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第3回推進委員会報告

ニューロインクルーシブな職場を考える

第3回推進委員会報告 ニューロインクルーシブな職場を考える

日経BPが主催し、11社が参加しているニューロダイバーシティ&インクルージョンフォーラムは、第3回推進委員会を12月5日に開催しました。経済産業省がオブザーバー参加し、前半では、フォーラムと日本産業保健法学会とが計画する共同研究やパーソルの特例子会社であるパーソルダイバースにおけるニューロダイバーシティ推進事業の紹介、後半は年度末に発表予定の「ニューロインクルーシブ宣言」についての議論を行いました(日経BP 総合研究所/小板橋律子)。

就業規則は心理的安全性を脅かしていないか?

 今回のテーマは「ニューロインクルーシブな職場を考える」。ニューロダイバーシティとは、各自の脳や神経の発達・機能に違いがあること、そこから生じる考え方、感じ方などの多様性を互いに尊重すること。これらの違いに由来する強みを生かし、弱みを補い合うのがニューロインクルーシブな職場だ。その対象は精神疾患(精神障害)や神経発達症(発達障害)を有する方も含む。

 しかし、精神疾患(精神障害)や神経発達症の当事者には、診断名を隠して就労することを“クローズド就労”、会社に伝えて就労することを“オープン就労”と呼ぶ慣習がある。その背景には、「職場で知られると不利益を得るのではないか」という危惧がある。実際、就業規則の中に、精神疾患(精神障害)を有する方への偏見を増長するような文言が存在する場合もある。そのため、まず、ここを見直さなければ、当事者の心理的安全性を得ることはできない。「会社の憲法」でもある就業規則をまず見直すこと、それが神経多様性を包摂した(ニューロインクルーシブ)な職場環境の整備の基盤になるだろう。

 そこで、フォーラムでは労務に詳しい専門家の学術団体である日本産業保健法学会に働きかけ、同学会に所属する複数の弁護士との共同研究を実施することとした。フォーラム参加企業の有志から就業規則を提供いただき、専門の弁護士に国連による障害者権利条約、障害者雇用促進法などに合致した文言となっているかを検証してもらい、国際的標準の就業規則について共同で提言を発表することを目標とする。今回の推進委員会では、日経BPからその紹介と参加の呼びかけが行われ、続いて、同学会理事の吉田肇氏からも共同研究に向けたメッセージがオンラインで寄せられた。

 就労の場では、労働の提供による対価として報酬を得る。対価に見合う労働を提供する義務が、精神疾患(精神障害)があっても従業員には課されることは大原則だ。ただし、事業者側には労働の提供を阻害する障壁を取り除く義務(合理的配慮)が同時に課されている。そのバランスをどう取るか。まずは現状の就業規則に課題はないかを検証した上で、全ての従業員が、疾患や障害の有無を問わず、公平に働くことを担保できる環境整備を進めたい。

オフィスワークも作業を細分化し適性に応じて配置

 パーソルの特例子会社パーソルダイバースは、約2800人の従業員のうち約2000人が障害者手帳を有し、精神・発達系の手帳保持者も約1300人と多い。定着率は95%程度で、事業も順調に拡大させている。同社取締役執行役員の井上雅博氏は、成功の要因を「障害への合理的配慮をDE&I(多様性・公平性・包括性)のレベルまで引き上げたこと」と言う。

 日本企業における障害者雇用の一般的なかたちとしては、障害を周囲に開示し、障害を持たない一般雇用のスタッフが障害者枠の従業員を管理する、というものが多い。

 パーソルの特例子会社パーソルダイバースは、そのような一般的な “常識”をくつがえすマネジメント法を採用し、成功を収めている。パーソルダイバースを特徴付ける人事制度をまとめると以下となりそうだ(詳しくは関連サイト)。

・障害の有無やその内容は直属の上司以外は原則非公開
・障害の有無にかかわらず同じ人事制度を適用(昇進含め)
・評価は2軸で実施(成果と価値[成果につながる行動])

ニューロインクルーシブ宣言草案は世界経済フォーラムと同じ方向性

 後半は、ニューロインクルーシブ宣言についての議論が行われた。まず、日経BPより、2024年10月に世界経済フォーラムが発表したニューロダイバーシティ推進に関する報告書の内容が紹介された(関連記事:世界経済フォーラム、ニューロダイバーシティ推進における経営層の役割を指南)フォーラムで検討を進めていた宣言の草案と同じ方向性であったため、世界の潮流に大きく遅れることなく、宣言を発出できることは大きな成果と強調された。

 内容や表現については、参加企業から様々な意見が出されたため(詳しくは関連サイト)、それらを反映した上で、次回の第4回推進委員会までに内容を固めることとなった。

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