創業は1927年。もともとは映画の映写機などに使用される投光用ランプのメーカーであった。以後、数十年にわたって白熱電球の産業用ランプを作り続けたが、米国メーカーとの合弁・技術契約でハロゲンランプの製造を開始。1992年にはオランダの大手電機メーカー、フィリップスの傘下に入った。
ところが2006年、当時のマネジメントチーム6人がMBO(マネジメント・バイ・アウト)を行い、フィリップスから独立する。


産業用の特殊ハロゲンランプや放電ランプなどを開発・製造・販売する河北ライティングソリューションズ(本社・宮城県石巻市)。グローバルな電機メーカーから独立して10年が経過し、当時の売上高規模が30億円ほどだった同社は、さらなる成長のための基盤としてSAP ERPを導入した。月次決算がわずか数日で処理されるようになり、経営の“見える化”が実現。社員一人ひとりが“自分事”として経営に向き合うなど、社内の意識改革も進んだ。

「ランプ」と言えば、照明を思い浮かべるのが一般的だろう。だが、河北ライティングソリューションズが製造するランプは、空間を明るくするためのものばかりではない。
「半導体製造装置に組み込んでシリコンウェーハ(半導体の材料)を加熱させたり、血液に光を当てて成分を分析したりするなど、様々な用途に使われる産業用ランプを製造しています」と説明するのは、同社 代表取締役社長の今野康正氏だ。
河北ライティングソリューションズ
代表取締役社長
今野 康正 氏
創業は1927年。もともとは映画の映写機などに使用される投光用ランプのメーカーであった。以後、数十年にわたって白熱電球の産業用ランプを作り続けたが、米国メーカーとの合弁・技術契約でハロゲンランプの製造を開始。1992年にはオランダの大手電機メーカー、フィリップスの傘下に入った。
ところが2006年、当時のマネジメントチーム6人がMBO(マネジメント・バイ・アウト)を行い、フィリップスから独立する。
「“選択と集中”の一環として、当時、まだ市場規模が小さかった半導体向けや医療向けの産業用ランプ事業から撤退するという経営判断がオランダの本社から下され、『だったら、自分たちでやろう』ということになったのです。『80年近く培ってきた産業用ランプ製造の技術を絶やしたくない』という思いも強かったですね」と今野氏は振り返る。
それから18年。独立時に約17億円だった売上高は、約50億円まで急成長を遂げる。AIの普及などによる半導体需要の高まりや、医療の高度化に伴う診断装置の需要拡大などが背景にあるが、それらの機器に搭載される多様な産業用ランプを開発・製造し続けてきたことが、成長の原動力となったのだ。
「当社がランプを納入する業界は、どこも技術革新が目覚ましく、常に新しい用途や、技術的な難度の高いランプを要求されます。その鍛錬によって、モノづくりの力がさらに磨かれ、他社には真似のできない産業用ランプが作れるようになるのです」(今野氏)
コア技術である特殊光源の開発に軸足を置きながら、光応用技術の領域へと事業を拡大。
“スペシャルライティング”の分野において、存在感を放つ特殊光源メーカーへと成長を遂げた
同社は培った技術力を生かし、より高度な製品や、新しい用途の製品を次々と送り出してきた。
「技術を磨くだけでなく、『今、どんな製品が求められているのか?』というニーズを的確につかみ、設備や人材などの経営資源を効率よく配置しながらニーズに応えていくことも、成長のためには不可欠です」と今野氏は語る。
そのための基盤として、河北ライティングソリューションズは2017年にSAPの基幹業務システム(ERP)を導入した。社内に蓄積されている様々な情報をリアルタイムに収集し、スピーディな意思決定をするためだ。
当時の売上高は約30億円。独立から10年で約2倍に成長していたが、それでもメーカーとしては中堅・中小規模の売上高水準である。
「正直、社内からは『SAP ERPの導入は身の丈に合わない投資なのではないか?』という意見もありました。しかし、5年先、10年先の成長を見据えれば、今そのための基盤を整えるべきではないかと判断して、SAP ERPの導入に踏み切りました」(今野氏)