不動産流通業界の牽引役として知られる東急リバブル。その事業は個人向けにとどまらず、法人向け不動産サービス、不動産開発、不動産を活用する資産コンサルティングなど、多様な領域に広がっている。広範な事業展開を可能にする同社の強みとは。同社代表取締役社長の太田陽一氏にフリーアナウンサーの榎戸教子氏が聞いた。
不動産市況の先を見据え
新たな価値を提供
東急リバブル
代表取締役社長
太田 陽一氏
【PROFILE】1983年東急不動産入社、95年東急リバブル出向。2007年同社経営企画部長就任。その後、14年取締役常務執行役員関西支社長などを経て、19年に代表取締役社長、20年に東急不動産ホールディングス取締役執行役員に就任。
榎戸 現状の不動産市況と今後の変化について、どのようにご覧になっているのかをお聞かせください。
太田 足元の不動産市況は、マイナス金利の解除後も超低金利が続いている状況などから、好調に推移しています。ただし、長期的には少子高齢化による人口減少によって、不動産の売買取引は徐々に減っていくことが予想されます。我々としては、日本経済を支えるためにも不動産取引の件数をできるだけ増やしていきたい。そのためには独自のサービスや事業の創出などを通じて、不動産の新たな価値を提供していくことが重要だと考えています。様々なニーズに対応し、取引をいかに活性化するかがポイントですね。
フリー
アナウンサー
榎戸 教子氏
【PROFILE】さくらんぼテレビジョン、テレビ大阪のアナウンサーを経て、フリーアナウンサーに。BSテレ東「日経ニュース プラス9」のメインキャスターや、「NIKKEI日曜サロン」のキャスターを歴任。ラジオNIKKEI「Business EXpress」にパーソナリティとして出演中。アナウンサー事務所PICANTE代表取締役。
榎戸 取引を活性化させるために、東急リバブルはどのような事業戦略を展開しているのでしょうか。
太田 まず大前提として、私たちは不動産というよりも、“情報”をいかに取り扱うかということに力を注いでいます。お客様から頂いた情報の中から課題を見つけ出し、それを解決することこそが、私たちの使命であると考えています。情報を捉えるためには、感度や好奇心を磨くことが必要ですし、つかんだ情報を基により良い解決策を提示するには、精度の高い仮説を立てられるかどうかも重要です。当社には約3900人の社員がおりますが、その一人ひとりが取得した情報を生かし、問題を解決してお客様の感動を得ることが大切だと思っています。感動とは、期待を超える満足のこと。それを一人でも多くの方に感じていただくことが、事業や人の成長につながり、社会に対する責任を果たすことに結びつくと考えています。
集積する情報を生かし
事業領域を拡大
榎戸 東急リバブルは、個人向けの不動産売買仲介を柱に据えながら、法人向け不動産サービスや不動産開発、資産コンサルティングなど、多彩な事業を展開しておられます。幅広い事業を手掛けることができる貴社の強みとは何でしょうか。
太田 当社は全国に220店舗以上の売買仲介ネットワークを展開しています。この広範なネットワークから拾い上げたお客様や取引企業の声は、まさに川上の“生”の情報です。その一つひとつの声に寄り添う中で、解決の選択肢が広がっていきました。お客様目線で問題と真摯に向き合い、不動産を「売る」「買う」だけでは解決できない課題にも対応できるノウハウを培ってきたことが、我々の大きな強みです。
榎戸 そうして裾野を広げてこられた活動を、各事業に昇華されているのですね。個別の事業部門の活動についても具体的に教えてください。まず、法人不動産の専門チームである「ソリューション事業本部」は、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。
全国に220店舗以上の売買仲介ネットワークを展開する東急リバブル。その数多くの顧客接点から得た情報を全社で共有し、不動産売買の仲介から、法人向け不動産サービス、不動産開発、資産コンサルティングと事業の幅を広げてきた。
太田 例えば、法人のお客様が保有する不動産を一括で取得する「アクイジション」、不動産売買を目的としたM&Aの仲介を行う「不動産M&A」、法人用不動産の事務手続きや資産評価などを請け負う「不動産BPO」などのサービスを提供しています。400人以上が在籍し、様々な専門部署を設けて当社独自の高品質なサービスを提供しており、他社には真似できない強みだと確信しています。
榎戸 続いて、「アセット事業本部」ですが、事業用地の仕入れや開発を行う部門だそうですね。
太田 自社開発の不動産商品として、新築分譲マンション「L’GENTE(ルジェンテ)」や、一棟投資用不動産「WELL SQUARE(ウェルスクエア)」などを提供しています。ルジェンテシリーズでは、当社が建築にかかる資金を負担して、土地所有者様と共に分譲マンションを建てる「等価交換」手法を用いた課題解決も行なっております。
榎戸 最後に、「ウェルスアドバイザリー本部」についてご説明ください。
太田 資産運用や相続、事業承継などの課題を抱えている個人資産家や企業オーナーの方向けに、不動産を活用した資産コンサルティングを行う部門です。資産背景やニーズに合わせ、少額から都心の不動産に投資できる不動産小口投資商品なども販売しています。
榎戸 東急リバブルは、私たち個人にとって身近な不動産会社というイメージでしたが、法人向けをはじめ、想像以上に幅広いソリューションを提供しておられることに驚きました。個人向け売買仲介という枠にとらわれず、より良い不動産の生かし方や、課題解決の方法を社員の方々が考えながら、事業の幅を広げてこられたのですね。個人の取引だけでなく、法人としても資産運用や事業承継など、人生の要所ごとに相談できる会社であるという印象を受けました。
太田 ありがとうございます。これからも地域やコミュニティから幅広く情報を集め、ニーズをしっかりとキャッチし、お客様一人ひとりに寄り添った価値を提供することで、社会に貢献していきたいと思っています。


