AIの新潮流であるエージェンティックAIの到来は、日本企業のビジネスモデルにどのような変化をもたらし、
どのようにして対応していくべきなのか。
これからのAI活用のあり方と、
Splunkが2026年中に提供予定の新アーキテクチャ「Cisco Data Fabric」の概要について、
「Splunk×アクセンチュア」による対談で解き明かす。
企業が直面するAI導入の「3つの壁」
アクセンチュア・岡本武士氏(以下、岡本) Brickmanさんは現在、Cisco米国本社でSplunkの製品開発を統括するほか、前職のAmazon.com, Inc.では製品責任者、Microsoft Corporationでもシニアテクニカルリーダーを務めるなど、テクノロジー業界のリーダーとして数多くのイノベーションを推進されてきました。
とくに近年のAIの進歩と破壊力はかつてないほどのインパクトを持ち、日本企業においても多くのCIO(最高情報責任者)が、取り組むべきアジェンダの筆頭にAI活用を掲げる一方で、様々な課題に直面しているのが現状です。
現在進行形で進化を遂げるAIがビジネスのあり方にもたらす新たな機会と、踏まえるべき課題について、お伺いできればと思います。
Splunk・Seth Brickman氏(以下、Brickman) 今、目の前で起こっている注目すべき最大の変化は、企業がエージェント型のAIエクスペリエンスヘと加速度的に移行しつつある点です。エージェンティックAI時代の到来は、組織やビジネスモデルの様々な変容をもたらしますが、その一つがデータ生成方法の変革です。
従来のチャットボットとは異なり、エージェント型AIエクスペリエンスやAIエージェントは1日24時間、365日稼働し続け、セキュリティやオブザーバビリティにおいても、これらの変化を考慮に入れたアプローチが必要です。
また、生成されるデータ量も爆発的に増加し、2028年までに世界で生成されるデータは390ゼタバイト(3900億テラバイト相当)を超え、13億台ものAIエージェントが稼働すると予測されています。

Cisco Systems, Inc. [Splunk]
Vice President Global Product Management
Seth Brickman氏
岡本 25年9月、Splunkの定例ユーザーカンファレンス「.conf25」においても、AI導入における「3つの壁」として、「インフラの制約」「信頼性の不足」「データギャップ」が提示されました。これらは、当社が支援する日本企業やグローバル企業に共通して見られる課題です。
また、AIインフラの構築と維持には莫大な労力とコストが必要であり、多くのAIエージェントやAIモデルがハルシネーション(幻覚)を引き起こすことによる「信頼の赤字」の問題も深刻ですね。
Brickman AIにとってデータは原動力であり、必要不可欠な“燃料”であることは言うまでもありませんが、問題はいまだ多くの企業でデータがサイロ化されている点です。IT運用、セキュリティ運用、ビジネス運用がそれぞれ独立したデータサイロの中で行われ、無秩序なまま共有が行われていないデータギャップは、クリティカルな課題です。
岡本 確かに、これら3つの壁は、個別最適なAI導入ではなく、データ・運用・意思決定を横断的につなぐアーキテクチャを前提にしなければ解消できません。
Brickman これらの課題解決に向け、25年9月に発表したのが、AIを通じてマシンデータの価値を活用できるよう支援する、画期的な新しいアーキテクチャ「Cisco Data Fabric」です。
Splunkプラットフォーム上に構築されたこのソリューションは、大量のマシンデータを処理し、AIアプリケーションに活用する際のコストと複雑さを大幅に削減するよう設計されています。当社のAIツールキット(AITK)と連携することで、企業は自社のマシンデータを用いて独自のAIモデルを構築することができます。加えて、データ階層化機能を備えた低コストのデータストレージを提供する新しい「Splunk Machine Data Lake」と組み合わせることで、企業の業務運営に変革をもたらします。
Splunkは、データ分析の分野でもたらした変革に続き、AIの分野においても新たなイノベーションを起こすことを目指し、26年中の完全リリースに向け準備を進めています。
岡本 AI活用における本質的な問題は、テクノロジーそのものではなく、「経営と現場をどうつなぐか」にあります。アクセンチュアでは、すでに国内外の様々な企業で実装・稼働済みの先進的なデータ/AI基盤を起点に、業務プロセスの再設計、ガバナンスの構築、人材・組織の変革までを一体で支援しています。
その一環として、Splunkを活用したインテリジェント・オートメーション・プラットフォームの設計・構築・導入を国内含めグローバルで展開し、データを起点とした自律的かつ持続可能な運用モデルの実装実績があります。AIを“導入すること”が目的ではなく、AIによって意思決定の質とスピードを高め、企業の競争力を継続的に強化することまで実装するのが、我々の役割だと考えています。