次に両社の業務提携・経営統合の背景について話を聞いてみた。青山財産グループは、「100年後もあなたのベストパートナー」とのスローガンを掲げている。財産の「承継、運用、管理」という横串のコンサルティングだけでなく、次の代や次々代といった縦串のコンサルティングも見据えているのだ。チェスターグループとの業務提携・経営統合は、「お客様に長きにわたって良いサービスを提供したい」という思いの一環だ。
「相続税申告は当社グループでも以前から行っていましたが、全国展開という点での対応が手薄だったことから、士業部分の機能を強化する必要を感じていました」(蓮見氏)
一方のチェスターは、もともと相続税申告を全国展開しており、申告件数は年間3000件を超えるが、顧客からは生前対策や資産承継といった財産コンサルティングへの業務拡張を求められていたという。
「両社の間では以前から人的交流があり、コミュニケーションも図っていましたが、そうした中でチェスターグループの課題について話す機会があり、相続発生時の相続税申告や手続きに強みを持つ当社と、相続発生前・相続後のコンサルティングに強みを持つ青山財産が力を合わせれば、世の中の財産に関する問題をさらに解決できるのではないかという話になり、業務提携・経営統合へとつながっていきました」(荒巻氏)
両社が手を取り合った要因の一つとして、「同じビジョンを共有できた」という点もあったと、蓮見氏と荒巻氏は口をそろえる。
「事業領域が近いだけではなく、当社の経営目的にも掲げている『財産の承継・運用・管理を通じてお客様の幸せに貢献する』という思いや専門性を持ってお客様に向き合う姿勢が合致していたことが大きいと思っています」(蓮見氏)
「今回の業務提携・経営統合は、『すべての相続に最高のプロフェッショナルサービスを』という当社の経営理念が強化されるものです。目指す場所が同じなので自然な形で進めることができました」(荒巻氏)
今回の業務提携・経営統合は、顧客へのメリットも大きいようだ。
「従来、相続にあたっては各コンサルタントが外部パートナーへ協力をお願いしていましたが、グループ内でチームを組めるようになったため、より良質なサービスを、より多くのお客様に提供できるようになります。また、全国対応が可能となったことで、とりわけ地方の不動産売却のご相談にも十分な対応が可能となりました」(蓮見氏)
生前から相続、次世代までを長期的かつスムーズにフォローできる体制が整ったことは、顧客の側にとっても大きな安心感につながるはずだ。蓮見氏によると、最初は遺言書作成のような個別の相談からスタートし、そこを入り口に総合的なコンサルティングへと進むケースも出てきているという。まさに100年後もベストパートナーでありたいという青山財産グループの思いが実を結んでいる形だ。
強みと弱みを相互補完し合った両社の今後の展望についても話を聞いた。
「これだけ高齢化が進んでいる日本では、財産の承継、運用、管理がますます重要になるのは間違いありません。複雑化する『富裕層のお悩み』に対して、高品質なサービスをより多くのお客様に提供していくことが当社の使命です。お客様に信頼していただき、長きにわたりご相談いただける存在になりたいと考えています」(蓮見氏)
これに対して、チェスターの代表社員である福留正明氏も「それぞれがこれまで蓄積した知見やノウハウを融合することで、これまで以上に幅広いサービスの提供が可能になったと思います」とした上で、「新しいアイデアを生むために、また従業員のキャリアプランの選択肢を広げるためにも、人材交流をより活性化させたいと考えています」と応じた。
最後に、財産運用に悩む読者へのメッセージとして、福留氏は、信頼できるパートナー選びの大切さを説く。
「相続対策の相談では、自社のサービスや商品ありきの業者も少なくありません。財産の管理はケースバイケースなので、多くの選択肢が検討でき、相続前や相続後も安心して相談できるパートナーをしっかりと見極めることが重要です」(福留氏)
蓮見氏は、財産のプランニングを「地図」に例える。
「財産をどう永続させていくのかを考える上で、経営、財産の状況、家族やご自身の思いを整理し、関係者全員が同じ道を歩んでいくことが重要です。そのために必要なのが、早めに『地図づくり』を進めること。財産に関するプランを地図、具体的対策を道のり、スケジュールを所要時間に例えると、地図を見て、毎年現在地を把握しながらゴールまでの道のりを考えていき、プランを適宜修正していくことが重要です。また、時間的な余裕をつくっておくことで、選択肢をじっくり検討でき、余計な税負担やトラブルを回避することができますし、法改正やマーケットなどの変化といった外的要因にも前もって対応することができます。最適な道筋を描くためにも早めに一歩を踏み出すことをお勧めします」(蓮見氏)
青山財産グループの総合財産コンサルティングは、いったん接点を持った顧客に対しては、定期的に財産の評価額やポートフォリオの見直しを行い、必要に応じてアップデートを実施しているという。将来にわたって守るべき大切な財産だからこそ、共に「地図」を描き続けてくれる存在であることは、パートナー選びの重要な要素になり得るのではないだろうか。