真のDXがいよいよスタート。第一ネオ生命が向かう未来 真のDXがいよいよスタート。第一ネオ生命が向かう未来

2026年4月1日、第一ネオ生命の新たな代表取締役社長に近藤良祐氏が就任した。前任の上原高志氏は第一生命の常務執行役員に就任。ラジャン・ナンダ氏は常務執行役員 兼 Chief Information Officerへ昇任した。この大胆なトップ人事からも垣間見えるように、第一ネオ生命のデジタルを前提とした組織改革は、新たなフェーズに突入している。同社をここまで率いてきた上原氏、ナンダ氏は、これまでを振り返り今何を思うのか。近藤氏は、同社の今後の舵取りにどのような考えを抱いているのか。本シリーズを締めくくるスペシャル鼎談をお届けする。

社員の意識を変えた
チェンジマネジメントと

心理的安全性の確保

── 2024年4月に上原社長体制がスタートして以来、約2年間にわたり進めてきたデジタルを前提とした組織改革を振り返って、今どのようなことを感じられていますか。

上原高志氏(以下、上原) ゼロからのスタートで集まったメンバーも、当初は「アジャイル?」「スクラム?」という段階からの出発でしたが、この2年でチャレンジに真正面から立ち向かえるチームとして、戦える体制になってきたと実感しています。それまで他人事だったことが自分ごとになり、自分の担当領域を超えて互いに支え合える組織になってきました。

第一生命  常務執行役員  上原 高志 氏

第一生命 常務執行役員

上原 高志


1972年東京生まれ。東京工業大学社会工学部卒業。95年三和銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。2008年MUFG子会社の日本電子債権機構(JEMCO)を設立。12年ロンドン・ビジネス・スクールへ留学。17年MUFGのFinTech事業を独立させたJapan Digital Designを設立、CEOに就任。21年SOMPO Holdingsデジタル戦略部チーフエバンジェリストに就任。24年ネオファースト生命代表取締役社長。26年4月第一生命常務執行役員に就任。



ラジャン・ナンダ氏(以下、ナンダ) 月次で実施しているPdMC(Product Management Committee)でも、始めた頃はほぼ上原や私が話をしていたのですが、今では第一ネオ生命の生え抜きメンバーを中心に、活発な議論が交わされる会議が行われています。まさにマチュリティ(成熟度)が上がっていますね。

第一ネオ生命  常務執行役員 兼 Chief Information Officer  ラジャン・ナンダ 氏

第一ネオ生命 常務執行役員 兼
Chief Information Officer

ラジャン・ナンダ


2006年4月アンナ大学(インド)卒業。卒業後はインドの大手IT企業に入社し、ソフトウエア・エンジニアとしてインド、米国、欧州、シンガポールなどで外資系企業に勤務。12年に来日し、18年にメットライフ生命に入社、23年1月、同社執行役員システム・エンジニアリング・グループ長に。24年10月ネオファースト生命(現・第一ネオ生命)執行役員 兼 デジタルエンジニアリング部長、及び、第一生命テクノクロス(現・第一ライフテクノクロス)執行役員に就任。26年4月より現職。



近藤良祐氏(以下、近藤) 会議では社員主体の議論がごく自然に行われており、私の目には、その光景が当たり前のものに映りました。以前はそうではなかったということが信じられないくらいです。

第一ネオ生命  代表取締役社長  近藤 良祐 氏

第一ネオ生命 代表取締役社長

近藤 良祐


1980年生まれ。明治大学政治経済学部卒業。2003年パイオニア入社。かんぽ生命保険を経て、12年3月にライフネット生命に入社し、経営企画部長、営業企画部長、執行役員・営業本部長、執行役員・経営企画部・商品開発部・資産運用部担当を経て、21年6月取締役執行役員に。24年6月上級執行役員・パートナービジネス事業部担当 兼 ライフネットみらい代表取締役社長CEO。25年8月にベネッセコーポレーションに移り、オペレーショントランスフォーメーション本部副本部長。26年4月第一ネオ生命代表取締役社長に就任。



ナンダ これまでの経験では5~6年かけても十分な変化が見られないチームもありましたが、第一ネオ生命は違いました。社員一人ひとりがマインドを変えて、主体的に変革へ挑んでいます。この状況は、上原のトップダウンによるチェンジマネジメントの結果の表れだと思います。

── 第一ネオ生命では、なぜそれができたのでしょうか。

上原 私はただ、要所ごとに必要な質問をしたり、その場で自分が感じた疑問を率直に共有したり、次に起こり得る展開を見据えて「どのような優先順位をつけているか」といった点について対話を重ねてきただけであり、特別なことをやったつもりはないのです。社員へ発信してきたメッセージも当初から一貫しており、それに対して社員が真摯に向き合ってくれたことで、半年くらいで変化に順応していきました。多少のトラブルはありましたが、それらを乗り越えたことでさらに自信がつき、自走する状態になってきたのだと思います。

ナンダ 私は、周りの社員のフィードバックから、「会社が変わろうとしているのだから、自分たちも変わらなければならない」という意識が社内に着実に広がっていくことを強く感じていました。上原が、心理的安全性の確保につながるメッセージを繰り返し発信してきたことも、社員の意識変化を後押しする要因になったと思います。

第一ネオ生命のDXは

トップの交代と共に
新たなフェーズへ

── 近藤さんは、第一ネオ生命の代表取締役社長就任にあたり、上原さん、ナンダさんが進めてこられたデジタルを前提とした組織改革にどのような印象を持たれましたか。それを引き継ぐ立場として、どのような思いがありますか。

近藤 会社に「変わろう」という強い意思があるからこそ、上原やナンダ、私が社外からやって来たのだと思います。変革の土台がすでに社内にあることは非常に心強く、社長を引き受けるにあたり、大変ポジティブな材料でした。上原からの「思う存分スクラップ・アンド・ビルドしてください」という言葉も私としてはありがたいことです。社名の通り真っ先に新しいことに挑戦することは当社の価値なので、上原の思いを継承しつつ、それをナンダと共に加速させることが1つのミッションです。

私はキャリアの約15年間、生命保険業界に身を置き、ライフネット生命では取締役や子会社の社長を務めました。その間に同社は売上が10倍以上にまで成長するなど、貴重な経験を積むことができたと同時に、生命保険業界でのキャリアは自分の中では一旦やりきったと感じていました。けれど、一度、保険業界の外に出てみて、これまで見えていなかったさまざまな可能性が見えたことも事実です。そんな矢先に社長就任の話があったので、私としては、その可能性に挑戦するという、まさに「忘れ物を取りに戻ってきた」ような感覚です。

第一ネオ生命では、私が培ったデジタルでの保険募集に関するノウハウを生かすことができます。また、オペレーション領域の変革においては、前職のベネッセで得た知見や経験がとても示唆に富むものだったので、当社でもお客さまのために役立てるべく、自信を持ってチャレンジします。

加えて、第一ネオ生命が、ステークホルダーの1つであるDaiichi Lifeグループの中でも、重要な立ち位置を築くために、こうした新しいチャレンジで成功モデルをつくり上げ、その成果をグループに還元していくことも積極的に推進します。

── ナンダさんはCIOとして、今後、近藤さんと進めていく改革やDXに、どんな思いを抱かれていますか。

ナンダ 当社では、ビジョン「”生命保険から人生保険へ” 小さな人生不安にも、向き合う保険サービスを。」の実現に向け、お客さま一人ひとりの人生に向き合う姿勢を、「気付く(notice)」「創造する(enable)」「届ける(outreach)」という3つのステップで定義しています。現在進めている改革の次なるフェーズは「届ける(outreach)」。上原とこれまで創造してきたことを、いよいよお客さまにお届けしていく段階に移行します。近藤もこれを前向きに捉え、さらなる推進に意欲を示していますので、今後はさらなる業務改善とデジタル化で、お客さまにより一層の安心をお届けできるよう、共に力を合わせて取り組んでいきたいと思っています。

ビジョン実現に向けたお客さま一人ひとりの人生に向き合う姿勢を表している。

DX成功のカギを握るのは

正しいステップと
リーダーの意識

── 第一ネオ生命と同様に、DXに課題を感じている組織のリーダー層に向けてメッセージをお願いします。

ナンダ DXが失敗に終わる主な要因は、現場ごとに部分最適で進めてしまう点にあります。本来最初にやるべきは、People(人財)・Process(業務プロセス)・Technology(技術)の準備状況を客観的に評価することです。当社ではこの2年、チェンジマネジメントを通じて変革に対する前向きな気運やエネルギーを社内に生み出し、DXの足かせとなっていた既存システムをモダン化し、オペレーショナルトランスフォーメーションでプロセスをシンプルにしてきました。全社プロジェクトとしてのスコープの中で、数年単位のロードマップを引き、ステップを踏みながら、1つ1つ進めていく。それがDXを成功させる秘訣です。当社においても、システム基盤が整った今からが、本当の意味でのDXの始まりだと思っています。

上原 時計は、さまざまなパーツを時計職人が組み立てて初めて、正確に時を刻みます。どんなに良いパーツを集めてきても、それだけでは時計にならないし動きません。今、第一ネオ生命は、必要な部品が揃い、歯車が絡み合い、ようやくうまく回り始めた段階にあります。今後は、この時計を止めることなく動かし続け、秒針も狂わない最高の時計に育てていく段階です。とはいえ、これまでとこれからの環境が同じである保証もなく、社会環境の変化や社内の状況変化に応じて、当然やり方も変わります。その変化に柔軟に適応していかなければなりません。

また、企業経営も最終的には人が担う営みである以上、ときには失敗もあります。大事なのは、失敗そのものではなく、その捉え方です。経験を糧として柔軟に捉えて次に進む判断をする一方で、許容可能な範囲にリスクをコントロールすることもまた、マネジメントです。リーダーは、一定のリスクを引き受ける覚悟を持ち、目指す方向性を示さなければなりません。仮に方向がずれていることに気づいたら軌道修正すればいい。そのためにも、体制をあらかじめ準備しておく必要もあります。

こうしたことは、私たちがシステムのモダナイゼーションにアジャイル開発の手法を用いた理由にも、通じるところがあると思っています。

近藤 DXや組織変革を推進する上で、私が大事だと思うことは3つあります。まず1つ目は、変化に対して「まずはやってみよう」と誰もが思える空気感を醸成できているか。2つ目は、アクションにつなげ、必要なところに届けることにいかにこだわれるか。当社の事例でいうと、まさに今後私たちが担っていく役割です。3つ目は、失敗をどのように定義するか。一見すると失敗に見えることでも、捉え方によっては次につながる学びと整理することもできるし、その逆も然りです。捉え方1つで、次のステップや最終的な評価も全く変わるので、大切なことです。

さらに、組織はリーダー1人の在り方次第で、良くも悪くも変わり得るものです。しかし、リーダー1人では何もできません。この「リーダーのジレンマ」に立ち向かうにあたって、リーダーがどのように振る舞いながら、自分だけではできないことをメンバーと共にやっていくか、これが最も重要なポイントになるのではないでしょうか。

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