小売業界のDXをグローバルな視点で支援する日本マイクロソフトは、小売業DXを取り巻くトレンドとソリューションを様々な機会で紹介している。「リテールテック JAPAN ONLINE 2022」(2022年2月15日~3月11日)の日本マイクロソフトの展示では、パートナー企業12社とともに25に上るセッションを展開。「データ価値の最大化」「顧客体験の革新」「リアルタイムでサステイナブルなサプライチェーン」「従業員の強化」の4つのテーマを掲げ、グローバルな先進事例やソリューションの最新情報を提供した。その概要を紹介する。
「リテールテック JAPAN ONLINE 2022」内、日本マイクロソフトページでは、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するうえで避けて通れない数々の話題を取り上げた。コロナ禍で浮き彫りになったサプライチェーンの脆弱性を、データの力でどう克服していくべきか。DX人材の不足にどう対処し、従業員をデジタルの力でどう強化していくべきか。無人化店舗の実現やデジタルコマースの活用、人工知能(AI)による画像解析など、注目度の高いテーマが並んだ。
特に、日本マイクロソフトの藤井創一氏によるセッション「マイクロソフトの小売業向けの取り組み」や、同社の専門家4人によるセッション「小売・消費財製造業でのテクノロジーを展望する Microsoft Technology 座談会」では、小売業界のDXを大きな視野で俯瞰した。日本マイクロソフトの戦略とテクノロジーの全体像がよくわかる、必見の動画だ。
25のセッションは4つのテーマに分かれ、各ポイントを詳しく解説している。
第1のテーマは「データ価値の最大化」だ。日本マイクロソフトの藤井創一氏が行ったセッション「マイクロソフトの小売業向け取り組み」では、多数の企業事例を通して小売業DXのポイントを解説した。
数百万人の会員を擁するスウェーデンのCoopは、メインターゲットとなるMR(複合現実)を活用した店舗内アトラクションを展開。ショッピング体験を「家族のきずなを深める体験」へと変革した。また、全米に薬局チェーンを展開するヘルスケア企業の米Boots Opticiansは、「Microsoft 365」と「Teams」を組み合わせ、現場スタッフと臨床医のリアルタイムな連携によって業務効率を飛躍的に高めている。
国内の事例では、コンビニエンスストア・チェーンのローソンの取り組みを紹介。店舗に設置したカメラと音声データをAIによって解析し、店舗運営の最適化を図るシステムで成果を上げている。
また、日本マイクロソフトの鈴木あつし氏と比嘉義人氏によるセッション「Microsoft Cloud によるデータに基づくデジタル変革の推進」では、社内に散在するデータをつなぎ合わせて新たな視点や洞察を獲得する方法について述べた。人やモノのつながりの中に、データをどう活かすべきか。これはまさに「情報系システムと業務系システムの融合」だ。マイクロソフトは両方を手掛けてきた経緯から、この融合をしっかりと支援できるユニークな立ち位置にある。
「データ資産の統合」「顧客360度ビューの獲得」「機械学習とAIによる分析」「データに基づくコミュニケーションとコラボレーション」という4つのステップに従い、必要な取り組みを解説する。
まず、クラウド型データ分析基盤「Azure Synapse Analytics」によって散在するソースからデータを収集。次に、顧客データ基盤「Dynamics 365 Customer Insights」で統合し、単一の包括的な顧客プロファイルを構築する。これを機械学習させて新たな視点や洞察を引き出すのが「Azure Machine Learning」だ。あらかじめ用意された機能セットを組み合わせて機械学習モデルを容易に構築できる。引き出した洞察は「Power BI」で業務に活かしていく。
第2のテーマは、「顧客体験の革新」だ。マイクロソフト テクノロジー センターの専門家4人によるセッション「小売・消費財製造業でのテクノロジーを展望する Microsoft Technology 座談会」では、小売業DXの全体像と把握すべき技術のトレンドについて、4つのテーマごとに座談会形式で俯瞰した。
最初に「データ価値の最大化」に関してデータ活用の実際とそのシナリオを紹介した後、「顧客体験の革新」では、対面による店舗型の対応以外にも様々な顧客体験が生まれている点に言及。デジタルで顧客体験を変革していくことが、ブランドやサービスの価値向上につながるとした。
「リアルタイムでサステイナブルなサプライチェーン」では、製造や物流を含むサプライチェーンの全体像を把握し、どのような変革を進めていくべきかを最新トレンドによって解説。「従業員の強化」では、顧客と接する従業員だけでなく、バックオフィスを含む様々なスタッフ、社員、パート、アルバイトなど、多様な従業員を対象に考えることが重要だと述べた。
また、日本マイクロソフトの鈴木あつし氏によるセッション「データ分析と新たなテクノロジーで実現する顧客体験の革新」では、顧客体験のパーソナライズについて詳しく述べている。パーソナライズは他社と差別化する大きなチャンスだが、効果的なパーソナライズができている小売事業者はわずか23%というシビアな調査結果がある。
今日の消費者は、パーソナライズを当然のことと受け止めている。適切なパーソナライズができていなければ、消費者に強い違和感を与える状況がすでに出来上がっているのだ。小売業界でなぜパーソナライズが重要になるのか、その現状を客観的なデータで把握した後、顧客と従業員をデータでつなぐにはどうすればよいかを4つの軸で整理する。
マイクロソフトは「Microsoft Cloud for Retail」で顧客体験のパーソナライズを支援している。その目的と効果を共有したうえで、北米に1000店舗以上を展開する米Lidsや世界な楽器ブランドの米Gibson、米Northrop & Johnson、米CJ Pony Partsほか、先進的な事例を多数紹介。顧客体験のパーソナライズとサービス自動化の「今」を俯瞰した。
第3のテーマは「リアルタイムでサステイナブルなサプライチェーン」だ。日本マイクロソフトの比嘉義人氏によるセッション「レジリエントなサプライチェーンの構築」では、コロナ禍で多大な影響を受けたサプライチェーンにテクノロジーを導入し、変化にすばやく対応できる体制を構築する方法について言及している。
部署や拠点、組織の枠を越えてデータを横断的に収集し、業務プロセスやコミュニケーションをテクノロジーで高めていく必要がある。その実現を支援する「Microsoft Cloud」の概要を、2種類のデモで紹介する。
1つ目のデモは、「Microsoft Azure」の「IoT Central」を活用したIoTシステムの構築と利用のイメージだ。画面上で選択したテンプレートを使い、IoTのアプリケーションを構築する手順を見せている。2つ目のデモでは、機械学習を利用して来店者数を予測し、需給計画に活かす取り組みを紹介。「Azure Machine Learning」には、機械学習のフローに必要な多数のパーツがあらかじめ用意されている。プログラミングがわからなくても、マウス操作や空欄を埋めていくだけで各パーツを視覚的に設定し、処理フローを構築できる。
第4のテーマは、「従業員の強化」だ。日本マイクロソフトの吉松龍輝氏によるセッション「従業員の能力を引き出すためのID活用」では、人手不足に悩む店舗運営におけるセキュリティの確保や現場の知見の活用法について述べている。
まずIDを個々人にきちんと割り当て、役割と権限を明確にする。そのうえで、ローコードやノーコードと言われるやさしい開発環境を利用し、必要な情報を扱うためのアプリケーションを、プログラミングなしに開発する。
デモでは、ローコード&ノーコード開発環境「Microsoft Power Platform」を使用し、顧客アンケートのアプリケーションを開発して見せる。回答結果を「Microsoft Teams」で共有するまでの一連の業務フローを自動化する。
既定のデジタルツールを上意下達で押しつけるのではなく、業務を熟知した従業員が自身の手で必要なアプリケーションをスピーディに開発できる環境を提供する。これにより、現場が抱える多数の問題を効果的に解決できる。
「リテールテック JAPAN ONLINE 2022」で展開したすべてのセッションを、4つのテーマごとにオンラインで公開している。興味や必要に応じてご活用いただきたい。
Microsoft Cloud for Retail | Microsoft Industry
https://www.microsoft.com/ja-jp/industry/retail/microsoft-cloud-for-retail
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