広告企画 教育新時代

次世代教育の
かたち

探究が社会と学びをつなぐ
総論

目まぐるしく変化する外部環境や、進化が加速するAIなどのテクノロジー。中学生・高校生にとって、将来の社会を具体的に思い描くことは容易ではない。「正解」のない時代を生き抜くには、新たな資質・能力が求められる。こうした背景から注目されているのが探究学習だ。2022年度から全国の高校で必修化され、取り組みは広がり、内容も実践的なものへと発展している。

 産業界では人材不足を懸念する声が高まっている。今後数十年にわたり労働力人口が減少する日本において、人材不足への対応は切実な課題だ。しかし問題は単に「働き手の数」だけではない。AI時代を迎える中で、企業が求める人材像は高度化しており、産官学のさまざまな場面で「人材の質」に関する議論が活発化している。

 その焦点の一つが教育である。近年、中学・高校の中等教育では、次世代を見据えた新たな取り組みが広がっている。キーワードは「探究学習」だ。探究学習とは、生徒が自らの興味・関心に基づいて課題を見つけ、主体的に考えて解決策を導こうとする一連の学びのプロセスである。こうした学びが注目される背景には、従来型の教育に対して以前から「詰め込み」「知識偏重」といった指摘がなされてきたことがある。では、日本の生徒の学力は実際どのような状況にあるのか。

探究的な学習の過程 ①課題の設定 ②情報の収集 ③整理・分析 ④まとめ・表現

 国際学力調査「PISA2022」では、日本は「数学的リテラシー」「読解力」「科学的リテラシー」の3分野すべてでOECD平均を上回り、基礎学力の高さが改めて確認された。一方で、学習を自ら計画・調整することに対する生徒の自己評価はOECD平均を下回る傾向が示されている。高い学力水準と、「自律学習を行う自信」についての課題という二面性が浮かび上がった。

 こうした中、日本の学校現場では主体的な学びを重視する取り組みとして探究的な学習が広がっている。令和6年度全国学力・学習状況調査では、教員の約3~4割が「探究の過程を意識した指導をよくしている」と回答し、「どちらかといえば、よくしている」を含めると9割超に達した。生徒側でも「探究的な学習活動に取り組んでいますか?」という質問には、3~4割が「当てはまる」と答え、「どちらかといえば、当てはまる」を含めると8割超となった。また、探究的な学習に取り組む生徒ほど、授業で学んだ内容を次の学習や実生活に結び付けて考えられる割合が高い傾向も示されている。

 さらに近年、生成AIの急速な普及が探究学習の重要性を一層際立たせている。文章作成や情報整理、データ分析などはAIが高い能力を発揮する一方で、問いを設定する力や、他者と協働しながら価値を創出する力、社会的・倫理的判断力などは依然として人間に強みがあるとされる。

人間が得意なことVS生成AIが得意なこと

 探究学習は、まさに「問いを立てる力」や「課題を定義する力」といった、人間に求められる資質を育む取り組みと位置づけることができる。

教育現場で広がる実践と
多様化する探究プログラム

 探究学習の広がりは、各地の教育現場にも表れている。必修化を契機に、学校ごとの特色を生かした独自プログラムが展開されている。

 海外では、課題解決型の学びを重視する大学の取り組みも注目されている。例えば2014年開校のミネルバ大学(米国)は、オンライン授業と世界各地での実践活動を組み合わせた教育モデルで知られる。学生は世界各地に滞在しながら現地を体感し、地元の人たちと交流しながら、オンライン授業を受講する。

 国内でもその理念を踏まえた動きがある。学校法人河合塾学園はミネルバ大学とパートナーシップを締結し、2027年4月開校予定の通信制「ドルトンX学園高等学校」で実践的教育を展開する予定だ。本校を岩手県一関市に置き、国内外拠点を活用した探究学習を行う。

 また、追手門学院中・高等学校では継続的な探究プログラムを実施し、長野日本大学高等学校では企業と連携した地域課題解決型の活動が行われている。静岡県内の複数校でも、地域企業や行政と協働した実践が教育課程に組み込まれている。先進的な理数系教育を通じた国際的な科学技術人材の育成を行うスーパーサイエンスハイスクール(SSH)でも大学や研究機関と連携した長期研究が進むなど、多様な形で実践は広がっている。

制度改革が後押しする
探究重視の流れ

 こうした現場の動きを制度面から支えているのが学習指導要領の改訂だ。2022年度から高校では「総合的な探究の時間」が必履修となり、標準単位数は3〜6単位と定められた。全国規模で探究学習が位置づけられた意義は大きい。

 大学入試制度の変化も見逃せない。総合型選抜や学校推薦型選抜による入学者は全体の約半数に迫り、思考力や表現力、活動実績を重視する流れが強まっている。評価の軸が変われば、学校教育が重視する力も変わる。制度改革は、探究重視の流れを後押ししている。

 ただ、探究学習は学校単独では完結しない。地域社会や企業との協働が不可欠である。生徒の安全管理、学習進捗の支援、専門知見の提供など、多様な役割が求められる。

 こうしたニーズに応え、探究学習を支援するサービスも生まれている。NTT東日本が提供する各種支援サービスはその一つだ。NTT東日本は2022年にドルトン東京学園と連携協定を結び、同高校の探究学習をサポートしている。また、ドルトンX学園に対してもさまざまな支援サービスを提供する予定だ(次ページ参照)。さらに、ミネルバ大学との連携協定も締結しており、新たな教育モデルの構築にも挑戦している。

 探究学習という動きは教育関係者だけでなく、自治体や企業などを巻き込みながら広がりつつある。特に2022年度以降、全国の学校での実践を通じて知見やノウハウが蓄積され、より効果的な学びへと進化を続けているはずだ。その進化の結果を見届けるには、もう少し時間が必要だろう。近い将来、探究学習で能力や資質を磨いた次世代のリーダーが現れるに違いない。探究学習に関わる関係者のみならず、社会全体から大きな期待が寄せられている。

  • ※本文内の図は、文部科学省 教育課程部会 教育課程企画特別部会(第8回)配付資料「質の高い探究的な学びの実現(情報活用能力との一体的な充実)」を基に作成