中国銀行の持株会社であるちゅうぎんフィナンシャルグループでは、「人財情報の可視化」を目的としてプラスアルファ・コンサルティングの「タレントパレット」を導入。グループ全体約5000人が活用し、地域を支える次世代人財の配置・育成・定着に役立てている。一元的なデータ集約・分析から見えた効果について取締役副社長/CHROの原田氏に話を聞いた。
経営理念の浸透には
人的資本の積極的投資が必要
ちゅうぎんフィナンシャルグループ(以下、ちゅうぎんFG)は岡山県を拠点に、香川県、広島県東部、兵庫県西部を含む東瀬戸内経済圏を営業基盤とする。2022年10月、中国銀行の持株会社として設立され、銀行、証券、カード、リース、ベンチャーキャピタル、人材紹介、再生可能エネルギーなどの様々な事業を展開。“金融を中心とした総合サービス業”への転換を図った。
グループ共通の経営理念には「地域・お客さま・従業員と分かち合える豊かな未来を共創する」を掲げている。取締役副社長(代表取締役)/CHROの原田育秀氏は「経営理念の浸透に向けては、従業員一人ひとりが時代の変化を正しく捉え、自分のスキルや専門性を磨くこと、さらには変化する経営戦略に迅速に対応できる柔軟な組織づくりが大切です。従業員とともに未来を創るためにも、人的資本への積極的な投資が必要だと考えています」と語る。
この方針に基づき、現在進行中の中期経営計画「未来共創プラン ステージIII」では、「DXの推進」や「多様な人財の活躍推進」をマテリアリティに加え、人的資本投資の大幅な拡大を明言した。
人的資本投資は採用、配置、育成、定着の4ステップに分けて実施する。採用では「人財の確保」、配置では「人財情報の可視化」、育成では「人財開発」、定着では「エンゲージメントの向上」を戦略の柱に据え、キャリア採用の増大、リスキリングの強化、自律的なキャリア形成支援などを掲げた。なかでも人財情報の可視化においては、タレントマネジメントシステムの「タレントパレット」を導入してグループの人事データを集約・分析。あらゆる人財がいかんなく能力を発揮できる環境を整えている。
前システムの課題を払拭
多面的なデータ活用が可能に
以前は労務管理系の人事システムを拡張する形で評価制度やスキル情報を追加しながら運用していた。しかし各部署が個別で情報を保有していることから毎回Excelでデータを集計せねばならず、「非効率さが横断的なデータ共有を阻害していました」と振り返る。
「我々が目指す人的資本経営を実現するためには、分断された情報を一元的に把握し、個人の特性やスキル、資格などを可視化することが急務でした。そこで複数のタレントマネジメントシステムを検討した結果、タレントパレットを導入するに至りました」
決め手となったのは対応可能な規模、モニタリング機能における即時集計、評価のしやすさ、ダッシュボードの作りやすさ、そして使い勝手の良さだった。
「数千人規模での運用を想定して検証しましたが、ユーザーインターフェースの使いやすさ、見やすさ、将来的な機能拡張のしやすさという点で他社サービスより優れていると感じました。アライアンスを組む千葉銀行が先行導入していて、推薦してくれたことも大きい。現在はちゅうぎんFG全体の共通システムとして約5000人規模で運用しています」
活用方法は実に幅広い。人事考課、保有資格、360度評価、所属歴、業務適性といった基礎項目に加え、パルスサーベイやエンゲージメントサーベイ、eラーニング、キャリア面談記録など多岐にわたる。健康診断のデータを反映してウェルビーイング向上にも取り組んでおり、「できる限り多くのデータを集約して、従業員のポテンシャルを引き出せるように工夫していきたい」と原田氏は話す。
働きがいの向上を支援して
活躍し続ける人財を増やす
導入から2年ほどが経過し、明らかな成果も見られるようになった。例えばパルスサーベイを通じて従業員エンゲージメントを細かく理解できるようになり、そのデータを基に職場環境の改善に活かしている。また、検索条件を入力するだけで求める人財のデータを簡単に抽出可能となり、候補者探しの工数を大幅に削減。その分、人選の検討にじっくりと時間をかけられるようになった。
「人事サイドだけではなく、従業員にも変化が現れました。アンケート回答や目標設定、チェックシートによるスキル確認などで活用していますが、新たな仕組みに興味を持って前向きに取り組んでいます。これまで客観的なデータで自分たちを見る機会がなかったため、新鮮に感じているようです。ただし現時点ではまだ道半ば。さらにデータが蓄積されていけば、活用の幅が広がっていくだろうと期待しています」
今後はAIを採用して従業員の希望と職場の適性のマッチング精度を高めることも想定している。だが、デジタル一辺倒で人事施策を進めるつもりはない。「支店長経験者が現場の声とデータを組み合わせ、人事異動の判断材料としています。やはりプロの目で実情を把握することは重要。アナログな要素とデジタルデータをバランスよく融合させることを心がけています」と原田氏は言う。
2025年5月には人的資本投資目標の引き上げを公表し、これまでの5億円から10億円へとKPIを倍増した。増強した領域は、福利厚生や各種手当の充実による「働きがい向上」である。
「人財育成に励んでも離職してしまっては意味がありません。スキルを身につけた従業員が定着し、グループ内で活躍し続けてもらうことが最も大切です。働きがい向上への投資は、従業員の活躍を支えるとともに、企業価値を高める好循環を生み出すはずです。そのためにもタレントパレットを存分に活用して人的資本を強化していきたいですね」
人的資本投資について、3つの階層に分けKPIを設定している











