富士通がソブリンクラウドを提供するにあたり、強くこだわった点がある。それは、ミッションクリティカルなシステムをオンプレミスからクラウドに移行させることに対するユーザー企業の懸念を取り除くことだ。
クラウドの急速な普及とともに、多くのエンタープライズはデータやシステムのクラウド移行を加速させている。一方で、ミッションクリティカルな基幹システムについては、依然としてオンプレミスで運用しているケースが多い。「機密性の高いデータは自分たちで守りたい」という理由に加え、クラウド側の運用ルールによって、データやシステムが突然使えなくなる事態が発生するリスクを恐れているからだ。
「一般的なクラウドでは、自動的にパッチ(更新プログラム)が適用されることがあります。事前に適用スケジュールの確認や調整ができないことから、思わぬタイミングでパッチが適用され、その影響でインフラや業務にトラブルが発生してしまう恐れがあります。そうした不測の事態を未然に防ぐため、『Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy』では、富士通とオラクルが連携し、どのパッチをどのタイミングで適用するかを、お客様と相談しながらコントロールできるようになっています」(古賀氏)
これらは、「15年以上にわたって自社クラウドサービスの運用で培ったノウハウと知見があるからこそできたことです」と古賀氏は説明する。データやシステムを預かるデータセンターを富士通が管理しているからだけでなく、長年培ってきた技術力とお客様に寄り添うサポート体制があるからこそ提供できるサービスだ。
富士通はこの他にも、特定社会基盤事業者やエンタープライズによるソブリンクラウドの導入・運用を支援する様々なサービスを提供している。
1つは、「どうすれば主権性を担保できるのか?」という戦略策定の段階から導入を支援する「MCインフラ最適化コンサルティング」だ。
また、ミッションクリティカルなシステムをソブリンクラウドに移行させる実践的な支援としては、「MCマイグレーション支援サービス」を用意。
運用面では、ソブリンクラウドに移行したミッションクリティカルシステムの運用をサポートする「MCプレミアムサポートサービス」も提供している。
「お客様ごとに専任の担当者を付け、寄り添いながら運用をご支援しています。システムの特性や構成情報を把握し、メンテナンス日程の調整や性能ボトルネック分析など、安定稼働と継続的な改善を伴走型でサポートします」(古賀氏)
この他、経済安全保障推進法に基づく制度対応について、富士通のソブリンクラウドで対応できる部分と、ユーザー企業側が対応しなければならない部分を明確化した「リファレンスガイド」を作成。これによって、特定社会基盤事業者の法令対応の負担を軽減している。
すでに『Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy』の提供開始から1年近くが経過しようとしており、ユーザーである特定社会基盤事業者やエンタープライズから、その効果が報告されている。
あるインフラサービス提供企業は「障害発生時に監督省庁へ規定時間内に報告するという厳格な義務があるが、富士通のソブリンクラウドの『MC(ミッションクリティカル)プレミアムサポートサービス』により、時間制約内での報告体制の確立を強力に支援してくれた」と高く評価。
また、ある製造業のユーザーは、オンプレミスから富士通のソブリンクラウドに移行した結果、「データの機密性を担保した環境の下、生成AIを活用した設計検査の効率化を実現することができた。これによって検査時間の短縮と検査品質の安定化を両立できるようになった」と語っている。
このように、富士通のソブリンクラウドは、日本を支える社会インフラや産業基盤の安定と発展に大きく寄与している。そのサービス提供の根底にあるのは、日本のミッションクリティカルなシステムを長年支え続けてきたことに対する富士通の矜持と、「その重責を今後も果たし続けたい」(古賀氏)という強い覚悟だ。
「15の特定社会基盤事業やエンタープライズの他、医療、防衛といった分野にも、当社のソブリンクラウドを広く提供していく方針です。富士通だからこそ提供できるサービスを追求し続けますので、ぜひご期待ください」と古賀氏は力強く語った。