ダイレクトリクルーティングの先駆者が語る

社外・社内の壁を超えた人材戦略の必然性

2009年にハイクラス・即戦力人材の
会員制転職サイト「ビズリーチ」を開始した株式会社ビズリーチ。
日本におけるダイレクトリクルーティングのパイオニアである。
高度な人材マッチングの専門家である同社は、
人的資本経営や雇用流動化が叫ばれる現状に何を思うのか。
代表を含む3人の幹部メンバーが多角的な視点から語り合った。

ますます拡大する
ダイレクトリクルーティング市場

御社のコア事業であるビズリーチは、俳優の吉谷彩子さんが出演するCMでお茶の間にも浸透しています。改めてサービスの概要について教えていただけますか。

酒井哲也氏(以下、酒井) ビズリーチはハイクラスの即戦力人材と、その人材を採用したい企業をマッチングするサービスとして2009年にスタートしました。それまで主流だった転職サービスとは異なり、企業が自ら即戦力人材のデータベースにアクセスして、求職者に直接スカウトを送ることができるプラットフォームを提供しています。いわゆるダイレクトリクルーティングと呼ばれる主体的な採用活動は、日本では我々が切り開いてきた自負があります。

開始から14年が経過しましたが、この間に世の中の流れも大きく変化しました。新卒採用のみを行っていた企業も、経験者採用を行う動きが加速しています。また、コロナ禍が転機となって各企業でDXが浸透し始めた影響もあり、専門性の高い人材の獲得競争も激しくなる一方です。IT人材や即戦力人材に対する採用需要の高まりを背景に、ダイレクトリクルーティング市場はますます拡大している実感があります。

コロナ禍を経て何が大きく変わったのでしょうか。

酒井 大きく2つあります。1つ目は企業の事業内容が変化していること。かつて日本を代表するフィルムメーカーが化粧品や医療機器にシフトしたように、新しい領域へのチャレンジが求められています。その道の専門性を持つ人材が必要となっているのです。

2つ目はコロナ禍での採用戦略が、過去の経済危機とは構造的に異なることです。例えば2008年のリーマンショックでは人員を削減し、新規採用を抑えるトレンドがありました。しかし、当時採用を保留した企業は現在ミドル人材が枯渇し、未だにリカバリーが難しい状況にあります。その学びもあり、多くの企業でコロナ禍での採用のニーズは下がりませんでした。何しろ日本の労働力人口は減少することがわかっているので、先手を打って優秀な人材を確保しておく必要があります。皆さん、厳しい経営環境でも採用を継続することが重要だと実感しているのではないでしょうか。

枝廣憲氏(以下、枝廣) 我々も当時は採用市場が縮小するケースを見越して対策を練っていました。しかし、DXが普及したことで別の需要が生まれ、コロナ禍で業績が伸びたIT関連企業が採用を強化する動きもみられました。

生成AIの効果で
スカウト受信数が40%増加

高いスキルを持つ即戦力人材に特化しながら、登録会員数は227万人を突破しました。豊富な人材データベースは紛れもない御社の武器かと思います。

枝廣 厳正な審査を通過し、専門性を備えた人材が登録する仕組みですから、227万人以上のデータベースは自ずと質の高さが担保されています。ダイレクトリクルーティングだからこそ、求職者自身がスキルや経験を言語化し、直接入力したデータを保有しています。企業にとっても“ビズリーチなら求める人材がいる”との信頼へとつながり、これまで、2万7500社以上にご利用いただいているのです。

外山 英幸氏(以下、外山) サービス開始以来培ってきた盤石なデータベースは、ビズリーチにとって明らかな強みです。自社のデータベースを軸にお客様に新たな価値を生み出していくことは不可欠の要素と言えます。

2023年には生成AIのGPTモデルを採用した求職者向けのレジュメ自動作成機能、企業向けの求人自動作成機能をリリース。どちらも大きなインパクトがありました。

外山 当社ではChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)が登場する前から、AIチームを内製化して、レジュメの入力効率化や自動化に取り組んできました。我々は日々、お客様がどんな課題を感じているのかを議論し、そこから見えてきた課題を解決するために最適な技術を当てはめています。だからこそ、ベストな選択としてGPTモデルを採用し、他社に先駆けて実装しました。

枝廣 レジュメ自動作成機能は、簡単な質問に回答するだけでこれまでの業務内容を自動でスピーディに作成できます。もちろん最後は自らが編集して手を入れることが大前提ですが、企業がスカウト送信を判断できる情報が網羅されます。そしてこの機能には、227万人以上の会員データから得た知見がしっかりと活かされています。マッチング理論を専門とする東京大学マーケットデザインセンターとの共同研究では、自動生成したレジュメによってスカウト受信数が40%増加するとの結果を得ました。

酒井 転職活動において求職者に負荷がかかるのは、経歴・スキルの言語化やレジュメ入力の手間です。レジュメを入力している段階で離脱してしまう人も多いのですが、AIはその手間を解消する手段として非常に相性が良い。とはいえ、工数削減はあくまで手段に過ぎません。煩雑な入力から解放された後で、お客様にどんな価値を提供できるかがポイントです。その価値とは言うまでもなく「適切なスカウトが届き、マッチングの機会が最大化されること」です。スカウト受信数の増加に加えて、本機能の利用者数も毎月増加していることをふまえると、効果に手応えを感じています。

外山 よく「AIが仕事を奪う」とネガティブに捉えられがちですが、ビズリーチが描くテクノロジーの活用は決してネガティブなものではありません。今回の新機能のように、求職者、企業双方のマッチング機会を高めるために開発に注力していきます。

企業においては、経営や事業環境が複雑化するなかで、採用難度があがり続けています。これから何を重視しますか。

酒井 ビズリーチは、人の価値をデジタル化することで、新たな転職や採用のあり方を築いてきました。しかし、経営や事業を理解したうえで採用戦略を考え、求める人物像の言語化につなげていく過程は、人の力に頼る部分が大きい。「この職種を採用したい」という要望に対して、お客様との対話のなかで「なぜその人材が必要なのか」というところに立ち返ってニーズをとらえなおすこともある。意思決定のために、「人」にしかできない価値が必ずあります。

企業の採用においてもAI活用はこの先も増えるに違いありませんが、私たちは人の価値にテクノロジーを掛け合わせて進化を続けます。

次の挑戦は社外・社内の
壁を取り払った人材活用

2016年からは「HRMOS(ハーモス)」シリーズがスタート。採用から活躍、人事・労務の業務効率化までを支援するサービスですが、コアに人事と経営をつなぐタレントマネジメントシステムがあります。ビズリーチとの相乗効果はどこにありますか。

酒井 労働力人口の減少が見込まれるなかで、一人ひとりの生産性を向上することは必須です。そのためには、社外の人材だけではなく社内にも目を向けなくてはなりません。良い人材に社外も社内も関係ありません。これからの企業にとって、いかに早く良い人材をマッチングするかが勝負の分かれ目になります。

そう考えるとビズリーチとHRMOSの世界観は共通している。我々はHRMOSタレントマネジメントを“社内版ビズリーチ”と位置づけています。

枝廣 大企業になればなるほど、異動に際して適任者がどこにいるのか見えにくい。だから社外に人材を求めるのですが、「社内にはAさんがいて、社外にはBさんがいる」と可視化できれば選択の幅がぐんと広がります。人事異動や育成によって事業に適切な人材をアサインしていくことは採用と同じテーブルにあるもの。ですから今後、ビズリーチで培ったデータやAI活用のノウハウをHRMOSに展開していくことを想定しています。


外山 ただし、日本の場合はジョブ型が一般化している米国のように職務要件や人材要件が可視化されておらず、難しい面もあります。異動や登用においては、企業文化や合意形成を重視するケースも多いですから。そうしたデジタル化しにく部分を理解しながら、テクノロジーを活用していきたいと考えています。

酒井 ビズリーチとHRMOSの連携により、人材活用において、社外・社内をシームレスに考えることができるようになる。企業における「人的資本データプラットフォーム」へと進化していくことが、我々が描く未来の姿です。

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株式会社ビズリーチ HRMOS事業部

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