ServiceNow World Forum Tokyo 2025 Special Review vol.2 最先端の技術を駆使してAIによる変革を進める強い日本企業
ServiceNowのNow Assistで
セキュリティオペレーションを進化させる
続いて紹介するのは、製造業によるAI活用のセッションである。「日本精工の生成AI活用とNow Assistが切り開く未来 ~セキュリティインシデントレスポンスの進化~」と題し、同社 デジタル変革本部 ITガバナンス部 副部長の加澤 靖氏が講演した。
ベアリング(軸受け)メーカーとして世界でもトップクラスのシェアを誇る日本精工は、全社的にDX推進と生成AIの活用を進めている。その様々な取り組みの中でも、加澤氏がフォーカスしたのは、セキュリティ領域における生成AIの活用である。
同社は生成AIを使ったセキュリティ強化の取り組みにおいて、「攻撃者が生成AIを使って仕掛けてくる攻撃パターンの理解」「防御精度の向上」「脅威情報の収集・分析・活用」「セキュリティオペレーションの進化」の4つのアプローチが重要だと考えている。
このうち、「セキュリティオペレーションの進化」に向けて、日本精工は3年以上前からServiceNowのSecurity Operations(SecOps)を活用しており、運用をレベルアップするため、生成AIであるNow Assistの活用も開始した。
Now Assistを採用した理由について、加澤氏は「世界中の拠点から絶えず発報されるアラートを、人手をかけずに処理できるようにすることが狙いでした」と説明した。
グローバルで200以上の事業拠点と77社の子会社を持つ日本精工は、SecOpsも全世界の拠点に展開している。当然ながら、各拠点から発報されるアラートも膨大な件数に上り、人手ではとても処理し切れない状況となっていた。
「その点、生成AIなら、大量のアラートを効率よくスピーディに処理できますし、ケースごとの処理内容の要約も自動で行ってくれます。単なる業務効率化だけでなく、ナレッジの蓄積によって、オペレーションがどんどん洗練されていく効果も期待できるわけです」と加澤氏は説明した。
定量的な導入効果としては、以前は手動で10~30分かかっていたインシデントチケットの内容の要約がわずか1分未満でできるようになったという。
加澤氏は「今後のセキュリティ対策において、生成AIはなくてはならない存在となるはず。活用をさらに推し進め、事業活動の継続に貢献していきたい」と語った。
デジタル変革本部
ITガバナンス部
副部長
加澤 靖 氏
中堅成長企業がServiceNowを導入する上で
乗り越えるべき“壁”とは?
「ServiceNow World Forum Tokyo 2025」では、単独の企業や団体によるセッションのほか、複数の企業や団体がServiceNowの導入事例を披露し合うパネルセッションも行われた。
自動車部品や半導体検査装置などを製造するヨコオと、医療ヘルスケア領域向けの人材採用サービス「ジョブメドレー」などを運営するメドレーの担当者がパネリストとして登壇し、ServiceNow Japanの安池俊博氏が進行役を務めた「中小企業におけるServiceNow導入のリアル」もその一つである。
自動車部品を製造するヨコオは、自動車工業会やOEM(完成車メーカー)の顧客からセキュリティレベルの向上を強く要求されていた。しかし、「どこに脆弱性があるのかがわからない以前に、自社で動いているサーバーがどの国に何台、どのような構成で存在するのか正確に分からない状況でした。そこで、ITインフラの状況を全面的に可視化し、セキュリティ面での脆弱性をプロアクティブに検知できる環境を整えるため、ServiceNowを導入しました」と語ったのは、同社 経営企画本部 サイバーセキュリティ対策企画室 部長の中山秀人氏である。
ServiceNowの導入によって、どのインフラに脆弱性があるのかが即日にレポートされるようになり、セキュリティ管理のレベルは格段に上がったという。
一方、メドレーは、新規取引先の登録から契約締結までのプロセスを効率化するためにServiceNowのソリューションを導入。「取引先の登録、反社チェック、法務レビュー、契約締結という一連のプロセスが単一システム上で実現され、その一部は他のシステムと連携し自動で進行するようになりました。複雑な申請方法の理解やシステムをまたぐ情報の転記が不要となり、プロセスがどこまで進んでいるのかもリアルタイムに確認できるので、従業員の業務負担は軽減されています」と語ったのは、同社 コーポレートIT室 コラボレーションシステムグループ グループマネージャーの林 亮輔氏である。
中堅成長企業がServiceNowを導入するにあたっては、予算面や人材面などの“壁”があり、経営層をいかに説得するかが大きな関門だ。メドレーの林氏は「IT部門だけが効果を得るのではなく、会社全体にどんなメリットがもたらされるのかを訴えることが大切です」と助言。ヨコオの中山氏も、「『セキュリティレベルが低いと、お客様から選ばれない会社になってしまう』と、経営層目線での重要性を強く訴えて導入を決めてもらいました」と明かした。
経営企画本部
サイバーセキュリティ対策企画室
部長
中山 秀人 氏
コーポレートIT室
コラボレーションシステムグループ
グループマネージャー
林 亮輔 氏
コマーシャル・デジタルSC本部
本部長
安池 俊博 氏
AIガバナンスを包括的に管理する
「AIコントロールタワー」が登場
ビジネスにおけるAI活用が広がるにつれて、いかにガバナンスの利いた運用を実現するかということが重要視されている。AIガバナンスは、法令順守に加え、リスクを制御しつつAIの価値を最大化するために不可欠だからだ。これを放置すると、情報漏洩や管理不全などのリスクが高まることになる。
また、現場における実務的なAIの利用によって、気づかないうちに発生するリスクがあるため、AIガバナンスはIT部門やリスク部門だけではなく、全社的かつ戦略的な課題と捉え、「自分ごと」として取り組むべきである。
ServiceNowは、この課題に応える新しいソリューションである「AIコントロールタワー」をリリースした。「ServiceNow World Forum Tokyo 2025」でも、初日にServiceNow Japan スペシャリストSC本部 テクノロジーワークフロー部 部長の水野拓郎氏が、2日目には、同じくスペシャリストSC本部 テクノロジーワークフロー部 アドバイザリーソリューションコンサルタントの中村坂紀氏が、AIガバナンスにまつわる課題と「AIコントロールタワー」に関するセッションに登壇した。
スペシャリストSC本部
テクノロジーワークフロー部
部長
水野 拓郎 氏
スペシャリストSC本部
テクノロジーワークフロー部
アドバイザリーソリューション
コンサルタント
中村 坂紀 氏
水野氏は、「多くの企業では、AIの導入や活用が進む一方で、そのガバナンスを管理する体制が整っておらず、その状況を放置したままにすると、AIを起点とした情報漏洩、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成してしまう現象)、無意識のうちのコンプライアンス違反が発生する可能性があります」と指摘。
そうした課題を解決するソリューションとしてリリースされたのが、ServiceNowの「AIコントロールタワー」だ。これは、ひと言で言えば「企業全体のAIを管理する司令塔」である。
「AIコントロールタワー」は、全社のAI資産を可視化する「AIインベントリー」、可視化されたリスクを評価する「AIガバナンス」、AIのライフサイクル全体を管理する「AIエグゼキューション」、AIの利用目的が企業の目的や戦略と合致しているかどうかを確認する「AIストラテジー」、リリースされたAIがビジネスにどれだけ貢献しているかを具体的に計測する「AIバリュー」の5つの機能で構成されている。
AIコントロールタワーは、これらの統合的な機能を組み合わせることで、グローバルな法規制やフレームワーク(EU AI Act、NIST AI RMFなど)に対応したガバナンス体制を構築することが可能になる。
水野氏は、「AIガバナンスは、コストやレピュテーションリスクを抑えるためだけのものではなく、成長に関わる経営戦略の一環として捉えるべきものです。全社が一丸となって、安全かつ効果的にAIを活用していく環境づくりが求められています」と提言した。
ServiceNowのAIコントロールタワーは、それを実現するソリューションとして今後、注目を集めそうだ。
なお、2日間にわたって行われた「ServiceNow World Forum Tokyo 2025」の詳細は、アーカイブ配信で確認できる。ページ下部「オンデマンド視聴」のバナーをクリックして、ぜひイベントの盛り上がりを体験し、明日からのビジネスの参考になるセッションを視聴してみてはいかがだろうか。


