正解のない時代のオンリーワン・ナンバーワン企業を目指して

すべては優れたプロダクトを生み出すために SAP Cloud ERPを活用した データドリブン経営で 次の成長を目指すモルテン データドリブン経営で次の成長を目指すモルテン

変革は主力の自動車事業からスタート マスターデータと部品表を統合

「Project DIVE into DATA DRIVEN」では、まず変革の対象を主力事業の一つである自動車部品事業に絞り、目指すべき姿の定義、体制構築、要件定義、マスターデータの整備、周辺システムとのインターフェース開発などを進めていった。スポーツ事業ではなく自動車部品事業からスタートしたのは、マスターデータやBOM(Bill of Materials、部品表)が自動車メーカーとの取引の中で明確に定まっていたことが大きな理由である。

情報システム部門とシステムインテグレーターが中心になって、複数の従来システムに分散していた品目、取引先、販売価格、購買価格、BOMなどのデータを集め、統一したフォーマットに変換しつつ、海外法人も含めて勘定科目を一元化するなどの作業を行った。また、業務の棚卸しも並行して進めていった。

新しいシステムは、受注・出荷、購買・入庫、生産実績、財務会計、および管理会計などの処理を統合した「SAP Cloud ERP」、実績に基づく計画や需給調整機能を持ちサプライチェーンの高度化を実現する「SAP Integrated Business Planning(SAP IBP)」、データウェアハウスの「SAP Datasphere」、データ分析機能を持つ「SAP Analytics Cloud」で構成した(下記参照)。

一方で、SAP Cloud ERPなどの新しいシステムと、生産管理システム(MES)を含む既存システムとのインターフェースは、それぞれを個別に作るのではなく、データ連携HUBに集約する方式を採用した。このデータ連携HUBはSAP Cloud ERPの外側にあり、Fit-to-Standardは崩していない。システムの移行は2026年10月に始動した。

モルテンのERPシステム

モルテンが構築したデータ基盤および新ERPシステム。SAPのソリューションを中心に構成されている

新たなデータ基盤とERPを活用し 優れたプロダクトをこれからも追求し続ける

今回の「Project DIVE into DATA DRIVEN」で期待する効果とは――。身近なところでは、資料レス化の推進だ。従来はデータを社内の各システムから探し、資料にまとめ、配布し、経営や事業方針を討議していたが、データの統合が進めばSAP Analytics Cloudですぐに分析ができる。

「経営会議もダッシュボードを見ながら進めていきたいと考えています。我々が作りたいのはプロダクトであって、資料を作りたいわけではないからです」(民秋氏)

また、経営のシミュレーションも行っていく考えだ。同社は生産拠点をグローバルに展開しているため、為替の変動一つとっても影響は複雑になる。SAP Analytics Cloudには「what-if分析」機能があるため、円、ドル、ユーロ、バーツ、元などのレートの変動をシミュレーションできる。

今回のプロジェクトの真の目的は、「経営を効率化することではなく、あくまでも優れたプロダクトを生み出すことにある」と民秋氏は強調する。「我々のすべての活動はプロダクトに集約されます。世界に何かしらいい影響を与えるプロダクトを、息をのむような美しいデザインで作っていきたい。自分たちが得意とすることをやるために、それ以外のところは世界標準の仕組みに任せようという考えなのです」。

今後は、スポーツ用品事業、医療・福祉機器事業、およびマリン・産業用品事業へと適用範囲を広げていくとともに、販売実績などの「過去データ」だけではなく、今を表すいわゆる「ライブデータ」の取り込みや、生成AIを活用した分析や予測にも取り組んでいく計画である。

「オンリーワン・ナンバーワンの企業」を目指しながら、技術革新と優れたプロダクトを追求するモルテン。SAP Cloud ERPを活用した新たな経営基盤が同社の持続可能な成長を支えていくに違いない。

モルテンの取り組みは、データドリブン経営へのシフトと、AI活用を見据えた経営基盤改革の好例と言える。分散していたデータを統合し、グローバルスタンダードな業務プロセスを取り入れることで、迅速な意思決定と継続的な成長を支える土台づくりを進めている。

SAPでは中堅中小企業の変革を支援するオファリングとして「SAP GROW」を提供している。SAP GROWは、AIを活用したクラウドERPを中核に、財務・人事・サプライチェーンなどの基幹業務を統合。業界のベストプラクティスに基づく標準化された導入アプローチにより、短期間での立ち上げと将来を見据えた経営基盤の構築を実現する。

また、データの一元化による迅速な経営判断や、AIを活用した分析・予測の高度化にも対応しており、変化の激しい時代に競争力を高めたい企業にとって、SAP GROWは有力な選択肢となるだろう。

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