拠点数は700超、5年で100拠点増加

アフリカ進出する日本企業が増える理由
アフリカビジネスパートナーズが解説

アフリカ事業を経営計画に加える日本企業が増えているという。何が背景にあり、どのアフリカの国が有望なのか。アフリカに特化したコンサルティングファーム、アフリカビジネスパートナーズ代表の梅本優香里氏に聞いた。

――アフリカ事業を経営計画に組み込む企業が増えているそうですね。

 アフリカに事業機会があると言われて10年以上が経ちますが、今が最も成功の可能性が高まっているタイミングです。

 かつて日本企業のアフリカ事業というと、社会課題解決のための事業やスタートアップ投資といった「ノンコア事業」が多かったのですが、近年はアフリカ市場を「コア事業の成長に直結する戦略市場」と位置づける動きが見られます。

梅本 優香里 氏
アフリカビジネスパートナーズ合同会社
代表パートナー

日本で唯一のアフリカビジネスに特化したコンサルティング会社として2012年にアフリカビジネスパートナーズを創業。ケニア、南アフリカに現地法人、エジプト、モロッコ、ナイジェリア、コートジボワール、エチオピアに拠点。1年のうち10カ月はアフリカで過ごす。

 中期経営計画にアフリカ進出を掲げたり、成長戦略の発表においてアフリカを視野に入れた方針が語られることが明らかに増えました。

 実は、コロナ禍がアフリカ進出の契機になった企業も少なくありません。

 日本企業の海外進出は中国や東南アジア、米国、欧州に偏っていますが、事業継続性を高めるには地政学的に事業国のポートフォリオを構築する必要があると認識されたためです。

 すでにグローバル市場で戦い、シェア拡大に取り組む企業では、世界の競合がアフリカに進出していることに危機感を抱き、現地企業の買収を急ぐケースもあります。

 実際、アフリカ企業を対象とするM&Aで日本企業と欧米企業が競り合うケースも増えました。

日本企業のアフリカ進出数(過去11年推移)

※アフリカビジネスパートナーズ調査・作成
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※アフリカビジネスパートナーズ調査・作成
詳細はこちら ➜ https://abp.co.jp/contents/overview/japanlist/

 スズキがインド工場からアフリカへ車両を輸出し高いシェアを獲得したことで、インド進出の先にアフリカを見据える戦略を立てる企業も増えました。

 なにより、アフリカビジネスで先行する日本企業が株式市場で高く評価されていることも、ポジティブな影響を与えています。

 機関投資家から成長投資を求められる局面で、アフリカのポテンシャルに気づく日本企業も増えています。

日本企業は5年で100拠点増加

――実際、日本企業のアフリカ進出拠点数は700を超えて増えています。

 我々は2013年から、日本企業がアフリカでどのような事業を展開しているか1社ずつ調べて「アフリカビジネスに関わる日本企業リスト」としてまとめています。

 日本企業のアフリカ進出拠点数は700を超えており、この5年間だけでも約100拠点増えました。

 一般的に想像されているよりも、日本を代表する企業の多くがすでにアフリカで事業を行っています。

 アフリカ事業だけで100億円を超える売上を得ている企業も数十社にのぼります。

 このリストは、上場・非上場を問わず、日本企業が現地法人や駐在員事務所、さらには販売代理店を置いている国を網羅的に調べ、2013年の調査開始以来一貫した基準で継続して作成してきました。

 長期的に進出動向を追える調査は他になく、企業の経営企画部門が新規事業を検討する際の一次情報としてや、投資判断の材料としても活用いただいています。

――アフリカ各国の違いを教えてください。

 南アフリカは日本企業の数が最も多い国です。

 早くから工業化が進んでおり、トヨタが工場を構え、トヨタに供給する部品メーカーも製造拠点を有しています。

 現地の製造業向けに産業機械・機器を納入している企業が多いのも特徴です。

 進出数2位のケニアは「アフリカのゲートウエイ」ですね。

 外資に寛容な政策と文化で、自動車から消費財まで100社を超える日本企業が進出しています。

 アサヒグループホールディングスは昨年、ケニアのビール会社を30億ドルで買収する大型案件を発表しており、都市消費文化が根付いているのも特徴です。

国別進出企業数ランキングと進出事例

1位 南アフリカ 155社 [主な日本企業]デンソー、ジェイテクト、日本精工、NTN、AGC、古河電気工業、島精機製作所、マルハニチロ、丸善製茶など
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 3位はモロッコとエジプトです。

 モロッコは今、「欧州の工場」として製造業が集積しており、日本企業も自動車部品や軽工業が進出しています。

 ファーストリテイリングもモロッコの縫製工場への生産委託を開始しました。

 エジプトは人口1億人を超える大国で南アフリカに次ぐ工業国。

 日本との関係が深く「日本びいき」が多い国です。

 5位のナイジェリアは人口2億人の産油国で、魅力は多いものの難易度が高く、「次はナイジェリア」と目標にされる国です。

 世界有数規模の製油所が稼働を開始した昨年以来、経済は安定に向かっています。

 我々はこの5カ国に、コートジボワールとエチオピアを加えた計7カ国に現地法人や人材を配置しています。

 アフリカ大陸の約40カ国で、各国のビジネス可能性を、実際に現地を歩いて確かめてきました。

 これまで訪ねた現地企業は2000社を超えます。

 「アフリカしかやらない」と決め全リソースをアフリカに費やしてきたことで蓄積した、知見の幅と深さが、私たちの強みです。

アフリカで注目するべきBIG5は、南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、コートジボワール、エジプト。Next5はモロッコ、エチオピア、ガーナ、タンザニア、コンゴ民主共和国

BIG5の5カ国国旗、Next5の5カ国国旗
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アフリカ事業を前に進める支援

――とはいえ、日本企業がアフリカで事業を成功させるのは苦労が多そうです。

 日本企業がこれまで進出してきたアジアの国々とは同じようにはいきません。

 時代背景も、日本との関係性も、商習慣も違います。

 そのギャップを埋めて、日本企業のアフリカビジネスを一歩でも前に進めたいと考えています。

 「アフリカ事業を前に進める」は我々のパーパスです。

 日本企業が確信をもってアフリカビジネスに挑戦できるように、まずは地道な現場での調査や現地企業の訪問、信用できる企業の紹介から始めます。

 事業計画として社内で合意形成を図るための支援も行います。

 方向性が決まれば、やり切るためのあらゆる支援、営業の代行、人材の採用も含め、試行錯誤に一緒に取り組みます。

 現地企業の出資や買収にあたっては、相手を探し、交渉を支援するのみならず、契約後の統合まで支援します。

 創業して14年、日本企業の組織文化も、アフリカ市場や企業の価値観も熟知している我々だからこそ、提供できるサービスだと考えています。

インタビュー写真

ナイジェリア北部の農家に現地の言葉でインタビュー(アフリカビジネスパートナーズ撮影)

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