
Shopify Japan
2024/03/28
「Shopify Plus」は、カナダのオタワで2006年に創業したShopifyが、主にエンタープライズ向けに提供しているECプラットフォームサービスだ。
同社は、スタートアップや中小企業向けのECプラットフォームである「Shopify」を提供。「Shopify Plus」は、その上位サービスとして大企業や取引量の多いブランド向けという位置付けである。
「日本では2017年からサービス提供を行っています。専門的な技術や知識がなくても簡単に構築できて、すぐにECサイトが立ち上げられる『Shopify』は、日本のスタートアップや中小企業にも瞬く間に認知され、数多くのユーザーを獲得しました。エンタープライズ向けの『Shopify Plus』も、大企業、大手ブランドを中心に利用する企業が着実に増えています」と語るのは、同社の日本法人、Shopify Japanでジャパン・マーケティング・リードを務める阿部恵史氏である。

「Shopify Plus」には、ECサイトを簡単かつスピーディーに構築できるという「Shopify」の特徴はそのままに、エンタープライズの要求を満たすさまざまな機能が追加されているという。
例えば、トランザクション量が急激に増加しても、サイトスピードの劣化を最小限に抑え、サイトダウンさせることなく処理を継続できる信頼性を備えている。安定性の低いECサイトを運営してしまうと、顧客のロイヤルティが下がり、長年築き上げてきたブランドの価値を毀損しかねない。
「大手ブランドでも、Eコマース事業はひとまず小さく始めるケースが多いものですが、できることなら、最初の段階から将来を見据えて『Shopify Plus』の導入を検討しても良いのではと思います。目安として、EC事業で売上高1億円以上を目標とする場合は『Shopify Plus』の導入をお勧めしています」と阿部氏は語る。
また、「Shopify Plus」には、ECサイトと実店舗の顧客情報を一元的に管理し、同じ顧客がそれぞれのチャネルで何を買っているのかを可視化できる「Shopify POS Pro」という機能を20拠点分まで無料で使えるメリットもある。トレンドとなっている販売チャネルの“ハイブリッド”化によって、捕捉しにくくなった顧客の購買行動が一元的に把握できるようになるのだ。この機能を、ポップアップ・ストアやイベント出店などの一時的な実店舗販売にも活用できる。
例えば、創業110年以上の歴史を持つ大手菓子メーカーのカンロは、「Shopify Plus」を導入し、2022 年に「東京ゲームショウ」に出展した際に「Shopify POS Pro」を活用。これによって、低コストで販売環境を整えることができたという。
カンロが「Shopify Plus」を導入するに至った理由にも着目したい。同社は、老舗企業でありながら、さまざまなチャレンジで新たな顧客層を開拓してきた。その試みの一つが、東京駅構内にある直営店「ヒトツブカンロ」だ。
この店舗でしか買えない次世代食感グミ「グミッツェル」などで話題を集めたが、コロナ禍によって休業を余儀なくされ、販売を継続するため2021年に「Kanro POCKeT」というECサイトを開設。このサイトの構築・運用基盤として「Shopify Plus」を導入した。導入に至った最大のポイントは、顧客体験の向上につながる多彩な機能が用意されている点だという。
そのうちの一つが「マルチパスAPI」と呼ばれるシングルサインオン機能。LINEなどのSNSと連携させて、SNSにログインすれば、そのまま自社ECサイトでも買い物ができるようになる。カンロはこの機能を、LINEの公式サイトに登録した会員に注文内容確認のメッセージや、ポップアップイベントを行う際のクーポンを送信するなど、顧客とのコミュニケーションにも活用している。
さらにカンロは、ユニークな使い方として、「Shopify Plus」のBtoB(企業間取引)機能を従業員向け販売に活用している。
そもそもBtoB機能は、小売業者や卸売業者向けに、まとまった注文数量や相手先によって異なる支払い条件などのルールをあらかじめ設定し、オンラインで商品を販売できる機能だ。
カンロはこの機能を使って、従業員専用の割引率を設定し、最寄りの店舗に在庫がなくても、全国の従業員が自社ECサイトで購入できるサービスを実現した。
「Kanro POCKeT」では、その他にも多様な機能を活用している。例えば、「拡張ストア」を活用して、Shopify の新機能やアプリについて導入前にテストすることができる、テスト用ストアを構築している。また、「Launchpad」の機能によって、特定のイベントや催事に合わせて手動で行っていたデザイン変更を、事前にスケジュールを設定しておくことで自動化している。
このように、ターゲットや目的に応じたルールを自由に設定してECサイトを運営できるのも、エンタープライズ向けに特化した「Shopify Plus」ならではの強みと言えるだろう。
「Kanro POCKeT」のGMV(流通総額)は開設2年目に前年比175%と大きく伸長し、商品のリピート率も1.3倍に向上した。「Shopify Plus」は、販売実績の拡大にもしっかりと貢献しているようだ。
「Shopify Plus」には、他にも大企業や大手ブランドが自社ECサイトを運用するうえで役立つ機能がいくつもある。
「決済画面を自由にカスタマイズしてCVR(Conversion Rate)やAOV(Average Order Value)の向上を実現できる機能や、同一ブランドであれば9サイトまで無料で拡張できる機能、期間限定セールなどの開始時間と終了時間をあらかじめ設定し、自動公開できる機能などが特に評価されています。これらの機能が利用できるということで、他のECプラットフォームからの乗り換えや、『Shopify』からのアップグレードを決める企業も少なくありません」と阿部氏は語る。
また、「Shopify Plus」は、その機能をさらに強化するサードパーティーのアプリケーションも豊富だ。日本の商習慣に合わせて開発されたアプリも多く、それらを活用できるエコシステムが整っているのも「Shopify Plus」を選ぶメリットだと言える。
最後に阿部氏は、「消費者に商品やサービスを提供する企業にとって、Eコマースへの取り組みは避けて通れない時代になっています。ぜひ、『Shopify Plus』に何ができるのかをもっと知ってもらい、活用していただきたい」と語った。
