売上高物流コスト比率は2030年に6.52%へ──
義務化が迫る、物流の「費用から投資」への再定義
担い手不足に直面する物流が、大きな転換点を迎えた。2026年4月1日、物流効率化法が施行され、取扱貨物の重量が9万トン以上の特定荷主および特定連鎖化事業者(コンビニエンスチェーン等)に対して、3つの義務が課されるようになった。CLOの選任、中長期計画の作成、定期報告だ。今回の改正の大きな特徴は、発荷主のみならず着荷主側の対応も不可欠であること。こうした中、北條英氏は物流領域のプレーヤーにも変化が生じていると語る。
「当協会の会員数が約1100社と過去最高になりました。ファイナンスや人材派遣など異業種からの入会も増え、物流が新たなプロフィットセンターとして注目されていることを感じます」(北條氏)
一方、輸送量不足への取り組みは不可避の課題である。国土交通省の「2030 年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会『提言』」では、輸送の需給ギャップから2030年度に25%の輸送力が不足すると試算している。CLOによるトップダウンの取り組みが求められる中、JILSでは「物流統括管理者連携推進会議(J-CLOP)」の活動を本格化。CLOがノウハウを共有する場として、荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率の向上などの取り組み支援を開始した。
さらに、今後の重点領域として北條氏は「カスタマイズされた現場の標準化と接続可能性を高める投資が必要です。そのためにはストレスフリーでデータ収集を行い可視化する仕組みが不可欠。さながら新幹線の検測車『ドクターイエロー』の機能を『のぞみ』に実装したイメージです。また、輸送依存度が高いトラック輸送のロードファクター(積載率と実車率の掛け算による積載効率)の改善や船舶や鉄道へのモーダルシフトの加速も必要です」と語る。
国際物流総合展2026で見つける
「物流投資」の解
地政学リスクが注目される現在、社内外と連携した物資流通の最適化は企業価値の生命線だ。そして、企業価値向上のための戦略としてロジスティクスがある。
「企業とロジスティクスの関係が物流危機によって見直しを図られています。企業価値を財務・非財務の2軸で分類すると、ROIC(投下資本利益率)は短期的な株主目線のKGI(重要目標達成指標)、WACC(加重平均資本コスト)は持続的成長に対するKGIと言えます。コスト削減の対象だった物流は、今後、自動化などの投資強化の対象となります」(北條氏)
JILSが行っている売上高物流コスト比率のトレンド分析では、売上高物流コスト比率は2012年に底を打ったが、その後上昇を続けている。荷主企業の売上高物流コスト比率は4.91%(2019年)から5.38%(2020年)と上昇し、さらに2024年度には5.44%となった。そして、道路貨物運送業の時間当たりの収入を全産業なみに賃上げした場合、売上高物流コスト比率は7.05%へと上昇する試算だ。
売上高物流コスト比率(全業種平均)のトレンド分析
(1994-2024、2次関数の一部区間による近似)
1994年度調査から2024年度調査までの売上高物流コスト比率のトレンドを表す近似式を求めた。近似式の2次関数は、2012年度に最小になって以降、上昇期にある。年平均(相乗平均)上昇率は1.01%。2024年度の売上高物流コスト比率は5.44%。仮にこの近似式がこの後も続くと、2030年度の売上高物流コスト比率は6.52%に達する。
出典:「2008年度物流コスト調査報告書」(JILS)2009年3月p.6
「2024年度物流コスト調査報告書」(JILS) 2025年4月p.15 より北條作成
こうした背景では、輸送によるリードタイム短縮、在庫回転率の向上、棚卸し資産の縮小でROICを拡大しようとする視点の見直しが必要となる。北條氏は「物流危機下では、在庫回転率を上げ棚卸し資産を減らすため、自由にトラックを使える状況ではありません。「総合物流施策大綱に関する検討会『提言』」では営業用貨物自動車の需給バランスについて、2030年には需要に対する供給が最大で25%(7.1億トン相当)不足すると試算しています。運べなくなる未来にはROICの全体像の見直しと投資が必要です」と訴える。
「『国際物流総合展2026』にはロジスティクス分野の“投資”と“費用”に関わる解の見本がある」と話す北條氏。CLOを筆頭に多くの来場者を期待したい。
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