keynote lecture 3

プラチナ協賛:ベイカレント・コンサルティング

現場から挑む、銀行改革 「金利のある世界」の到来へ
裸の王様にならないために

みずほ銀行では企業風土改革と事業モデル再構築に取り組む。日経ビジネスLIVE SPECIAL「X FORUM 2024」では、日経BP 経営メディアユニット ユニット長補佐(配信時)の小平和良による司会のもと、同行の取締役頭取 加藤勝彦氏とベイカレント・コンサルティング 常務執行役員 コンサルティング本部長の北風大輔氏が、変革の要点を語った。

「10年先のみずほ」を想像し
若手の意見をパーパスに反映

みずほフィナンシャルグループは、2019年に策定した5ヵ年計画を見直し、2023年度からの中期経営計画を1年前倒しで打ち出している。ここでは「ともに挑む。ともに実る。」という、グループ共通のパーパスも掲げられた。そこに込められた思いは何か。司会の小平から質問すると、みずほ銀行の加藤氏は次のように答えた。

「まず中期経営計画を1年前倒しで見直したのは、地政学リスクの増大や少子化の進行、サステナビリティの浸透など、外部環境が大きく変化しているからです。この変化をビジネスチャンスとするため、お客様に価値のあるサービスを提供しながら、グループの存在意義を示していくという思いをパーパスに込めました」

時代の先を読み、顧客と社会の変化を捉え、顧客の挑戦を支える。それとともに、自らも変革を進めていく。パーパスが象徴するものは、グループのそうした強い決意だ。

このパーパスの策定にあたっては、グループ内有志によるワーキンググループの意見が反映されているという。「現在の役員の多くは、おそらく10年後にはみずほにいません」(加藤氏)。だからこそ、パーパスには役員の意思だけでなく、若手の意見も反映させるべきと考えた。

2024年3月、日本銀行がマイナス金利の解除を決定し、「金利のある世界」復活への一歩を踏み出した。加藤氏は来たるべき世界に向けた事業の展望について言及する。

「デジタル化が進む現在、銀行に来店されるお客様の数は減っています。そうした中で、流動性や獲得競争などが惹起じゃっきされる『金利のある世界』がやってくるわけです。ここで重要なのは、デジタル世界でもしっかりとお客様に価値を提供していくことだと考えています」

誤解してはならないのは、グループではDXによりすべての顧客接点を非対面にする考えではないということだ。対面・非対面でそれぞれの価値を最大化するため、必要な時に必要なものを選択できるハイブリッドな環境の構築を標榜している。

さらに、グループでは銀行、信託銀行、証券の連携を推進しており、魅力ある商品を幅広く取り揃えている。そのようなラインアップを顧客にしっかりと紹介していくことで、競争力を高めていく考えだと加藤氏は説明した。

[写真左から] 日経BP 経営メディアユニット ユニット長補佐 小平 和良、みずほ銀行 取締役頭取 加藤 勝彦 氏、ベイカレント・コンサルティング 常務執行役員 コンサルティング本部長 北風 大輔 氏

業務改善命令を受け
進めてきた企業風土改革

2021年、大規模システム障害を起こしたみずほ銀行に対し、金融庁が業務改善命令を出した。これを受けて以後、加藤氏はいかにして企業風土改革に取り組んできたのか。

「現場の意見をクイックに得て、その意見を経営に生かすことが必要だと考えてきました。システム障害の有無にかかわらず、強い現場をつくるため、現場の実態を経営に生かしていくことを行ってきたのです」(加藤氏)

そして「強い現場の実現には、権限委譲が必要」だと、加藤氏は付け加える。取引先との商談に際し、審査や承認に時間がかかっていては、タイミングを逸してしまう。それを避けるため、現場にある程度の権限を委譲していきたい。しかし当然、野放図に権限を渡してしまえば、それで済むわけではない。

「現場が承認を得ずとも適切な判断を下せるようにするには、日頃から上司より『こういう話が来たら、こう答えていいよ。その後は私が責任を持って通すから』という話をしておくことが必要です。そうした雰囲気を醸成することはもちろん、多くの決裁を本部から拠点に移していくことで、現場が責任を持って仕事をするという企業風土をつくり出しています」

取り組みはこれだけではない。行内コミュニケーションの活性化などの推進責任者であるコーポレートカルチャー担当の新設や、組織横断的にVOCデータを解析し、行内外から収集した声を施策に生かす仕組みの構築など、企業風土変革を起こすための手は豊富に打っている。

業績評定制度を廃止へ
人事制度改革の先頭に立つ

ベイカレント・コンサルティングの北風氏は「みずほフィナンシャルグループでは、人事的な基盤の統合が進められていると聞いています」と話す。グループが取り組む人事制度改革の内容について、加藤氏が説明を引き継いだ。

「(これまでの環境では)同じ業務に携わっているのに、賃金が違うということが当然のようにありました。銀行、信託、証券の従業員が互いに出向する中で、出向元の企業にあわせて賃金が設定されていたためです。これはおかしな状況だから是正しよう、というのが基本的な考え方です。銀行だけでなく、証券や信託などの多様な経験を積んだ人材が多いほど、組織は強くなる。こうした理想を実現する制度の整備を考えています」

さらに、国内の店舗において業績評定制度を廃止予定だ。新たな人事評価制度を採用するという。「行員としてのスキルだけでなく、人間性や社会人としての資質を評価に反映させる狙いです」(加藤氏)。

これらの内容を受けて北風氏は、「人事的な基盤の統合が進み、グループ内を横断する人材データが一元管理できれば、大きな価値を生むでしょう」と、見解を示した。北風氏が知る限りでは、これを達成できている企業はほとんどないという。みずほフィナンシャルグループがそこに、先鞭せんべんをつけられるか。この人事制度改革が高い付加価値とともに実現すれば、広く社会に波及していくだろう。

加藤氏は企業風土改革を進めるにあたって全国の店舗をくまなく回り、直接行員とのコミュニケーションを取ってきたという。鼎談ていだんの終盤で、小平に「リーダーとして、気を付けていること」を問われた加藤氏は、次のように答えた。

「裸の王様にならないことです。担当ラインから私のもとへ、毎日様々な報告が上がってきます。私が知りたいのは、結果だけでなく、そこに至るまでに直面した課題や解決策です。これを知ることがお客様の理解、ひいては私たちみずほ銀行がどれだけ、質の高いサービスを提供できているかを知ることにつながります。だからこそ、そこを聞けるような雰囲気と仕組みをつくることに、心を砕いているのです」

「現場から挑む、銀行改革」

keynote lecture 1

味の素はなぜ中期経営計画を廃止したのか

経済と社会の価値を
両輪で追求する「ASV経営」

コンテンツ

keynote lecture 1

味の素はなぜ中期経営計画を廃止したのか 経済と社会の価値を両輪で
追求する「ASV経営」

(右)味の素 取締役代表執行役社長 藤江 太郎 氏
(左)日経BP 日経ビジネス前発行人 北方 雅人

keynote lecture 2

パナソニックが進める事業と組織の大改革 すべては顧客に向き合うため
商慣習も社内組織も変える

(左)日経BP 日経ビジネス前発行人 北方 雅人
(中)パナソニック 代表取締役 社長執行役員 品田 正弘 氏
(右) ベイカレント・コンサルティング 常務執行役員 CDO 則武 譲二 氏

keynote lecture 3

現場から挑む、銀行改革 「金利のある世界」の到来へ
裸の王様にならないために

(左)日経BP 経営メディアユニット ユニット長補佐 小平 和良
(中)みずほ銀行 取締役頭取 加藤 勝彦 氏
(右)ベイカレント・コンサルティング 常務執行役員 コンサルティング本部長 北風 大輔 氏

株式会社ベイカレント・コンサルティング

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