──ネットゼロへの意識の浸透と、コロナ過を経て人々の生活が大きく変化する現在、「住まい方」はどのように変化しているのでしょうか?
髙橋「エネルギー収支をゼロ以下にする家」として普及が進んできたZEHは、いまや当社新築の8割以上となっており、多くの方に断熱性能や省エネ性能が高い住宅に住んでいただいています。そうした中で住まい方や間取りにも新たな変化があります。実は現在、全国的に「平屋」が人気なのです。住友林業で家を建てるお客様の4割以上が平屋を採用されています。平屋の利点は、なんといってもコンパクトで無駄がなく、暮らしやすいこと。例えば、2階建てで延床面積が110m²の住宅は、平屋では90m²程でプランニングできます。2階建ての場合、2階のトイレや階段、そこにつながる廊下、さらにバルコニーなど、平屋にない面積が必要となります。
一方、平屋はその面積を居室に充てることができ、さらに建物高さを高くする必要がないため建築コストを抑えることができます。バリアフリーなので、シニアはもちろん、小さなお子様がいるご家族にもお勧めです。
──平屋は、2階建てと比較すると生活にどのような違いが生まれるのでしょうか?
髙橋まず、生活動線が変わるので生活スタイルも変化します。これまでの2階建ての多くは、バスルームと洗面脱衣室が1階にあり、2階に家族の寝室とバルコニーがあるというプランニングでした。そのため、「1階の洗面脱衣室で洗濯する」→「2階のバルコニーに洗濯物を干す」→「それぞれの家族の寝室に洗濯物をしまう」というのが一般的な流れでした。
外遊びやスポーツ、部活などで服の汚れた子どもが、帰宅後すぐに洗面脱衣室やお風呂に直行できるよう、動線を工夫
❶玄関から直接、手洗いカウンターへ向かえる。リビングに入る前に手洗い・うがいを習慣化する動線
❷裏動線に家事・書斎スペースを設置。アイロンがけや洗濯物をたたむスペースとしても
❸リビングを通らず玄関から脱衣室へ。トイレも動線上に設置し、帰ってすぐに直行できる
家族が帰宅して、すぐに荷物を置いたり部屋着に着替えられる大型クローゼット。洗濯機・乾燥後すぐに衣服を収納できる
❶個室に衣服収納スペースを用意せず、この部屋で一括管理。家族全員の着替えスペースとしてクローゼットを利用
❷自分の収納場所を決めることで子どもの片付け習慣も身に付けさせられる
❸動線上に洗濯機があり、室内干しやアイロンがけもできるユーティリティスペースを用意
家事のスタイルを変えた
「乾太くん」
髙橋それに対し平屋の場合は、洗面脱衣室とファミリークローク、そしてダイニングやキッチンをつなげて設計するプランが人気です。そこで活躍するのが、ガス衣類乾燥機の「乾太くん」です。「洗面脱衣室で洗濯して、乾太くんで乾かす」→「隣接するファミリークロークに洗濯物をしまう」と、シンプルで無駄のない動線になります。洗面脱衣室とダイニングやキッチンをつなげることで、「料理をしながら洗濯をする」「子どもの世話をする」といった「ながら家事」が楽になりますし、「帰宅後は、ファミリークロークで衣服を着替えてから、ダイニングやキッチンに入る」ということもできます。
田辺こうした自由なプランニングができるようになった背景には、2002年の建築基準法改正で「24時間換気システム」が義務化されたことも関係しています。以前の戸建て住宅は、バスルームを家の「角」に配置して、大きな窓をつけるのが当たり前でした。
髙橋そうです。しかし浴室を含めた建物全体の常時換気を行うようになったことで、「バスルームに窓がなくても良いのではないか」という考えも出てきています。
従来よりユニットバスの断熱性能は高まっていますが、窓がない場合はさらに熱の損失を抑えることができます。日本人はもともと「お風呂好き」ですが、バスルームの性能や機能が向上したことでその傾向がより強まったと感じています。このように、住宅の住まい方やプランも日々変化しています。
田辺もともと、日本では平屋のほうが高級だったんですよね。マンションで90m²というとかなり広いですね。平面で90m²あれば非常に豊かな暮らしができる。土地の価格が低い地域ほど、平屋率も上がるようですね。住友林業の昨年の実績では、平屋率は都心部で10%程度ですが、千葉県では40%以上、九州は70%以上だと伺っています。今後は、「平屋にできるかどうか」で土地を選ぶ人も増えそうですね。
2023年にフルモデルチェンジしたガス衣類乾燥機「乾太くん デラックスタイプ」。デザインが一新され、大容量9キロと6キロタイプがラインアップに加わった。洗濯物の仕上がりの良さや家事の大幅な時短につながるとして、高い信頼を受けている
※ガス衣類乾燥機(乾太くん):リンナイ、電気ヒートポンプ式乾燥、電気ヒーター式乾燥 試験実施:リンナイ(株) 条件:実用衣類6kg(綿50%、化繊50%)/脱水度70% RDT63・標準コースで算出 ガス種:LPGの場合で約60分
家はシンプルに、
生活はより豊かに
──ただ、住宅メーカーとしては平屋で建築コストをカットされると、売上などに影響するのではないでしょうか?
髙橋それよりも私達にとって重要なのは「お客様にいかに喜んで頂けれるか」です。建物費用を抑えることができれば、より生活を豊かにするような提案をたくさんできるようになります。壁材や床材を良いものにして毎日住む空間そのものの質を高めることもできます。給湯器をエコジョーズからECO ONEに変更したり、太陽光発電のパネル枚数を増やしたりと、省エネ性能を強化したりすることもできます。最新のシステムキッチンを導入したり、バルコニーがない代わりに庭作りに力を入れても良いでしょう。家族の好みや生活スタイルに合わせて、より「自分達らしい」家づくりができるようになるのです。
祖父江ただ家を売るだけではなく、「将来的に、お客様の暮らしがどう豊かになるか」に焦点を当てているんですね。
もしも敷地面積に余裕があれば、ECO ONEのダブルハイブリッドモデルを導入していただくのも良いと思います。ダブルハイブリッドの良いところは、床暖房のランニングコストが安くなること。通常のモデルは、床暖房やパネルヒーター、ルームヒーターなどを使用する際、エコジョーズで温めたお湯だけを使用するのですが、このモデルは、立ち上がりはエコジョーズ、定常時はヒートポンプで温めた湯を使用します。そのため立ち上がりが早く、省エネで運用できるという利点があります。床暖房を入れるだけで生活の質が向上するので、お得に利用してほしいですね。
「ウルトラファインバブル発生装置搭載モデル」で、お風呂のお湯の質を変えるのも良いでしょう。これは、リンナイの独自技術「Air Bubble Technology(エアバブルテクノロジー)」を利用した新しい給湯システムで、お湯に微細な気泡を発生させ、家中の水回りの汚れ軽減や肌の潤い持続効果を得られます。我慢しながら省エネするのではなく、「快適性を追求したら、楽しく省エネできていた」という流れを重視していきたいです。
──「こんな給湯器が欲しい」など、住友林業側からのリクエストはありますか。
髙橋十分に満足しているので、難しいですね(笑)。あえて言うなら、故障予知の機能を搭載してほしいです。給湯器がある日突然ダウンしてしまうと、十分に検討する時間もなく新しい給湯器に交換せざるを得ないケースがあります。お客様としてはお湯が使えないと不便なので、「すぐに設置できる機器はどれか」ということが優先されてしまい、せっかく省エネ性能の高い機器を新築時に導入していても、買い替えの際にダウングレードしてしまうということがあるのです。給湯器の性能は日増しに向上しているため、あり合わせの機器を導入するのは非常にもったいないと感じます。
祖父江実はいまご指摘いただいた課題は、販売店様やお客様からも多く寄せられておりました。我々もその解決策を長年研究してきており、ようやくエコジョーズとECO ONEに「製品寿命お知らせ機能」を搭載することができようになりました。その新モデルを、2024年10月からを発売します。この機器なら経年劣化を検知してお宅の台所リモコンに通知しますので、実際の故障までに猶予が設けられるため、お客様には最新の機器をじっくり検討していただけます。
田辺日本にはお風呂の文化があり、その文脈で他の国に比べても季節を問わずお湯の消費量が多く、お湯への生活依存度が高いのが特徴です。暮らしの豊かさの実現はもちろん、省エネや脱炭素に向けても、給湯器メーカーにかかる期待はどんどん大きくなっていると感じています。
また今後は、メーカーのみならず、ガス給湯器を販売する流通業界やユーザーも、脱炭素への意識をより強く持つ必要があるでしょう。その意味で、製品寿命お知らせ機能は「給湯器の省エネ化や脱炭素化について改めて考える」良い機会を与えてくれる面白い機能だと思います。業界のトップランナーとして、製品の省エネ性能強化だけにとどまらないさまざまな取り組みを、これからも期待します。
ハイブリッド給湯器「ECO ONE」。エネルギー効率の高いヒートポンプで沸かしたお湯をタンクに貯め、補助的に高効率ガス給湯を行う。10月から、マイクロバブルやウルトラファインバブルを発生させ、お湯の質を高めるリンナイの独自技術「Air Bubble Technology(エアバブルテクノロジー)」を搭載するモデルも発売。国の「給湯省エネ2024事業」として、導入にあたり15万円の補助金が交付される




