱マテリアルが挑むDX人材育成 データサイエンティストの社内育成が事業競争力を強化するカギ

三善氏/片倉氏
「AI(人工知能)経営」における大きな課題の一つであるDX(デジタルトランスフォーメーション)人材の不足。他方、三菱マテリアル株式会社は2023年までに100人以上のデジタル人材を、社内人材の育成によって確保する予定だという。同社 DX推進部 データサイエンス室 室長の片倉賢治氏にその詳細を聞きつつ、PwCコンサルティング合同会社 三善心平氏と共にDX人材育成の重要性について議論した。

DX人材は、自社で育て上げるのが望ましい

―昨今の企業の課題をどのようにご覧になっていますか。

三善  急速なデジタル化や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による事業環境の変化とともに、DXの推進や、AI、データの利活用が急務となっています。PwCコンサルティングに対する企業からの依頼も、以前は「AIとは何か」「AIを活用することで何ができるのか」というリサーチやフィジビリティスタディのご相談が多かったのですが、最近ではAIの業務組み込みと効果刈り取りなど、導入と活用を前提とした、より実践的なご相談が増えてきました。

 実践フェーズにおいて問題となるのが、DX推進やAI・データの利活用を担う社内人材の不足です。社内に適任者がいないので、外部から優秀なデータサイエンティストを中途採用しようとする企業も少なくありませんが、企業文化や仕事の進め方の違いなどになじめず、短期間で離職してしまうケースも目立ちます。外部の人材を探すだけではなく、自社の業務や文化を熟知した社員をDX人材として育成することが、人材不足の解決には有効だと考えます。

 実際、PwC Japanグループが発表した「2021年AI予測(日本)」の調査結果でも、AIを本格導入する際の課題は、社員のAI利活用導入スキルが1位、社員の開発/設計スキルが3位となっており、社員の育成が喫緊の課題であることが分かります。調査はAIに関するものですが、データ活用についても同様のことが言えます。

AIを本格導入する際の課題
AIを本格導入する際の課題(日本)(「PwC Japan 2021年AI予測(日本)」より)
片倉氏
片倉賢治
三菱マテリアル株式会社
DX推進部データサイエンス室長

片倉  全く同感です。三菱マテリアルは同じ考え方の下、外部採用だけに頼るのではなく、データサイエンティストなどのデジタル人材を社内育成する取り組みを始めています。

―DX人材の育成は、現在あらゆる企業が課題を抱えているところですので、後ほど詳しくお聞かせいただきたいです。その前に、そもそも三菱マテリアルではどのような指針でDXの取り組みを進めているのでしょうか。

片倉  当社は2020年4月にDX推進本部を設置し、「MMDX」(三菱マテリアル デジタル・ビジネストランスフォーメーション)というデジタル化戦略を始動させました。

 当社は、18年からガバナンス強化の取り組みの一つとして、SCQDE(Safety & Health/Compliance & Environment/Quality/Delivery/Earnings)という、業務遂行における判断の指針(優先順位)を制定し、徹底を図っています。さらに、事業領域と組織能力の不釣り合いといった課題を解決するために、事業構造改革(事業ポートフォリオの最適化)に加え、“4つの改革”に取り組んでいます。それが、グループ経営形態改革(CX)、人事制度改革(HRX)、業務効率化、そしてDX推進を図る「MMDX」です。

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