言語の壁をAIで乗り越える
アストラゼネカの挑戦
製薬会社にとって情報(データ)は重要な資産だ。創薬のための研究開発や臨床試験のデータはもちろんのこと、MR(医療情報担当者)が医師をはじめとする医療従事者に医療用医薬品の情報を提供する際も欠かせない。一方で、これらの情報の扱いには正確性と倫理観が求められる。医療用医薬品は承認された有効性と安全性情報を踏まえて適正に使用しなければ、健康上のリスクにつながる可能性があるからだ。そのため、各製薬会社は、データの解釈や記載内容の正確性、法令や業界の自主基準への準拠などについて、複数の社内の専門家にレビューを通し医療従事者へ届けている。
セキュリティーやガバナンスの徹底を図りつつ、データの価値をいかに最大化するか。この難題に対し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のAI/機械学習の活用で業界をリードする企業がある。世界的大手医薬品メーカーのアストラゼネカだ。
同社では医薬・医学系文書やマーケティング、ファイナンスなどの多様な情報を検索できる社内イントラネット向けの検索エンジンにAWSのAIを実装。日本語対応を実現し、言語の壁を克服することで、検索性能を大幅に向上させた。さらに生成AIを活用し、より高度なデータ活用にも挑戦している。注目すべきは、この取り組みを全社で推進していることだ。全部門がデータドリブンなビジネスにシフトすることで、より大きな価値創出を目指していくという。
どのようなポリシーのもとでAI活用を推進し、具体的にどんな成果を上げているのか。そしてその先に何を見据えているのか。次頁以降で、アストラゼネカのデータ活用戦略を深掘りしてみたい。



